野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

都民の森三頭大滝・・・令和2年11月11日

 雲一つない晩秋の青空が広がりました。駐車場標高900mから野鳥観察小屋手前のテラス標高1200mまで森林セラピーロード大滝の路を自然観察しながら歩きました。奥多摩の山並みは錦を織りなしていました。三頭大滝(標高1115m)付近はさすがに紅葉も終わり、冬枯れの様相です。

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(↑上の写真)左=入口、中=紅葉のイロハモミジと黄葉のヤマシバカエデ、右=ヤマシバカエデ(チドリノキ)

 ヤマシデカエデはムクロジ科カエデ属。いままではカエデ科でしたが遺伝子解析によるAPG新分類でムクロジ科になりました。ヤマシバカエデはその実の付き方が千鳥足のようですので、チドリノキとして親しまれ来ました。上の写真のように葉だけをアップするとクマシデのようなシデの仲間のように見えてしまいますが、葉や枝の付き方が対生なのでカエデの仲間と判定しやすいです。紅葉と黄葉が対をなした山の風景は晩秋の寂しさを感じさせますね。

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(↑上の写真)左=森林館前の紅葉、中=山の紅葉、右=奥多摩の山並みの紅葉

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(↑上の写真)いずれも紅葉の様子

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(↑上の写真)左=橋を渡る手前からの三頭大滝、中=三頭大滝、右=大滝休憩所前の様子

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(↑上の写真)左=リンドウ、中=ミツバツツジ、右=コアジサイ

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(↑上の写真)クマワラビのこの時季の特徴ある様子、左=先端が枯れ始め、中=先端の裏側の胞子嚢群(ほうしのうぐん=ソーラス)、右=胞子嚢群の部分が枯れる

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(↑上の写真)左=イヌシダ、中=イノデ、右=ジュウモンジシダ

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(↑上の写真)左=ゼンマイ、中=ヤブソテツ、右=ヤマヤブソテツ

 

都立長沼公園・・・令和2年11月5日

 長沼公園では、紅葉の兆しが感じられた程度で、本格的にはこれからのようです。カエデの葉もまだ緑です。コウヤボウキが咲き始め、カントウヨメナが咲き誇っています。この時季、長沼公園にはシダがたくさんあります。花の少ない時季にはシダに注目したいです。夏緑性(冬に枯れてしまうもの)のミドリヒメワラビは、今、見る最後です。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=遠く丹沢を望む、中=ヤマザクラ、右=ニワウルシ(シンジュ)

 ニワウルシ(庭漆)はニガキ科ニワウルシ属。原産は中国北中部。日本には明治初期に渡来し、シンジュサン(神樹蚕、ヤママユガ科の蛾)の幼虫の食樹としてシンジュサンの養蚕目的に栽培された。庭にも植えられたので次第に各地に野生化したという。ニワウルシはウルシとはいってもニガキ科でウルシ科ではないのでかぶれないとのこと。ニワウルシがアメリカに導入されたとき、かぶれないことからツリー・オブ・ヘヴン(天国の木)とされ、直訳して日本では神樹といわれるようになったということで、もともとはニワウルシということです。牧野植物図鑑ではシンジュを標準和名としています。漢名は樗(チョ・日本では「おうち」)。ただし、「夏は来ぬ」の唱歌に出てくる「おうち」は楝です。

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(↑上の写真)左=クワ、中=ムラサキシキブ、右=マユミ

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(↑上の写真)左=コウヤボウキ、中=カントウヨメナ、右=トネアザミ(タイアザミ)

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(↑上の写真)左=サラシナショウマ、中と右=アキノタムラソウ

 アキノタムラソウ(秋の田村草)はシソ科アキギリ属。本州以南の山野に生える多年草で、花は夏から晩秋に、数段輪生してつきます。上の写真は、晩秋に咲いた見事な花と思います。花の少ないこの時期に凛として花穂を立てている姿には、はっとさせられます。タムラソウには、キク科タムラソウ属のアザミに似たタムラソウ(田村草)がありますが、ハル、ナツ、アキ、イヌなどの名前がつくタムラソウはそれぞれシソ科なので、キク科のタムラソウとは違います。シソ科は茎が四角で、花が花穂に数段輪生するところが特徴ですね。

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(↑上の写真)左=ミドリヒメワラビ、中=ミゾシダ、右=ベニシダ

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(↑上の写真)左=ヤマイタチシダ、中=オクマワラビ、右=リョウメンシダ

 

景徳院・日川渓谷竜門峡・・・令和2年10月31日

  武田勝頼終焉の地に徳川家康が勝頼一族の菩提を弔うために建てたのが景徳院です。徳川・織田軍に攻められた勝頼は、小山田氏の岩殿城を頼ったのですが、小山田氏に裏切られ、この地で自害されたという、悲しい物語があります。日川渓谷は景徳院の傍の渓谷で、竜門峡入り口より上流右岸に遊歩道があります。標高は約800mほどで、紅葉もこれからが見頃になるところです。今日の様子です。

(1)景徳院

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(↑上の写真)左=景徳院本殿、中=庭園の紅葉、右=勝頼に従った武将の墓

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(↑上の写真)左・中=境内の紅葉、右=鐘楼 

(2)日川渓谷竜門峡

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(↑上の写真)左=竜門峡入口、中=竜門峡の紅葉、右=竜門の滝

 竜門の滝は、何となく日光の竜頭の滝に似ています。

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(↑上の写真)どれも竜門峡の紅葉

 

白駒池・横谷渓谷・御射鹿池・・・令和2年10月30日

 標高差によって違う奥蓼科の白駒池・横谷渓谷・御射鹿池の紅葉を愉しみました。<写真をクリックすると拡大されます> 

(1)白駒池(しらこまのいけ)・・・標高2115mですっかり紅葉は終わっており、歩く道には霜柱が立ち、遠くのコメツガなどの常緑樹に囲まれたダケカンバも冬枯れの様子です。

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(2)横谷渓谷(よこやけいこく)・・・標高1400m位の渓谷です。谷が深く渓谷沿いは日が差さず折角の紅葉も、日の差す山の上の紅葉に目が移ってしまいます。

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(↑上の写真)左=乙女滝

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(↑上の写真)右=霧降の滝

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(3)御射鹿池(みしゃかいけ)・・・標高1100m。東山魁夷の「緑響く」の日本画によって有名になりました。今回、紅葉が池に映える光景も素晴らしいものがあると思いました。カメラを置いて、暫しじっくりこの眼で、この光景を堪能しました。緑響くの木は唐松だったんですね。

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都立桜が丘公園・・・令和2年10月26日

 秋日和に桜が丘公園を自然観察しました。ここは、子供たちが遊べる公園と自然のままの部分とがあって、それぞれに愉しめるようになっています。キツリフネキバナアキギリが満開でした。ユウガギク、ヨメナなどは判断が難しくなっています。聖跡記念館は12月20日まで開館90周年の記念の催しを開催しています。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=聖跡記念館側の入り口、中=キツリフネ、右=トネアザミ

 トネアザミ(タイアザミ)(利根薊・鯛薊)はキク科アザミ属。関東地方北部から中部地方にかけての太平洋側の山地帯や低地の林縁に生える多年草。図鑑によっては、タイアザミを標準和名とし、トネアザミを別名としているものもあります。花は如何にも痛そうに総苞片が反り返っていることが特徴です。葉の鋸歯は棘になっていて、触ると本当に痛いのでつい「イタイ(痛い)~」といってしまうので「(イ)たいあざみ」ということでタイアザミと覚えました。トネアザミは群馬県の利根に因むということです。なお、アザミの意味は分かっていないそうですが、中村浩著「植物名の由来」にはアザミの語源が推量されています。「痛む」という動詞アザムが名詞化してアザミになったというものです。アザミは棘が多くこれに触れると痛いので、見かけによらず「驚きあざむかれた」という。「あざわらう」も同じ語源で「あざみわらう」即ち「驚きあきれる」「興醒める」のことと論じています。なるほどと思います。なお、著者は、明治以降の植物学者の語源考察は、皮相的で単なる思い付きから解釈している、と批判されています。

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(↑上の写真)左=ホトトギス、中=ユウガギク、右=カントウヨメナ

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(↑上の写真)左=ソヨゴ、中=ゴンズイ、右=クサギ

 ソヨゴ(戦)はモチノキ科モチノキ属。東北地方南部以西の痩せた山地に生える常緑小高木。雌雄異株。ソヨゴとは戦ぐ(そよぐ)という言葉からきているそうで、この木の厚めの葉が風に揺れてざわざわ戦ぐので名づけられたそうです。長い柄を持ち垂れ下がった赤い実が可愛らしいうえ、日陰にも強く、成長が遅いので木の剪定もしやすいということで、庭木として重宝され、戸建て住宅の玄関先などに植えられることが多いですね。この木を見て一番の印象は、葉縁がいい感じに波打っていることです。これが他の常緑樹との結構な区別点になります。この波打っていることが風が吹いた時の戦ぎをいっそう強くするようです。どうでしょうか。

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(↑上の写真)左=キバナアキギリ、中=ハナタデ、右=ブタナ

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(↑上の写真)左=聖跡記念館、中=公園に広がる秋空、右=外周中間点の杉の辻のメタセコイア

 メタセコイアは、スギ科メタセコイア属。落葉高木。別名アケボノスギ。メタセコイアは、いろいろ話題の多い木で、はじめ新生代第三紀層から化石が発見され、研究していた三木茂博士はセコイアに似ているが違っているので「メタ(異なる)」という接頭語をつけて「メタセコイア」と名づけ、メタセコイア属としました。昭和16年のことです。その後、中国でも研究が進み、四川省メタセコイア(現地では水杉=スイサン、地元の発音ではスイサ)の生木が発見され、生きた化石として紹介されました。それが昭和21年のことです。携わった中国の研究所所長は京都大学に留学しており、三木茂博士にすぐ問い合わせが出来たのですが、日中戦争が尾を引き、アメリカの研究者に問い合わせ、アメリカ経由で三木茂博士に問い合わされ、確定したものです。現在、浅川にはメタセコイア化石林が露出しています。斎藤清明著「メタセコイア中公新書には、経緯が詳しく書かれています。メタセコイアに関する逸話はいろいろあります。

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(↑上の写真)左=秋色を深めるケヤキ、中=カツラ、右=カツラの葉

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(↑上の写真)左=ヤブソテツ、中=ヤマヤブソテツ、右=ナガバヤブソテツ

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(↑上の写真)左=イヌワラビ、中=オオベニシダ、右=ミドリヒメワラビ

 

都立七生公園・・・令和2年10月22日

 七生(ななお)公園は多摩動物公園の西隣にあります。程久保地区と南平地区に分かれ「多摩丘陵コースかたらいの路」で結ばれています。この季節、時季を終えた草花が、残りの日数を頑張っています。訪れる人は、全くありませんでしたが、のんびり森林浴を楽しむには最適でした。

(1)程久保地区

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(↑上の写真)左=程久保地区入口、中=カシワバハグマ、右=トネアザミ

 カシワバハグマ(柏葉白熊)はキク科コウヤボウキ属。本州以南の山地の林内に生える多年草。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると和名柏葉白熊は、葉が柏の葉に似て、花が白熊(ハグマ)、即ちヤクの白い尾の毛のようだという意味。上の写真では、柏の葉のような鋸歯があまり見られませんが、個体差によると思います。この花は根もと(花托)が筆の根もとのように革質のうろこ状の総苞片できつく結ばれていて、筆先がヤクの白い尻尾のように束ねられている様子が特徴です。上の写真で白い花びらがヤクの白い尻尾の毛の部分に当たると考えると、似ていることが分かります。僧侶が法要に使う払子がハグマだそうで、ハグマは白い熊を指すのではなく「ヤクの尻尾の白い毛」のことをいうそうです。

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(↑上の写真)左=ナガバオモダカ、中=オオオナモミ、右=セイタカアワダチソウ

 オオオナモミ(大葈耳、大巻耳)はキク科オナモミ属。日本帰化植物写真図鑑によるとユーラシアまたは北アメリカ原産とされ、世界中に広がっているやゝ粗大な一年生草本。葉は互生し3~5浅裂し、縁に低い鋸歯がある。茎の頂きと葉腋に花序を出す。日本では昭和4年岡山県で記録され、その後、全国に広がった、ということです。みなさんの家の近くにはあるでしょうか。昭和15年にスイス人がマジックテープを思いつき昭和25年に商品化したのは、別の草の実の鉤でしたが、オオオナモミの実の鉤の形は十分研究の余地がありますね。

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(↑上の写真)左=リョウメンシダ、中=フモトシダ、右=ワラビ

(2)南平地区

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(↑上の写真)左=水辺の広場、中=キバナアキギリ、右=クワクサ

 クワクサ(桑草)はクワ科クワクサ属。本州以南の道端、荒れ地などに生える一年草。和名桑草は、桑の葉のような様子をした草の意。雌雄同株で雄花と雌花は混生するとのこと。どうにも地味な草ですが、この時季になると、これまた埃でもついているのかなと思わせる地味な花を咲かせます。桑の葉のような葉をもつ草と知るとよく目につくようになり「なるほど桑の葉の様だ」とこの草に対する親しみがさらに増します。

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(↑上の写真)左=ササガヤ、中=ミドリヒメワラビ、右=ハリガネワラビ

 ササガヤ(笹茅)はイネ科アシボソ属。日本各地の林内、林縁、道端など半日陰の場所に生える一年草。和名は葉が笹に似ていることによるという。メヒシバやアシボソを小さくなよなよさせたような感じの可愛らしいイネ科植物。花穂がはじめ絡み合った状態で伸びてくるのが特徴。

 

南平丘陵公園・・・令和2年10月22日

 日野市立南平丘陵公園は丘陵と谷戸の起伏に富む公園です。今は、ガマズミ、コバノガマズミなど赤い実がたわわに実り、目を瞠ります。谷戸のひょうたん池周辺には香ばしい磯辺焼の香りが広がっています。そろそろ黄葉が始まったカツラの木の葉が醸し出す香りです。

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(↑上の写真)左=公園入口、中=ガマズミ、右=コバノガマズミ

 ガマズミ莢蒾)はレンプクソウ科ガマズミ属。日本各地の丘陵、山地に見られる落葉低木。ガマズミを莢蒾(キョウメイ)と漢字を当てるのは漢名の慣用。ガマズミの語源は、Web「レファレンス協同データベース」にいろいろな説が紹介されていますが、その他のWebに、昔、マタギが山の中で「神様が与えてくれたありがたい実」として食べたというので「神っ実」と言われたのが語源で、それがカミツミ➝カミズミ➝ガマズミに転訛したという説が気に入っています。語源を想像するのも植物観察の愉しみの一つですね。自分なりの語源を創造してみるのも名前を覚えるコツかも知れません。この実を焼酎に漬けてつくる果実酒は一興ということです。

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(↑上の写真)左=クサギ、中=ゴンズイ、右=コマユミ

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(↑上の写真)左=ヤブサンザシ、中=カシワバハグマ、右=ムサシアブミ

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(↑上の写真)左=ひょうたん池、中=カツラの木の遠望、右=ひょうたん池奥のカツラの林

 カツラ(桂)はカツラ科カツラ属。日本各地の山地に生える水辺を好む落葉大高木。白亜紀の生き残りと言われ、中国四川省と日本で生き残ったそうです。春咲く花は、花とも言えない原始的な裸花といわれる花で、花びらや萼のない雌雄異株。葉は対生ですが、互生、3輪生のものもあるようです。黄葉した葉は、磯辺焼の醤油の香りがし、抹香の原料にもなるようです。南平丘陵公園では、ひょうたん池周辺で、醤油味の磯辺焼の香りが漂っています。なお、中国では、桂はモクセイのことです。