野楽力研究所

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都立七生公園・・・令和2年10月22日

 七生(ななお)公園は多摩動物公園の西隣にあります。程久保地区と南平地区に分かれ「多摩丘陵コースかたらいの路」で結ばれています。この季節、時季を終えた草花が、残りの日数を頑張っています。訪れる人は、全くありませんでしたが、のんびり森林浴を楽しむには最適でした。

(1)程久保地区

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(↑上の写真)左=程久保地区入口、中=カシワバハグマ、右=トネアザミ

 カシワバハグマ(柏葉白熊)はキク科コウヤボウキ属。本州以南の山地の林内に生える多年草。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると和名柏葉白熊は、葉が柏の葉に似て、花が白熊(ハグマ)、即ちヤクの白い尾の毛のようだという意味。上の写真では、柏の葉のような鋸歯があまり見られませんが、個体差によると思います。この花は根もと(花托)が筆の根もとのように革質のうろこ状の総苞片できつく結ばれていて、筆先がヤクの白い尻尾のように束ねられている様子が特徴です。上の写真で白い花びらがヤクの白い尻尾の毛の部分に当たると考えると、似ていることが分かります。僧侶が法要に使う払子がハグマだそうで、ハグマは白い熊を指すのではなく「ヤクの尻尾の白い毛」のことをいうそうです。

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(↑上の写真)左=ナガバオモダカ、中=オオオナモミ、右=セイタカアワダチソウ

 オオオナモミ(大葈耳、大巻耳)はキク科オナモミ属。日本帰化植物写真図鑑によるとユーラシアまたは北アメリカ原産とされ、世界中に広がっているやゝ粗大な一年生草本。葉は互生し3~5浅裂し、縁に低い鋸歯がある。茎の頂きと葉腋に花序を出す。日本では昭和4年岡山県で記録され、その後、全国に広がった、ということです。みなさんの家の近くにはあるでしょうか。昭和15年にスイス人がマジックテープを思いつき昭和25年に商品化したのは、別の草の実の鉤でしたが、オオオナモミの実の鉤の形は十分研究の余地がありますね。

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(↑上の写真)左=リョウメンシダ、中=フモトシダ、右=ワラビ

(2)南平地区

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(↑上の写真)左=水辺の広場、中=キバナアキギリ、右=クワクサ

 クワクサ(桑草)はクワ科クワクサ属。本州以南の道端、荒れ地などに生える一年草。和名桑草は、桑の葉のような様子をした草の意。雌雄同株で雄花と雌花は混生するとのこと。どうにも地味な草ですが、この時季になると、これまた埃でもついているのかなと思わせる地味な花を咲かせます。桑の葉のような葉をもつ草と知るとよく目につくようになり「なるほど桑の葉の様だ」とこの草に対する親しみがさらに増します。

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(↑上の写真)左=ササガヤ、中=ミドリヒメワラビ、右=ハリガネワラビ

 ササガヤ(笹茅)はイネ科アシボソ属。日本各地の林内、林縁、道端など半日陰の場所に生える一年草。和名は葉が笹に似ていることによるという。メヒシバやアシボソを小さくなよなよさせたような感じの可愛らしいイネ科植物。花穂がはじめ絡み合った状態で伸びてくるのが特徴。