野楽力研究所

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都立桜が丘公園・・・令和2年10月26日

 秋日和に桜が丘公園を自然観察しました。ここは、子供たちが遊べる公園と自然のままの部分とがあって、それぞれに愉しめるようになっています。キツリフネキバナアキギリが満開でした。ユウガギク、ヨメナなどは判断が難しくなっています。聖跡記念館は12月20日まで開館90周年の記念の催しを開催しています。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=聖跡記念館側の入り口、中=キツリフネ、右=トネアザミ

 トネアザミ(タイアザミ)(利根薊・鯛薊)はキク科アザミ属。関東地方北部から中部地方にかけての太平洋側の山地帯や低地の林縁に生える多年草。図鑑によっては、タイアザミを標準和名とし、トネアザミを別名としているものもあります。花は如何にも痛そうに総苞片が反り返っていることが特徴です。葉の鋸歯は棘になっていて、触ると本当に痛いのでつい「イタイ(痛い)~」といってしまうので「(イ)たいあざみ」ということでタイアザミと覚えました。トネアザミは群馬県の利根に因むということです。なお、アザミの意味は分かっていないそうですが、中村浩著「植物名の由来」にはアザミの語源が推量されています。「痛む」という動詞アザムが名詞化してアザミになったというものです。アザミは棘が多くこれに触れると痛いので、見かけによらず「驚きあざむかれた」という。「あざわらう」も同じ語源で「あざみわらう」即ち「驚きあきれる」「興醒める」のことと論じています。なるほどと思います。なお、著者は、明治以降の植物学者の語源考察は、皮相的で単なる思い付きから解釈している、と批判されています。

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(↑上の写真)左=ホトトギス、中=ユウガギク、右=カントウヨメナ

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(↑上の写真)左=ソヨゴ、中=ゴンズイ、右=クサギ

 ソヨゴ(戦)はモチノキ科モチノキ属。東北地方南部以西の痩せた山地に生える常緑小高木。雌雄異株。ソヨゴとは戦ぐ(そよぐ)という言葉からきているそうで、この木の厚めの葉が風に揺れてざわざわ戦ぐので名づけられたそうです。長い柄を持ち垂れ下がった赤い実が可愛らしいうえ、日陰にも強く、成長が遅いので木の剪定もしやすいということで、庭木として重宝され、戸建て住宅の玄関先などに植えられることが多いですね。この木を見て一番の印象は、葉縁がいい感じに波打っていることです。これが他の常緑樹との結構な区別点になります。この波打っていることが風が吹いた時の戦ぎをいっそう強くするようです。どうでしょうか。

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(↑上の写真)左=キバナアキギリ、中=ハナタデ、右=ブタナ

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(↑上の写真)左=聖跡記念館、中=公園に広がる秋空、右=外周中間点の杉の辻のメタセコイア

 メタセコイアは、スギ科メタセコイア属。落葉高木。別名アケボノスギ。メタセコイアは、いろいろ話題の多い木で、はじめ新生代第三紀層から化石が発見され、研究していた三木茂博士はセコイアに似ているが違っているので「メタ(異なる)」という接頭語をつけて「メタセコイア」と名づけ、メタセコイア属としました。昭和16年のことです。その後、中国でも研究が進み、四川省メタセコイア(現地では水杉=スイサン、地元の発音ではスイサ)の生木が発見され、生きた化石として紹介されました。それが昭和21年のことです。携わった中国の研究所所長は京都大学に留学しており、三木茂博士にすぐ問い合わせが出来たのですが、日中戦争が尾を引き、アメリカの研究者に問い合わせ、アメリカ経由で三木茂博士に問い合わされ、確定したものです。現在、浅川にはメタセコイア化石林が露出しています。斎藤清明著「メタセコイア中公新書には、経緯が詳しく書かれています。メタセコイアに関する逸話はいろいろあります。

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(↑上の写真)左=秋色を深めるケヤキ、中=カツラ、右=カツラの葉

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(↑上の写真)左=ヤブソテツ、中=ヤマヤブソテツ、右=ナガバヤブソテツ

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(↑上の写真)左=イヌワラビ、中=オオベニシダ、右=ミドリヒメワラビ