野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

都立小宮公園・・・令和8年8月17日

 ここは公園南部の正式の入口付近の弁財天を中心とした低湿地とそれを取り囲むヒヨドリ山などの丘陵地からなり、多様な植物が繁茂しています。繁茂に任せた自然が維持されているので、写真に撮る標本的な写真はなかなか撮れません。低湿地ではウバユリの写真がたくさん撮れると思っていたのですが、もう咲き終わっていたようです。コバノギボウシはあちこちに見られました。今日の小宮公園の様子です。

(↑上の写真)左=入口の石碑、中=公園入口の様子、右=低湿地への入口

(↑上の写真)左=ヤイトバナ(灸花)=ヘクソカズラ(屁糞葛)、中=ノブドウ(野葡萄)、右=シロヤマブキ(白山吹)・・特徴のある4つの黒い実

(↑上の写真)左と中=タケニグサ(竹似草、竹煮草)の実、右=ヒメワラビ(姫蕨)

(↑上の写真)左と中=アキノタムラソウ(秋の田村草)、右=アカソ(赤麻)

(↑上の写真)左=ヒカゲイノコズチ(日陰猪の子槌)、中=オトコエシ(男郎花)、右=ノハラアザミ(野原薊)

(↑上の写真)左と中=ウバユリ(姥百合)、中=ウバユリの実、右=ヌスビトハギ(盗人萩)

(↑上の写真)左=キツネノカミソリ(狐剃刀)、中と右=コバノギボウシ(小葉の擬宝珠)

(↑上の写真)いずれもヒヨドリバナ(鵯花)

(↑上の写真)左と中=アメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花)、右=クサギ(臭木)

(↑上の写真)左=ゴンズイ(権萃)の実、中=ガマズミ(莢蒾)の実、右=マユミ(真弓)の実

(↑上の写真)左と中=アカメガシワ(赤芽槲・赤芽柏)の実、右=ヤマボウシ(山法師)の実

(↑上の写真)左=ワルナスビ(悪茄)、中=ノカンゾウ(野萱草)、右=お花畑

(↑上の写真)左=センニチコウ(千日紅)、中=メランポジウム、右=ジニア(百日草)

(↑上の写真)左=ブルーサルビア、中=ポーチュラカ、右=キバナコスモス(黄花秋桜)

(↑上の写真)左=ミストフラワー、中=ビジョザクラ(美女桜)、右=ヒメビジョザクラ(姫美女桜)

(↑上の写真)左=メドーセージ、中=ヒマワリ(向日葵)、右=サービスセンター(月曜は休館)

【以後、これから順次解説を挿入していきます】

多摩地区東部の街中自然観察・・・令和8年8月13日

 雨の合間を縫って近所の街中自然観察に出かけました。やはり雨に遭いました。サルスベリは百日紅と言われるくらい花の期間が長いので、どれくらいかと思って毎回撮って見ることにしました。新しくタイワンユリやカノコユリ、ヒオウギが咲き始めました。アメリカデイゴを植栽されている方がお出でで、この時期珍しい花を咲かせていました。敷地のちょっとした空間でヒマワリを育てていらっしゃる家庭もありました。  今日の街中の自然の様子です。

(↑上の写真)いずれもサルスベリ(猿滑り、百日紅)

(↑上の写真)いずれもタイワンユリ(台湾百合) 

  タイワンユリ(台湾百合)はユリ科ユリ属。別名はタカサゴユリ、ホソバテッポウユリ。台湾原産、山地に多い多年草で茎は直立し、2mにもなる。花は79月頃に、テッポウユリに似た白いラッパ状の大輪の花を咲かせる。最大の特徴は、花びらの外側に淡い紫褐色の筋(すじ)が入る点。葉は非常に細長い線形の葉が、茎に密集して互生に生える。また、タイワンユリとテッポウユリが自然交配して生まれた「シンテッポウユリ」という交雑種も野生化しており、こちらは外側の紫褐色の筋が消えているものが多く、外見での正確な識別が難しい場合もある、ということです。上の左の写真はシンテッポウユリと思われますが、どうでしょうか。花の外側の紫褐色の筋が消えて真白で、線形の葉が随分密集しています。(『APG牧野植物図鑑』、Web『AI』<国立環境研究所>を参照、翻案) 

(↑上の写真)左=カノコユリ(鹿子百合)、中と右=ヒオウギ(檜扇)の黄花品種 

 カノコユリ(鹿の子百合)はユリ科ユリ属。四国、九州の海岸や山地の石灰岩の崖に稀に生え、また観賞のために栽培される多年草。茎は高さ1~1,5mになり花の咲くときに斜めに傾く。葉は長さ15cm位、広く7脈があり革質で艶がある。花は夏、径15cmほどで斜め下向きに開く。和名鹿の子百合は花被内面の斑点を鹿の子絞りにたとえたもの、という。朝井まかて著 『先生のお庭番』「先生(シーボルト)はゆっくりと土の上に片膝をつき、百合の花に顔を近づけた。その百合は透き通るように白い花びらに紅色の点を散らしていることから、鹿の子百合と呼ばれる。熊吉(お庭番)にとっては山地で見慣れた花だが、こうして百球近くがまとまって一斉に花開くと雄蕊が際立って長いのが殊更美しく、盛りの時分はもう過ぎているのだがまだ辺りを払うような香気を馥郁と放つ。「やぱんの花も……欧州で聞いていた以上に、いや数千倍も美しか。こげん美しさに、私は出会うことがなか」(先生の感想だが)あとは蘭語で何やら呟いている。「先生、この百合は何の病に効くとですか」話の接ぎ穂に困って何となくそう(熊吉は)訊いた。先生は茎の部分を指差し、咳をする真似をする。「咳止めに解熱、消炎、それに滋養強壮の効能もある」(と先生はいわれた)(『APG牧野植物図鑑』参照・翻案)

(↑上の写真)左=ノリウツギ(糊空木)、中=ブラックベリー、右=クレマチス(カザグルマ・テッセン)

 ノリウツギ(糊空木)はアジサイ科アジサイ属。Web『ウィキペディア』によると「日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、山野や山地の低木林や林縁などに自生する。南千島、樺太、中国、台湾にも分布する。奈良県の大台ケ原はノリウツギの自生地。葉に葉柄があり、枝に対生し、ときに3輪生する。また、樹幹は中空(だからウツギ=空木)で樹皮から出る樹液を和紙を漉く際の糊に利用したためノリウツギという」と、あります。皮の剥けたところを触ると糊のようなネバネバした樹液が出ているのが分かります。

(↑上の写真)左=チェリーセージ、中=ノブドウ(野葡萄)、右=ヤマノイモ(山の芋)の雄花序

 ヤマノイモ(山の芋)はヤマノイモ科ヤマノイモ属。別名はジネンジョ、またはジネンジョウ。『APG牧野植物図鑑』によると「本州から琉球列島、台湾、朝鮮半島、中国の温帯から暖帯に分布。山野に普通に生えるつる性の多年草。葉は対生。茎は春から伸び、花は夏。雌雄異株で雄花の花序は立ち、雌花の花序は垂れ下がる」とあります。上掲写真では雄花序の上向きの花序が写っていますが、下向きの雌花序も見つけてください。子どもたちがその果実(蒴果)を鼻につけて天狗の鼻として遊ぶ3枚の半円形の翼が120度の角度で組み合わさった立体的な形のものです。その蒴果ができる雌花の花序=雌花序(雌花の花のつながり)です。

(↑上の写真)左=ハツユキソウ(初雪草)、中=チチコグサモドキ(父子草擬き)、右=イヌホオズキ(犬酸漿)

(↑上の写真)左=アメリカデイゴ、中=スベリヒユ(滑り莧)、右=コニシキソウ(小錦草)

(↑上の写真)左=オタフクナンテン(お多福南天)、中=ツユクサ(露草)、右=ナガネギ(長葱)の育つ農地の風景

(↑上の写真)左=ヒマワリ(向日葵)、中=クワクサ(桑草)、右=ナガエコミカンソウ(長柄小蜜柑草)

(↑上の写真)左=ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬)、中=ノゲシ(野芥子・野罌粟)、右=センニチコウ(千日紅)

 

 

神代植物公園・植物多様性センター・・・令和8年8月5日

 暑い日でしたので、はじめに都立植物多様性センターを訪れ、つぎに神代植物公園の見たいところを回りました。植物多様性センターでは、水槽展示の湿地植物を観察し、武蔵野ゾーン、伊豆諸島ゾーンを見て回りました。神代植物公園の大温室では食虫植物展(8月9日<日>まで)が行われており、各種食虫植物が展示されていました。今日の様子です。

↓都立植物多様性センターにて

(↑上の写真)左=植物多様性センター西門入口、中=キササゲ(木大角豆)の若い実、右=ゴンズイ(権萃)の実

(↑上の写真)左=ミズキンバイ(水金梅)、中=ガガブタ(鏡蓋)、右=オオバナイトタヌキモ(大花糸狸藻)

(↑上の写真)左=サワギキョウ(沢桔梗)、中=情報館(植物多様性センター)、右=ヤブラン(藪蘭)

(↑上の写真)左と中=マツカゼソウ(松風草)、右=ヤブマオ(藪苧麻)

(↑上の写真)左と中=ゴマギ(胡麻木)、右=コムラサキシキブ(小紫式部)

 ゴマギ(胡麻木)はレンプクソウ科ガマズミ属。『APG牧野植物図鑑』によると「本州、四国、九州の山野で湿潤地に好んで生える落葉低木」とあります。関東地方にもたくさんあるはずですが、目にしたことがありませんでした。ガマズミ属なのでガマズミと見違えていたかもしれません。見た目、そっくりです。よく見ると葉の先端は尖らず丸みを帯びているようです。葉の先端に注目すれば間違えることはないでしょう。今までガマズミと思っていた木を見直してみるといいかも知れませんね。

(↑上の写真)左=キンミズヒキ(金水引)、中=カワラナデシコ(河原撫子)、右=コマツナギ(駒繋)

(↑上の写真)左と中=ノコギリソウ(鋸草)、右=ガンクビソウ(雁首草)

(↑上の写真)左と中=シギンカラマツ(紫銀唐松)、右=ツルニガクサ(蔓苦草)

 シギンカラマツ(紫銀唐松)はキンポウゲ科カラマツソウ属。『APG牧野植物図鑑』によると「中国地方以西、四国、九州の山地あるいは山林内に生える多年草。花は初夏、複散房花序になる。萼片は4枚で花時に落ちる。痩果は無柄。和名紫銀唐松は花が紅色を帯びた白色なので、近似種のシキンカラマツに対して呼んだ名」ということです。シキンカラマツとシギンカラマツは名こそ似ていますが、別種の植物です。Web『宮崎と周辺の植物』によると「現地で何回か果実の撮影を繰り返している内に、初めて果実が美しい紫色に熟すことを知って、紫銀唐松の紫の字に大きな意味がありそうな気がしてきた」とあります。果実は4~3個の痩果がついたもので、秋にはきれいな紫色になるというので、できたらこの秋に神代植物公園に行って確認したいですね。

(↑上の写真)左と中=クサギ(臭木)、右=ボタンボウフウ(牡丹防風)

 クサギ(臭木)はシソ科クサギ属。『APG牧野植物図鑑』によると「北海道から琉球列島まで、および朝鮮半島、台湾、中国の温帯から亜熱帯に分布し、山野に生える落葉低木ないし小高木」ということです。飯泉優著『草木帖』によると「(臭木は)パイオニア精神が旺盛で、新しい裸地が出現すると、いち早く飛び込んできてすみつく。和名は臭木の意味で、香りのよい花とは裏腹に、葉の汁などの放つ異臭にちなむ。この臭気に不快感を感じる者が多いが、子どもたちは、ピーナッツバターのようなよい香りと評判が良い」とうことです。みなさんも、葉をもんで臭いを嗅いで実感してみてください。『雪国植物園の花々300選』によると「枝を傷つけると強い臭気がするので、可哀そうな名がつけられた。でも真夏に咲く花も、秋の果実も絶品ともいえる個性的な美しさを誇っている。枝先の長い柄にたくさんの花序をつけ、五裂した白い花弁と紅色の萼、さらには長い4本の雄しべと1本の雌しべの絶妙なバランスが良い」とあります。花のつくりもじっくり観察する必要がありそうです。

(↑上の写真)左と中=ハマゴウ(浜栲・浜香)、右=伊豆諸島ゾーンの風景

↓神代植物公園にて

(↑上の写真)左=入口正面の女性像(安田周三郎作品「拱く=こまねく」)、中=ミソハギ(禊萩)、右=左側の方はガマ(蒲)で右側の方はヒメガマ(姫蒲)

(↑上の写真)左=ヤマユリ(山百合)、中=キスゲ(黄菅)、右=ノシラン(熨斗蘭)

(↑上の写真)左と中=キツネノマゴ(狐の孫)、右=トウフジウツギ(唐藤空木)

(↑上の写真)いずれも深大寺在来のソバ(蕎麦)

(↑上の写真)左と中=催し「江戸の夏を歩く変化朝顔と風鈴回廊」(催しは、せせらぎの小路で8月30日まで。支柱に変化朝顔を巻き付けていますが、花は、まだこれからのようです。)、右=ツキヌキニンドウ

↓大温室にて>(食虫植物展は8月9日まで)

↓その他、大温室内での様子

↓ダリア園にて>ダリア各種

(↑上の写真)左=綺星、中=風炎、右=憩

(↑上の写真)左=紫式部、中=千の瞳、右=大滝

 

東京都薬用植物園・・・令和8年7月29日

 東京都薬用植物園を訪れました。早くも秋を感じさせるコスモス、オミナエシ、キキョウ、そして珍しいゴボウの花が迎えてくれました。ゴボウの花をはじめてみました。イイギリ、ノグルミ、エゴノキ、クコの実を見ることができました。温室内では、香水の原料のイランイランノキの変わった花が咲いています。今日の園内の様子です。(西武線東大和市駅下車南へ徒歩3分)

(↑上の写真)左=入口、正面のガラス張りが温室、中=コスモス(秋桜)の咲き始め、右=クロホオズキ(黒酸漿)

(↑上の写真)いずれもオミナエシ(女郎花)

(↑上の写真)いずれもゴボウ(牛蒡)、ゴボウの花盛り

 ゴボウ(牛蒡)はキク科ゴボウ属。『牧野新日本植物図鑑』によると「ヨーロッパからヒマラヤ中国にかけて分布し、我が国では盛んに栽培される越年草。夏に、茎の上部で分枝し、紫色またはまれに白色の管状花からなる多数の頭花をつける。頭花は球形で径約4cm花床には剛毛がある。総苞片は針状で先がかぎ状となり、他物にくっつく。痩果は長さ7mm内外、灰褐色で、冠毛は短く脱落性の鱗片状となっている」とあります。ゴボウの花を滅多に見かけないのは、花が咲く前のゴボウが一番おいしいということで、花が咲く前に収穫されるからのようです。従って、ゴボウの花を見るのは今、ここ(東京都薬用植物園)に来るのが一番のようです

(↑上の写真)いずれもハトムギ(鳩麦)

 ハトムギ(鳩麦)はイネ科ジュズダマ属。ハトムギはジュズダマとは変種の関係にあります。ジュズダマは多年草ですが、ハトムギは一年草です。トウモロコシなどと同じく雌雄異花のイネ科で、上掲写真にみられる二又になった紫色または白色の紐状のものが雌花の柱頭です。苞鞘(ふくらんだ部分)の先端から出ている穂の部分は雄花序で、隙間から見えている赤褐色のものが、花粉を出す雄しべの葯です。ハトムギでは、穀粒が育ってくると、下を向いてきて「頭を垂れる」姿になります。ジュズダマでは、完熟してもずっと上向きです。ハトムギという名はハトの食べる麦という意味だと思われる、ということです。(『牧野富太郎植物記2野の花2』、Web『公益社団法人東京生薬協会』、Web『AI』など参照、翻案)

(↑上の写真)いずれもミシマサイコ(三島柴胡)

(↑上の写真)いずれもカワミドリ(河碧、川緑、川翠)

(↑上の写真)いずれもオオケタデ(大毛蓼)

(↑上の写真)左=アメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花)中=キョウチクトウ(夾竹桃)、右=センニンソウ(仙人草)

 センニンソウ(仙人草)はキンポウゲ科センニンソウ属。『APG牧野植物図鑑』によると「日本各地、および朝鮮半島、台湾、中国中部の温帯から亜熱帯に分布。日当りのよい山野や道端に生える蔓性の多年草」とあります。白い十字の花弁のように見えるのは花弁ではなく萼片。花が咲き終わった後に、雌しべの花柱が伸び、その痩果に白い仙人の鬚のような毛が生えるので、センニンソウ(仙人草)と言われています。別名が「ウマクワズ(馬食わず)」と言われる有毒植物で馬や牛が絶対に口にしないとのこと。丸山尚敏解説『野に咲く花2』によると「センニンソウは有毒植物で、うっかり口にすると口中が水泡だらけになり、ひどい時には化膿して胃腸にまででき物ができてしまうから恐ろしい」とあります。葉は羽状複葉で小葉は3~7枚、葉柄が曲がりくねって他の物に絡みながら、他の植物の上に伸び太陽光を独り占めにします。似たような花にボタンヅルがありますが、ボタンヅルは葉が牡丹のように3出複葉なので、すぐ見分けがつきます

(↑上の写真)いずれもカラスビシャク(烏柄杓)

(↑上の写真)左と中=ヤブラン(藪蘭)、中=花のアップ写真、右=マルバハッカ(丸葉薄荷)

(↑上の写真)左=ランタナ、中と右=エキナケアサザンベル

(↑上の写真)いずれも実、左=オオミサンザシ(大実山査子)、中=イイギリ(飯桐)、右=エゴノキ(野茉莉)

 エゴノキ(和名の漢字は無し、「野茉莉」を当てることがありますが、これは漢語)は、エゴノキ科エゴノキ属。このエゴノキは属名の代表になっています。現在、花は終わり、実ができています。この実が垂れ下がった様子を「森の裸電球」と表現した人がいました。電球が点いたら、鬼火を思わせるような感じでしょう。この実の果皮にはサポニンが含まれているので、この実を口にすると口の中が大変なことになります。この感じをえぐい(蘞い・醶い)というそうです。この「えぐい木」という表現がいつの間にか「エゴノキ」になったということなので、名前としての漢字が無いということになったようです。白く緻密な材をロクロ細工に用いたことから別名「轆轤木(ろくろぎ)」というそうですが、これを標準和名にしたいです。因みに「エゴノキは、北海道から琉球列島、及び朝鮮半島や中国の温帯から亜熱帯に分布。山野の小川の縁などに生える落葉小高木」ということです。(『APG牧野植物図鑑』、高尾森林センター発行、林弥栄<やさか>解説『樹木カード』、多田多恵子著『野花手帳』、Web『AI』などを参照、翻案)

【以下は温室にて】

(↑上の写真)左=温室内の様子、中=イランイランノキ、右=グローバ・ウィニティー

 イランイランノキはモクレン目バンレイシ科イランイランノキ属(モクレン目と聞くと何となく雰囲気が伝わりますね)。Web『AI』によると「原産地(自生地)はマレーシアからインドネシアなどの東南アジアからオーストラリア熱帯域。化粧品の香料(精油)の原料として非常に価値が高いため、世界中の熱帯地域で商業栽培されている。青山美智子著『木曜日にはココアを』に「イギリスに行く直前、私はかねてから研究していた媚薬を完成させたのだ。イランイランの精油、ロータスのエッセンス、勿忘草の花びら、私の吐息、満月の光のしずく・・・あとは秘密。それをローズの特性フローラルウオーターに混ぜ込み、自分の頭から足先までたっぷりとスプレーした。そして出勤前の彼をアパートの下で待ち伏せし、偶然を装ってバス停まで一緒に歩くことに成功した。(さてどうなったでしょうか)

(↑上の写真)左=エンジェルス・イヤリング・アメジスト(フクシア)、中=スパシフィラム、右=ゲンペイクサギ(源平臭木)
 スパシフィラムは、この温室ではスパフィラムと掲示されていますが、APG分類ではスパティフィラムのようです。オモダカ目サトイモ科スパティフィラム属(ササウチワ属)。一見ミズバショウに似ています。花のつくりは全く同じです。白い大きな花びらのようなものは仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれ、仏炎苞の内側にある、こん棒のような形の雄花、雌花の集合体(肉穂花序=にくすいかじょ)を保護し、同時に、虫たちに「ここに花があるよ」と知らせ、引き寄せるために葉を白く変化させ目立たせます。花が結実するとスパシフィラムやミズバショウの仏炎苞は花を保護する必要がなくなるので、本来の葉の役目、つまり光合成を行うように緑色に変化し光合成を行います。その葉の本来の役目も終えると茶色に枯れていきます。水辺に生えるミズバショウは水に溶けてなくなりますが、スパシフィラムはカサカサの茶色の枯葉のようになります。仏炎苞の正体は、葉だったということですね。この時期、ハンゲショウも同じように葉を白くし、やがて緑に変化させますね。

東京都多摩地区東部街中自然観察・・・令和8年7月24日

 梅雨明け10日の日照りが続いています。草花も園芸種を除けば花はぐっと少なくなりました。僅かな地面を見つけてへばりついている草々から、水が欲しい、という声が聞こえてくるようです。そのような折、曇りの時間帯を見計らって街中の自然観察に出かけました。スイフヨウ、ムクゲ、ノウゼンカズラが咲いていました。今日の街中の草花の様子です。(写真をクリックすると拡大されます)

(↑上の写真)いずれもスイフヨウ(酔芙蓉)

 スイフヨウ(酔芙蓉)はアオイ科フヨウ属。今回は雌しべ、雄しべのつくりに注目します。上掲、中のアップ写真を見てください。雌しべと雄しべは「単体雄蕊(たんたいゆうずい)」と呼ばれるアオイ科特有の非常にユニークな合着構造をしています。多数ある雄しべの花糸(かし:花粉袋を支える柄)が根元で互いにくっつき合い、1本の筒(雄しべ筒)を作っています。この筒の表面から、ブラシのようにたくさんの黄色い葯(やく:花粉を入れる袋)が外側に向かって突き出ています。雌しべの細長い軸(花柱)は、雄しべが作った筒の中を貫通して伸び、雌しべの先端(柱頭)は5裂し、上向きに曲がって飛び出しています。5裂した柱頭には、花粉がつきやすいように細かい毛(繊毛)が密生しています。(Web『AI』を参照、翻案)

(↑上の写真)いずれもムクゲ(木槿)

(↑上の写真)左=ノウゼンカズラ(凌霄花)。中と右=アメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花)

 アメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花)はノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属。北米が原産地で日本には大正時代に渡来したといわれます。在来(元々は中国渡来)のノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラとの区別は「アメリカのそれは花筒が長い割に、花の径が小さい、在来のものはその逆」というような区別でした。今回は萼に注目して、アメリカノウゼンカズラは萼が花筒と同じ赤みを帯びていますが、在来のノウゼンカズラの萼は緑色をしています。この区別の仕方はどうでしょうか。

(↑上の写真)左=サルスベリ(猿滑り、百日紅)、中=スズランノキ(鈴蘭の木)、右=シマトネリコ(島戸練子・島戸錬子)

 シマトネリコ(島梣、島秦皮)はモクセイ科トネリコ属。シマトネリコのシマは原産である沖縄などの南の島を指して名づけられたそうです。 トネリコ(戸錬子)自体の由来は、諸説あるそうです。一つは、樹皮につく虫が分泌する白ロウを、戸の滑りをよくするため戸の溝に塗ったトヌリキがトネリコに変化したという説。もう一つは、写径を行う際に、本種の皮を煮て膠(にかわ)状にして、そこに墨を混ぜて練ったものを使ったことから、トモネリコ(共練濃)がトネリコに変化したという説などが紹介されています。最近は建売住宅の玄関脇に植えられたり、カブトムシが寄りつく木として有名になったりしています。(各種Webなどを参照)

(↑上の写真)左と中=オシロイバナ(白粉花)、右=ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜)=ゲンペイコギク(源平小菊)

 オシロイバナ(白粉花)はオシロイバナ科オシロイバナ属。『APG牧野植物図鑑』によると「南アメリカ原産。古くに日本に渡来し観賞用に栽培され、逸出したものが野生化している多年草」とあります。ラッパ状をした花びら(花冠)のように見えるものは萼片で、花冠の根元にある萼のような緑色のものは総苞だそうです。湯浅浩史著『花おりおり』 によると「午後4時ころに花が開く。香りは甘く、夜間も漂う。開花時刻に活動している昼間の昆虫は、多彩な色で昆虫を惹きつけ、夜の花は香りで昆虫を誘う。効率の良い花だ。丸い実のような種子は、つぶすと白い粉状の胚乳が出て来る。そのことから江戸時代の博物学者、貝原益軒は「白粉花(おしろいばな)と名づけた(一部翻案)」ということです。子どもの頃、この白粉を鼻につけて遊んだことがある人もいると思います。夕方から夜にかけて開花するので日中は萎んだようになっています。

(↑上の写真)左=メヒシバ(雌日芝)、中=エノコログサ(犬の子草、狗尾草)、右=マメグンバイナズナ(豆軍配薺)

 エノコログサ(狗尾草)はイネ科エノコログサ属。杉村昇著『名前といわれ野の草花図鑑』によると「エノコ(狗)とは子犬のことで、ロとは尾(お)の訛ったもの。花穂がやわらかく風になびく姿を、子犬の尾に見立てての名前です。別名をネコジャラシ(とくに関東地方で呼ばれる)といい、これは花穂でネコ(猫)をじゃらす、という意味です」ということで名前の由来が分かりました。今回は、エノコログサが夏の日照りの中で萎れもせず育っているわけを農研機構農業環境変動研究センター生物多様性研究領域 吉村泰幸著『C4 植物のきた道』やWeb『AI』を参考にして考えてみました。その秘密はエノコログサがC4植物と言われる植物だからだそうです。C4植物と言われるトウモロコシ・サトウキビ、エノコログサなどは乾燥に非常に強い組織を持っているそうです。普通、植物は光合成をするために気孔を開いて二酸化炭素を取り入れます。しかし、気孔を開くと水分もそこから逃げ出してしまいます。C4植物は気孔を開いた時に取り入れた二酸化炭素を濃縮させることができるので、一度にたくさんの二酸化炭素を取り入れることができます。そのため気孔を開く回数を減らすことができ、水分の蒸散を防ぐことができます。エノコログサをはじめC4植物が乾燥した夏の炎天下で萎れることなく元気なのはそのためということです。

(↑上の写真)左=ノゲシ(野芥子・野罌粟)、中=ヤイトバナ(灸花)=ヘクソカズラ(屁糞葛)、右=ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)

 ヤイトバナ(灸花)=ヘクソカズラ(屁糞葛)=アカネ科ヘクソカズラ属。『APG牧野植物図鑑』によると「日本各地及び朝鮮半島、中国、フィリピンなどの温帯から熱帯に分布。荒地や山野の草地に生える多年草」とあります。田中修著『かぐわしき植物たちの秘密』に「蔓が伸びて、小さな葉が繁茂した後、夏に、漏斗形の小さな花が咲きます。「ヤイトバナ」ともいわれるように、花の中央に灸(やいと)の痕のような赤味があります。「サオトメバナ」とも呼ばれます。悪臭の成分は「メルカブタン」という物質です。万葉集には「クソカズラ」として出てきます。江戸時代に「ヘ」がついてヘクソカズラとなります。傍にいても何も匂わないのに、葉を少し揉めば香りが出てきます。葉の香りは、虫や動物が葉をかじった時に、葉が身を守るために発散させるものです。葉を齧った虫や動物にとって、ヘクソカズラの発散するメルカブタンは耐えられないものなのです」と紹介されています。なお、野楽力研究所ではヘクソカズラと呼ばずにヤイトバナと呼ぶよう推奨しています。

(↑上の写真)左=スベリヒユ、中=チチコグサモドキ(父子草擬)、右=ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬)

(↑上の写真)左=ミソハギ(禊萩)、中=メドウセージ(サルビア)、右=カサブランカ(ユリ)

(↑上の写真)左=ニチニチソウ(日々草)、中=サマーポインセチア=ショウジョウソウ(猩猩草)、右=キバナコスモス(黄花秋桜)

(↑上の写真)左=マサキ(柾)の蕾、中=シラカシ(白樫)の実(未熟)、右=カキ(柿)の実(未熟)

 シラカシ(白樫)はブナ科コナラ属。山渓カラー名鑑『日本の樹木』によると、福島。新潟県以西の本州、四国、九州、朝鮮(済州島)、中国に分布、とあります。上掲写真に、この時期の未熟なシラカシのドングリが写っていますが、ここで、シラカシの雄花、雌花について考えてみます。シラカシの花は新芽が伸びる4月〜5月頃に開花し、風によって受粉する風媒花です。その年の10月〜11月頃にドングリ(実)を実らせる「1年成(せい)」の植物で、一つの木に雄花と雌花がそれぞれ別々に咲く雌雄同株。雄花は新しく伸びた枝の基部から、長さ5〜15cmほどの緑黄色のクリのような花穂がいくつも垂れ下がります。雌花はその年に新しく伸びた枝の先の方にある葉の葉腋に咲きます。非常に小さな緑色のツブツブ状の花で、目立ちません。雄花から大量に放出された花粉が風に乗って雌花の先端(柱頭)に付着することで受粉が行われます。受粉に成功すると、雌花のもとの部分(子房)がゆっくりと膨らみ始め、その年に実が成熟します(1年成)。ブナ科の仲間には、他に受粉してから実が熟すまでに2年かかる(2年成)マテバシイやスダジイなどもあります。(Web『AI』などを参照、翻案)

(↑上の写真)左=ヒメイワダレソウ(姫岩垂草)、中=マンネングサ(万年草)、右=ハツユキカズラ(初雪葛)

(↑上の写真)左=ヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)、中=オレガノ=ハナハッカ(花薄荷)、右=ヒメヒマワリ(姫向日葵)

(↑上の写真)左=タケニグサ(竹似草、竹煮草)、中=アベリア=ハナゾノツクバネウツギ(花園衝羽根空木)、右=ノリウツギ(糊空木)の園芸種

 

武蔵国分寺資料館前庭(おたかの道湧水園)・・・令和8年7月20日

 特に目立つ花の時期ではありませんが、緑陰とこの時季ならでは植物、ハンゲショウ、ウマノスズクサの花など観賞し、濃い緑を愉しみました。ゆっくり鑑賞して40分、入場券(100円)を購入する『おたカフェ』で冷たいものをいただきました。今日の前庭(湧水園)の様子です。(武蔵国分寺資料館はJR西国分寺駅から南東へ徒歩30分、武蔵国分寺の湧水路並びです)

(↑上の写真)左=入口(旧本多家長屋門)、中=奥の白い建物は資料館、手前が前庭で湧水園、右=創建当時の武蔵国分寺にあったとされる七重の塔の模型

(↑上の写真)左と中=ハンゲショウ(半夏生)、中=花のアップ、右=園内の風景

 ハンゲショウ(半夏生)はドクダミ科ハンゲショウ属。本州以南に分布する水辺に生える多年草ということです。夏(げ)というのは仏語で「僧が一所に籠って修行する期間(90日間)」のことだそうで、半夏(はんげ)とは夏(げ)の半分(45日間)、現在の暦で夏至の日から11日目の7月2日だそうです。修行の半分、半夏を終えたということです。ハンゲショウは、葉の半分が白く化粧をしたようになるので、半分化粧した「半化粧」と仏語の「半夏」を掛けて、半夏生と名づけられたといいます。白く化粧した部分は盛夏には緑に戻りますので、気づかずに見過ごしてしまいます。今年は気に留めておきたいですね。上掲写真(左)でも白い葉が緑に変り始めているようです。

(↑上の写真)左と中=ミズヒキ(水引)、中の写真は横向きで左が上側で赤く、右が下側で白いことが分かります。この上下の赤白が水引の赤白に似ているというもの。右=ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)の花。

 ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)はナス科ナス属。『APG牧野植物図鑑』によると「東アジアの熱帯から温帯に広く分布し、北海道から琉球の山野の道端などに生える多年草。茎は細長く蔓状で、全体に腺毛が多い。葉は長さ3~8cm、下部の葉は1~2対の切れ込みがある。葉柄は他物に絡む。花は夏から秋、5枚の花びらは初め径1,5cm位に開き、後方に反り返る。果実は径8mmくらい。和名鵯上戸は鵯(ヒヨドリ)が熟果を好んで食べることに基づく。有毒植物」とあります。ヒヨドリジョウゴについては、可愛らしい赤い実が有名で、花のつくりについてはそれほど詳しく述べられていません。実については秋にふれることにし、上掲写真をもとに花について調べてみたいと思います。5個の雄しべの 花糸(軸)は太くて短く、 花粉が出る葯は黄色をしていて、5本が合着している構造になっているとのことです。 5本の合着した雄しべの黄色い葯が、中央にある雌しべの周りをぴったりと取り囲んでいます。 葯が熟すと、上部の先端に小さな穴(孔)が開き、そこから花粉をばらまきます。雌しべは白く細い棒のような姿をしていて 合着した雄しべの真ん中を通り抜け、外側へ長く突き出させています。雌しべを雄しべよりも前方に長く突き出させることで、自分の花粉が同じ花の雌しべに直接触れないようにして自家受粉を避ける工夫をしているということです。小さい花の中に実に巧みな工夫がされていることに驚きますね。(Web『AI』などを参照) 

(↑上の写真)左=ウマノスズクサ(馬の鈴草)、中=センリョウ(千両)、右=マンリョウ(万両)

 ウマノスズクサ(馬の鈴草)はウマノスズクサ科ウマノスズクサ属。『APG牧野植物図鑑』によると「本州から琉球列島、中国の温帯から暖帯の原野、河の堤、茶畑などに生える蔓性の多年草。茎や葉に臭気がある」と、あります。Web『野田市:ウマノスズクサ』によると「全体に強い悪臭があり、 また有 毒で食べられません。 夏から秋にかけて、 葉わきにラッパをね じったようなかたちの花が次々と咲きます。 花にはいわゆるコバエの類がよく集まってきます。果実はぶら下がるようにつき、 その姿がまるで馬の首につける 鈴のように見えることから 「馬の鈴草」 の名前があります。 し かし結実率がきわめて低く、 めったに果実は見られません。ウマノスズクサは有毒で臭いもきつく、 昆虫には 不人気です。 それを好んで食べるのがジャコウアゲ ハの幼虫です。 ジャコウアゲハの幼虫は葉を食べ ながら体内にその毒を溜めこみ、 これで鳥などの 天敵から身を守っています。 鳥はジャコウアゲハが 毒持ちなのを学習するため、 手を出しません。 そこ で、 ジャコウアゲハの真似をして、 無毒なのに毒持 ちのフリをする昆虫 (アゲハモドキなど) もいます」ということで賢い虫がいるものですね。馬の鈴草の名前の由来の実を見てみたいですね。めったに果実は見られません、と言うことですから何とか今年の秋には期待したいですね。

(↑上の写真)左と中=サンショウ(山椒)の実、右=ムサシアブミ(武蔵鐙)の青実

(↑上の写真)左=カラムシ(苧)、中=ミドリヒメワラビ(緑姫蕨)、右=ホシダ(穂羊歯)

【↓以下道すがらの自然観察】

(↑上の写真)左=ムラサキツメクサ(紫詰草)、中=ジニア(百日草)、右=ムラサキバレンギク(紫馬簾菊)

(↑上の写真)左=シュウカイドウ(秋海棠)、中=カッコウアザミ(藿香薊)、右=シモツケ(下野)

(↑上の写真)いずれもノウゼンカズラ(凌霄花)右=奇数羽状複葉の葉

(↑上の写真)左=ヤブミョウガ(藪茗荷)、中=オニユリ(鬼百合)、右=ノシラン(熨斗蘭)

(↑上の写真)左=ヤブソテツ(藪蘇鉄)、中=ゲジゲジシダ(蚰蜒羊歯)、右=ミドリヒメワラビ(緑姫蕨)

 

都立殿ヶ谷戸庭園・・・令和8年7月13日

 ヤマユリ、オニユリ、カワラナデシコ、オミナエシが咲いているというので訪れました。ゆっくり散策し草花や庭園を愛で紅葉亭でゆっくり休息して小一時間です。今日の庭園の様子です。(JR中央線国分寺駅下車、南口から東へ徒歩2分) 

(↑上の写真)左=入口、中=中門、右=紅葉亭(休息所) 

(↑上の写真)いずれもヤマユリ(山百合)園内随所に咲いています。

(↑上の写真)いずれもオニユリ(鬼百合)、右=オニユリの証拠のムカゴ

 オニユリ(鬼百合)はユリ科ユリ属。『APG牧野植物図鑑』によると「もとは中国原産で古い時代に伝来したものが栽培中に逸出して野生化したと考えられる多年草。対馬には、真の野性もある。葉腋にムカゴ(栄養体)を作る。花は夏。和名は巨大な百合の意」という(一部翻案)。「オニユリは染色体の数が3倍体で種子を作ることができないので葉腋にできるムカゴのみで繁殖し、種子を全くつくらない」という(Webや各種資料参照)。オニユリとコオニユリは似ていますが、ムカゴがついていればオニユリということになります。

(↑上の写真)いずれもカワラナデシコ(河原撫子)

 カワラナデシコ(河原撫子)の本当の和名はナデシコ(撫子)。『APG牧野植物図鑑』にはナデシコとして記載されています。ナデシコ科ナデシコ属。別名にカワラナデシコ(河原撫子)、ヤマトナデシコ(大和撫子)があるとされます。同図鑑によると「日本各地および朝鮮半島、中国の温帯から暖帯の山野に生える多年草。花は夏から秋、淡紅色。秋の七草の一つ」とあります。ナデシコの名前の由来は、花の姿があまりにもかわいらしく、手で優しく子供を撫(な)でるように撫でたくなることから「撫子」となったといわれています。別名の大和撫子は、見た目丈夫そうなカラナデシコ(唐撫子)に対して如何にもしおらしいというのでヤマトナデシコ(大和撫子)といわれているそうです。カラナデシコはセキチク(石竹)のことです。(深津正著『植物和名の語源』も参照)

(↑上の写真)いずれもオミナエシ(女郎花) 

 オミナエシ(女郎花)はスイカズラ科オミナエシ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「北海道から九州の日当りのよい山野に生え、東アジアの温帯から暖帯に分布する多年草。根茎は太く横に伏し、株わきに新苗が分かれて繁殖する。和名はオトコエシに対し優しいので女性にたとえて言う」とあります。丸山尚敏著「しなの植物考」には「稼ぎ頭の男が白米を食い、家を守る女が粟や稗を食べる。数多くつける小さな白い花を米花と呼び、白米に見立てて男飯(オトコメシ)、黄の粒つぶの花を粟花と呼び、粟や稗に見立てて女飯(オミナメシ)と呼んでいたものが変化してオトコエシ、オミナエシになったという説が紹介されています。森鴎外著『雁』に「(お玉が)土曜日に上条から父の所へ帰ってみると、もう二百十日が近いからと言って、篠竹をたくさん買ってきて、女郎花やら藤袴やらに一本一本それを立て副えて縛っていた」と、嵐に備える秋の風情が描かれています。

(↑上の写真)いずれもオオマツヨイグサ、右=参考写真・・・日中には萎んでしまうので、他の場所で夕方開花直後に撮影したもの

 オオマツヨイグサ(大待宵草)はアカバナ科マツヨイグサ属。『APG牧野植物図鑑』によると「北アメリカ原産の帰化植物。明治初年(1870年頃)日本に渡来し、各地の草原、河原や道端に広く生える2年草。茎は高さ1、5m位で毛がある。根生葉は地面に張りついてロゼットをつくる。花は夏、夕方咲き、翌朝しぼむ。萼は4片で2片ずつつき、花が開く時には外側へ反る。ツキミソウは白花で別種。和名はマツヨイグサより大形の意」ということです。湯浅浩史文『花おりおり』には、「誤解される花である。ツキミソウと思われているが、その花は白い。マツヨイグサの類は黄花が咲く。太宰治も『富嶽百景』で「富士には、月見草がよく似合ふ」と間違えた。夏は日没後、4枚の花弁が、かすかに音を立てて開く。20世紀の初め、ド・フリースはこの類で突然変異を研究した」とあります。(註1)作中の有名な一節「富士には、月見草がよく似合ふ」の直前には、「黄金色の月見草の花ひとつ」という描写がある。この「黄色い花」という特徴が、オオマツヨイグサを指している最大の根拠です。(註2)ド・フリースは、オオマツヨイグサを使ったこの研究で1901年に、生物は段階的ではなく突発的に進化するという「突然変異説」を唱えました。(いずれの註もWeb『AI』を参照翻案)

(↑上の写真)左と中=ギボウシ(擬宝珠)、右=次郎弁天池の紅葉亭からの眺め

(↑上の写真)左=ツワブキ(石蕗)、中=モウソウチク(孟宗竹)林、右=次郎弁天池に注ぐ崖線の湧水(水温は通年17~18℃だそうです)