梅雨明け10日の日照りが続いています。草花も園芸種を除けば花はぐっと少なくなりました。僅かな地面を見つけてへばりついている草々から、水が欲しい、という声が聞こえてくるようです。そのような折、曇りの時間帯を見計らって街中の自然観察に出かけました。スイフヨウ、ムクゲ、ノウゼンカズラが咲いていました。今日の街中の草花の様子です。(写真をクリックすると拡大されます)



(↑上の写真)いずれもスイフヨウ(酔芙蓉)
スイフヨウ(酔芙蓉)はアオイ科フヨウ属。今回は雌しべ、雄しべのつくりに注目します。上掲、中のアップ写真を見てください。雌しべと雄しべは「単体雄蕊(たんたいゆうずい)」と呼ばれるアオイ科特有の非常にユニークな合着構造をしています。多数ある雄しべの花糸(かし:花粉袋を支える柄)が根元で互いにくっつき合い、1本の筒(雄しべ筒)を作っています。この筒の表面から、ブラシのようにたくさんの黄色い葯(やく:花粉を入れる袋)が外側に向かって突き出ています。雌しべの細長い軸(花柱)は、雄しべが作った筒の中を貫通して伸び、雌しべの先端(柱頭)は5裂し、上向きに曲がって飛び出しています。5裂した柱頭には、花粉がつきやすいように細かい毛(繊毛)が密生しています。(Web『AI』を参照、翻案)



(↑上の写真)いずれもムクゲ(木槿)



(↑上の写真)左=ノウゼンカズラ(凌霄花)。中と右=アメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花)
アメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花)はノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属。北米が原産地で日本には大正時代に渡来したといわれます。在来(元々は中国渡来)のノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラとの区別は「アメリカのそれは花筒が長い割に、花の径が小さい、在来のものはその逆」というような区別でした。今回は萼に注目して、アメリカノウゼンカズラは萼が花筒と同じ赤みを帯びていますが、在来のノウゼンカズラの萼は緑色をしています。この区別の仕方はどうでしょうか。



(↑上の写真)左=サルスベリ(猿滑り、百日紅)、中=スズランノキ(鈴蘭の木)、右=シマトネリコ(島戸練子・島戸錬子)
シマトネリコ(島梣、島秦皮)はモクセイ科トネリコ属。シマトネリコのシマは原産である沖縄などの南の島を指して名づけられたそうです。 トネリコ(戸錬子)自体の由来は、諸説あるそうです。一つは、樹皮につく虫が分泌する白ロウを、戸の滑りをよくするため戸の溝に塗ったトヌリキがトネリコに変化したという説。もう一つは、写径を行う際に、本種の皮を煮て膠(にかわ)状にして、そこに墨を混ぜて練ったものを使ったことから、トモネリコ(共練濃)がトネリコに変化したという説などが紹介されています。最近は建売住宅の玄関脇に植えられたり、カブトムシが寄りつく木として有名になったりしています。(各種Webなどを参照)



(↑上の写真)左と中=オシロイバナ(白粉花)、右=ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜)=ゲンペイコギク(源平小菊)
オシロイバナ(白粉花)はオシロイバナ科オシロイバナ属。『APG牧野植物図鑑』によると「南アメリカ原産。古くに日本に渡来し観賞用に栽培され、逸出したものが野生化している多年草」とあります。ラッパ状をした花びら(花冠)のように見えるものは萼片で、花冠の根元にある萼のような緑色のものは総苞だそうです。湯浅浩史著『花おりおり』 によると「午後4時ころに花が開く。香りは甘く、夜間も漂う。開花時刻に活動している昼間の昆虫は、多彩な色で昆虫を惹きつけ、夜の花は香りで昆虫を誘う。効率の良い花だ。丸い実のような種子は、つぶすと白い粉状の胚乳が出て来る。そのことから江戸時代の博物学者、貝原益軒は「白粉花(おしろいばな)」と名づけた(一部翻案)」ということです。子どもの頃、この白粉を鼻につけて遊んだことがある人もいると思います。夕方から夜にかけて開花するので日中は萎んだようになっています。



(↑上の写真)左=メヒシバ(雌日芝)、中=エノコログサ(犬の子草、狗尾草)、右=マメグンバイナズナ(豆軍配薺)
エノコログサ(狗尾草)はイネ科エノコログサ属。杉村昇著『名前といわれ野の草花図鑑』によると「エノコ(狗)とは子犬のことで、ロとは尾(お)の訛ったもの。花穂がやわらかく風になびく姿を、子犬の尾に見立てての名前です。別名をネコジャラシ(とくに関東地方で呼ばれる)といい、これは花穂でネコ(猫)をじゃらす、という意味です」ということで名前の由来が分かりました。今回は、エノコログサが夏の日照りの中で萎れもせず育っているわけを農研機構農業環境変動研究センター生物多様性研究領域 吉村泰幸著『C4 植物のきた道』やWeb『AI』を参考にして考えてみました。その秘密はエノコログサがC4植物と言われる植物だからだそうです。C4植物と言われるトウモロコシ・サトウキビ、エノコログサなどは乾燥に非常に強い組織を持っているそうです。普通、植物は光合成をするために気孔を開いて二酸化炭素を取り入れます。しかし、気孔を開くと水分もそこから逃げ出してしまいます。C4植物は気孔を開いた時に取り入れた二酸化炭素を濃縮させることができるので、一度にたくさんの二酸化炭素を取り入れることができます。そのため気孔を開く回数を減らすことができ、水分の蒸散を防ぐことができます。エノコログサをはじめC4植物が乾燥した夏の炎天下で萎れることなく元気なのはそのためということです。



(↑上の写真)左=ノゲシ(野芥子・野罌粟)、中=ヤイトバナ(灸花)=ヘクソカズラ(屁糞葛)、右=ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)
ヤイトバナ(灸花)=ヘクソカズラ(屁糞葛)=アカネ科ヘクソカズラ属。『APG牧野植物図鑑』によると「日本各地及び朝鮮半島、中国、フィリピンなどの温帯から熱帯に分布。荒地や山野の草地に生える多年草」とあります。田中修著『かぐわしき植物たちの秘密』に「蔓が伸びて、小さな葉が繁茂した後、夏に、漏斗形の小さな花が咲きます。「ヤイトバナ」ともいわれるように、花の中央に灸(やいと)の痕のような赤味があります。「サオトメバナ」とも呼ばれます。悪臭の成分は「メルカブタン」という物質です。万葉集には「クソカズラ」として出てきます。江戸時代に「ヘ」がついてヘクソカズラとなります。傍にいても何も匂わないのに、葉を少し揉めば香りが出てきます。葉の香りは、虫や動物が葉をかじった時に、葉が身を守るために発散させるものです。葉を齧った虫や動物にとって、ヘクソカズラの発散するメルカブタンは耐えられないものなのです」と紹介されています。なお、野楽力研究所ではヘクソカズラと呼ばずにヤイトバナと呼ぶよう推奨しています。



(↑上の写真)左=スベリヒユ、中=チチコグサモドキ(父子草擬)、右=ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬)



(↑上の写真)左=ミソハギ(禊萩)、中=メドウセージ(サルビア)、右=カサブランカ(ユリ)



(↑上の写真)左=ニチニチソウ(日々草)、中=サマーポインセチア=ショウジョウソウ(猩猩草)、右=キバナコスモス(黄花秋桜)



(↑上の写真)左=マサキ(柾)の蕾、中=シラカシ(白樫)の実(未熟)、右=カキ(柿)の実(未熟)
シラカシ(白樫)はブナ科コナラ属。山渓カラー名鑑『日本の樹木』によると、福島。新潟県以西の本州、四国、九州、朝鮮(済州島)、中国に分布、とあります。上掲写真に、この時期の未熟なシラカシのドングリが写っていますが、ここで、シラカシの雄花、雌花について考えてみます。シラカシの花は新芽が伸びる4月〜5月頃に開花し、風によって受粉する風媒花です。その年の10月〜11月頃にドングリ(実)を実らせる「1年成(せい)」の植物で、一つの木に雄花と雌花がそれぞれ別々に咲く雌雄同株。雄花は新しく伸びた枝の基部から、長さ5〜15cmほどの緑黄色のクリのような花穂がいくつも垂れ下がります。雌花はその年に新しく伸びた枝の先の方にある葉の葉腋に咲きます。非常に小さな緑色のツブツブ状の花で、目立ちません。雄花から大量に放出された花粉が風に乗って雌花の先端(柱頭)に付着することで受粉が行われます。受粉に成功すると、雌花のもとの部分(子房)がゆっくりと膨らみ始め、その年に実が成熟します(1年成)。ブナ科の仲間には、他に受粉してから実が熟すまでに2年かかる(2年成)マテバシイやスダジイなどもあります。(Web『AI』などを参照、翻案)



(↑上の写真)左=ヒメイワダレソウ(姫岩垂草)、中=マンネングサ(万年草)、右=ハツユキカズラ(初雪葛)



(↑上の写真)左=ヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)、中=オレガノ=ハナハッカ(花薄荷)、右=ヒメヒマワリ(姫向日葵)



(↑上の写真)左=タケニグサ(竹似草、竹煮草)、中=アベリア=ハナゾノツクバネウツギ(花園衝羽根空木)、右=ノリウツギ(糊空木)の園芸種


































































































































































































