野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

東京都神代植物公園(神代植物園)・・・令和2年9月24日

 今日は、下の引用文の気持ちをもって神代植物園を訪ねました。(原田マハ著『楽園のカンヴァス』より)(織絵は父の言葉が、最近ようやくわかったような気がする)「美術館とは、芸術家たちが表現し生み出してきた「奇跡」が集積する場所。動物園や植物園は、太古の昔から芸術家たちが表現の対象として見つめ続けた動物や花々、この世界の奇跡が集まるところ。アートを理解する、ということは、この世界を理解する、ということ。アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ」だと。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=神代植物園入口、中、右=サルスベリ

 (井上靖著 短編「百日紅」より百日紅に纏わる話)雪子は、恋人高津の母親の介入で同棲を解消したが、その後、高津は急死した。雪子は、ふと高津の郷里を訪ねてみたくなり、丹波大江山の麓の小さな村を訪れた。その村で大きな医院をしている高津の両親を観察する。村の渓谷沿いの鄙びた温泉宿の浴場で偶然母親を見つけた。太ったぶよぶよの白い身体で村人に横柄な口の利き方をしていた。翌日(百日紅の見える)浴槽に雪子が独りで浸かっていると母親が一人で入ってきた。暫くして(意を決して)雪子が「きれいでございますのね。百日紅が」と声をかけると、母親は「百日紅は、きれいですよ。百日紅はこの紅いのより白い方がきれいなんですよ。日本の花の中では、これが一番きれいなんですから」と、つんとした調子で言った。雪子は、高津が交友会誌で百日紅のこと「一番美しい花」と詩に書いていたのを思い出し、雪子は、何かこの母親と縁があることを感じ、同棲に介入されたことの憎悪の気持ちが和らぐのを感じたのだった。(原文翻案)

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(↑上の写真)左、中=サルスベリ、右=サルスベリの葉の並び方(コクサギ型葉序)

 サルスベリ百日紅、猿滑)はミソハギサルスベリ属。中国原産の落葉高木。葉は通常2対互生(コクサギ型葉序)、対生になることもある。花は紅の濃淡色または白色で、円錐花序になり、蕚は筒状で6裂、花弁は6枚で縮れている。果実は円い蒴果で、種子には翼がある、と書かれてあります。右の葉序の写真を見るとコクサギ型葉序らしくなっています。対生から互生へ移る進化の過程にあるといわれます。Web「日本植物生理学会」によると「葉序の進化は、輪生→対生→コクサギ型→互生との説は、おそらく元になっているのは前川文夫先生が1948年に植物学雑誌に発表された論文『コクサギ型葉序と其意義』ではないかと思われます。コクサギ型葉序という用語も、この論文が初出です」ということです。 

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(↑上の写真)左=ジュウガツザクラ、中=フユザクラ、右=センダイシダレ

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(↑上の写真)左=フヨウ、中=スイジュヨウ、右=ヤマホトトギス

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(↑上の写真)左=婦人像、中=ヤマハギ、右=シラハギ

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(↑上の写真)左=シラヤマギク、中=キバナアキギリ、右=オトコエシ

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(↑上の写真)左=ニラ、中=ハグロソウ、右=オニバス(温室ではなく園内です)

 オニバス(鬼蓮)はスイレンオニバス属。一年生の水生植物。熱帯のものと思われがちですが、日本にも自生地があります。「かつて本州、四国、九州の湖沼などにたくさん繁殖していましたが、環境改変にともなって減少しました。現在は新潟市の松浜の池が北限となっています。ハスと名がつきますが分類上はハス科ではなくスイレン科。天然記念物指定を受ける自生地も多く、環境省レッドリストでは絶滅危惧II類に指定されています。円形の葉の大きさは直径30cmから2m程度と巨大で、明治44年には富山県氷見市で直径2m67cmの葉が見つかっています。花は水中での閉鎖花が多く、自家受粉で100個程度の種子をつくります。種子は球形で直径1cm程度。8月から9月ごろ花茎を伸ばし、紫色の花を咲かせることもあります(今回写した写真には、花が写っています)。種子はやがて水底に沈みますが、全てが翌年に発芽するとは限らず、数年から数十年休眠してから発芽することが知られています。また冬季に水が干上がって種子が直接空気にふれる等の刺激が加わることで発芽が促されることも知られています」(ウィキペディアより引用一部翻案) 

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(↑上の写真)左=ヒツジグサ(睡蓮)の池、中=ヒツジグサ、右=センニンソウ

(↓下の写真)ムクゲ園のムクゲ

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(↓下の写真)ダリア園のダリア

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(↓下の写真)温室にて

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(↑上の写真)左=サンタンカ、中=ニンニクカジラ、右=ヒコウキソウ

(↓の写真)熱帯スイレン室にてスイレン

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(↓下の写真)ベゴニア室にてベゴニア

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(野川公園)自然観察園・・・令和2年9月19日

 野川公園の自然観察園は、無料で開放されています。野川に注ぐ湧水の湿地帯ということで湿地を好む平地の野草が主に観察できます。ヒガンバナ、シュウカイドウ、ツリフネソウ、カリガネソウが満開です。今日の様子です。(写真をクリックすると拡大されます)

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(↑上の写真)左=自然観察園入口、中=ヒガンバナ、右=シロバナヒガンバナ

 ヒガンバナ彼岸花)はヒガンバナ科ヒガンバナ属。北海道以南の墓地、路傍に生える多年草。有毒植物ですが救荒植物として鱗茎をさらして澱粉をとり、食用にすることがあったそうです。ヒガンバナは染色体が3倍体なので種子ができませんが分球で増えるので、一度植えると年ごとに株が増えていきます。しかし、大きな移動は人為的なもの。球根がリコリンという有毒物質を含んでいるので動物に嫌われ、土葬の墓や土堤などでネズミに穴を掘られないようにこの球根を植えたといいます。墓に縁のある花で、彼岸の頃に茎をのばして花をつけるので彼岸花と言われるようになったそうです。花が枯れると葉を出し、冬に葉を茂らせます。葉は自分の花を見ることはありませんし、花は葉を見ることがないので加賀地方の方言で彼岸花のことを「ハミズハナミズ」というそうです。曼珠沙華梵語で大きい赤い花という意味で仏教由来の名称です(深津正著「植物和名の語源」参照)。

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(↑上の写真)左=シュウカイドウ群落、中=シュウカイドウ・雄花、右=雌花

 シュウカイドウ秋海棠)はシュウカイドウ科シュウカイドウ属。江戸時代初めに中国から渡来した多年生の帰化植物。ベコニアの仲間で葉の形が左右非対称で雌雄異花。雄花は上の方で先に咲き、雌花は下の方で咲く。田中肇著「花の顔」によると、花には蜜は無く花粉のみ。訪花するハナアブ類は、蜜が目的でなく花粉を集めるためと考えられる。雄しべも雌しべも似ているので、間違えて雌しべにとまった時に花粉が雌しべにつくと思われる。花に訪花するハナアブの種類や数は少ないという(一部翻案引用)。もともと雄花が上で雌花が下に咲くので、風媒花ではないかと思いますが、どうでしょうか。雄花の内側の小さな2枚の花びらは花弁で2枚の大きな花びらは萼片、雌花の花弁は退化し、萼片の2枚が花びらとなっているということです。なお、雌花のもとの三角(錐)形をしたものは子房で、雄花と雌花の区別点になります。

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(↑上の写真)どれもミズヒキ、左=群落、中=通常見える花の表側、右=花の裏側

 ミズヒキ(水引)はタデ科イヌタデ属。花びらはなく、花びらのように見えるのは萼(がく)だそうです。萼片は上の3枚が赤く、下の1枚が白い。そのため花序を上から見ると(普通に見ていると)赤く、下からは(裏返して上の写真のように見ると)白く、それが紅白の水引に似ることから名づけられたといいます。時々見られる白い花のものはギンミズヒキ、紅白の混ざったものはゴショミズヒキといわれます。

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(↑上の写真)左=ツリフネソウの群落、中=キツリフネ、右=ツリフネソウ

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(↑上の写真)左=ヌスビトハギ、中=フジカンゾウ、右=イノコヅチ

 ヌスビトハギ(盗人萩)はマメ科ニスビトハギ属。日本全国の山野の林下に生える多年草。和名盗人萩は、泥棒が足音を立てないように歩く足跡が豆果(種子)の形が似ているため。現代的には豆果の形はサングラスに見立てられています。従って、小さいサングラスはヌスビトハギ、大きいサングラスはフジカンゾウとして見分けられます。豆果には短いかぎ型の毛が生えていて、衣服などに引っ付いた種子は、仲間の分布を拡げます。人にとってはヌスビトハギが蔓延るので大変です。

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(↑上の写真)左=ミゾソバ、中=ママコノシリヌグイ、右=シモバシラ

 ミゾソバ(溝蕎麦)はタデ科イヌタデ属。日本全土の原野、道端などの水辺に生える最も普通に生える1年草。丸山利雄著「しなの植物考」によると「ソバ(稜)とは、かどのことで、種子にかどのあることを示しているが、ミゾソバの種子にもソバと同様、かど(稜)のある種子である。ミゾソバを一名ウシノヒタイともいうが、これも葉の形が牛の顔に似ているからである。別名ハチノジグサは、葉面に八の字状の黒ずんだはん紋が出ることに基づいている。花は帯紅色が多いが白いものもある。その名のように溝などの水湿地に好んで群生する。他のタデ類と同じように、互生する葉の付け根にはっきりした節があるが、節と節との間隔が大きいので、直立はしないで、長さ1mほどの茎の三分の二は地面をはって、節ごとに根を出している。残りの三分の一を立てて、その先に花をつける」とあります。葉の形が「牛の額(ひたい)・牛の顔」のようだと覚えておくと区別しやすいです。

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(↑上の写真)左=カリガネソウ、中=サクラタデ、右=カラスノゴマ

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(↑上の写真)左=キツネノマゴ、中=タコノアシ、右=ヤマホトトギス

 キツネノマゴ(狐孫)は、キツネノマゴ科キツネノマゴ属。本州以南の草地や道端に普通に生える1年草。よく見ると可愛い花をぱらぱらと咲かせています。花穂全体が一斉に花咲くということがないので、イマイチの感じがします。可愛い花は2唇形の筒型で淡紅紫色。どこが狐の孫か?と考えさせられましたが、花穂が長く大きくなってみると狐の孫の可愛い尻尾にそっくりですね。大事に育ててみると枝分かれして結構整った草姿になります。ところが種子がこぼれて、次の年は、未生の若芽の除草に一苦労します。

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(↑上の写真)左=タチアザミ、中=トネアザミ、右=ヒヨドリバナ

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(↑上の写真)左=ヤブミョウガ、中=アカバゲンノショウコ、右=ムラサキシキブ

 

軽井沢町植物園・・・令和2年9月15日

 避暑地として有名な軽井沢にあるこの植物園は標高1000m。初秋が通り過ぎようとしているところです。ここでの目玉はミナヅキというノリウツギの一品種です。今が見頃。花は、見た目はアジサイアナベルに似ています。ツリバナやフウリンウメモドキなどの赤い実が秋の訪れを知らせてくれています。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=植物園入口、中=サラシナショウマ、右=イヌショウマ

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(↑上の写真)左=アサマフウロ、中=ノコンギク、右=ユウガギク

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(↑上の写真)左=アキギリ、中=キバナアキギリ、右=アキノキリンソウ

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(↑上の写真)左=アケボノソウ、中=コシオガマ、右=カリガネソウ

 コシオガマ(小塩竈)は、ハマウツボ科コシオガマ属。北海道から九州の日当たりの良い山地に生える半寄生の1年草。葉緑体を持ち光合成をするのですが、自分一人では生きていけない植物で他の木や草の根に寄生し、栄養をもらって生きているということです。花が可愛らしくて植えてみると次の年にはずいぶん広がります。芽生えは弱々しいので大事に育てていると随分丈夫に大きくなり、秋の深まりとともに可愛い花をつけます。和名はシオガマギクに比べて小さいので小塩釜というそうですが、シオガマギク塩竈菊)とは「牧野植物図鑑」によると「海岸の風景に趣を添えるものに塩釜があるが、本種は、花が美しいが葉までも浜でも…掛詞)観賞にたえる美しいものであるというのでこの名を持ち、葉の様子が菊に似ているので塩釜菊という」ということです。コシオガマはもっと愛らしいと思います。野楽花言葉「あなたなしでは生きられない」「可愛いらしい女の子」「愛でる喜び」 

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(↑上の写真)左=シロバナサクラタデ、中=シロバナヤマジノホトトギス、右=セキヤノアキチョウジ

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(↑上の写真)左=シュウメイギク、中=トウヒレン、右=フジバカマ

 フジバカマ藤袴)はキク科ヒヨドリバナ属。本州以南の川岸の土堤や湿った草地に生える多年草絶滅危惧種ヒヨドリバナに似ています。葉は対生ですが、3裂に深く切れ込んでいるところが違います。(澤田ふじ子著「天涯の花」より)花に生命を与えるから生花だと主張する未生斎一甫に未生流を起こさせるべく後見人を引き受けようとする九左衛門が「『おおせのとおり未生流はこの地で花を咲かせ、実をむすばせなければなりませぬ。僭越ながらわたくしが銭をかけ、一甫さまのお腕前をもってすれば、それがかなうと固く信じておりまする』雪見灯籠をおいた初秋の庭に、藤袴の花が咲いている。座敷のなかから花群(はなむれ)に目をそそいでいる未生斎一甫に、(但馬上田家の当主)九左衛門が力んで見せた」この時のフジバカマの花は一甫の目にどのように映ったでしょうか。フジバカマを見るたびに思い出す情景です。その時の立ち位置で今まで見てきた花の見え方も違ってくると思います。

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(↑上の写真)左=レンゲショウマ、中=ヤマトリカブト、右=アズマレイジンソウ

  レイジンソウ伶人草)はキンポウゲ科トリカブト属。日本の山中に生える多年草。和名の伶人草とは、花の形が舞楽の時の伶人(註:雅楽を奏する人)が使う冠に似ているため。この冠のように見えるものは、花びらではなく、花は、距のある上萼片(1枚)側萼片(2枚)下萼片(2枚)の5枚の花弁化した萼片により囲まれていて、外からは見られません。初めて見た時は、トリカブトの紫色が褪めて白色がかったものように見えました。トリカブトの仲間ですが、レイジンソウということで麗人(実は伶人ですが)に逢えたようで忘れ得ぬ植物になりました。変種として関東地方のアズマレイジンソウ(東伶人草)、東北、北海道のオオレイジンソウなどがあるとのことです。

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(↑上の写真)左=ヒゴタイ、中=ハバヤマボクチ、右=ミナヅキ(アジサイノリウツギ属)

 ヒゴタイ(平江帯・肥後躰)はキク科ヒゴタイ属の多年草。牧野植物図鑑によると愛知県、岡山県、四国、九州、朝鮮と隔離的に分布し、大陸と地続きであったころの日本に生えていた名残の1例。ウィキペディアによると、和名の漢字表記は「平江帯」(貝原益軒大和本草)または「肥後躰」(肥後細川家写生帖)。環境省レッドリストでは、絶滅危惧II類 VU(絶滅の危険が増大している種)に分類されています。花は、管状花が集まって球状になった写真のような紫色の頭状花を咲かせます。

 ハバヤマボクチ(葉場山火口)は、キク科ヤマボクチ属の多年草。葉場山とは特定の地名ではなく緑肥などにする草を刈る場所のことです。ボクチとは火口(ほくち)のなまった言葉で、火をつける竃の口などを想像しますが、そうではなく火打石から出る火花を受けて最初に燃え上がらせるために用いたもので、ハバヤマボクチの葉裏の綿毛を乾燥させて集めたものを言うそうです。

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(↑上の写真)左=マルバハギ、中=ツリバナ、右=フウリンウメモドキ

 

湯ノ沢峠お花畑・・・令和2年9月13日

 湯ノ沢峠お花畑は、甲斐大和道の駅下甲府側から山道を車で1時間。峠には駐車場、トイレがあり、時期には、山野草が咲き乱れます。今回は、花の時期は終わっていました。8月末までが観察適期です。しかし、途中の道は荒れており、車の底をする凸凹の道でお奨めできません。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=お花畑の表示、中=アサマフウロ、右=タチフウロ

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(↑上の写真)左=ウスユキソウ、中=ヤマハハコ、右=ノコギリソウ

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(↑上の写真)左=アキノキリンソウ、中と右=ウメバチソウ

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(↑上の写真)左=ノハラアザミ、中=ハナイカリ、右=タチコゴメグサ



 

 

東京都薬用植物園・・・令和2年9月9日

 東京都薬用植物園には、いわゆる薬草が、諸外国のものを交えて栽培されています。いつ訪れても花を見ることが出来ます。タバコも花が見られました。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=入口からの様子、中=キクイモモドキ、右=スイフヨウ

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(↑上の写真)左と中=オオケタデ、右=クズ

 クズ(葛)はマメ科クズ属。日本各地の山野に生えるつる性の多年草。日本では秋の七草のひとつとして親しまれていますが、アメリカやイギリスでは蔓延りすぎて嫌われものになっているようです。クズの英語名はそのままkuzuだそうです。(水上勉著「金色の淵」から)(面づくりの畑野は、奈緒子の案内で若狭納田庄の民芸の里を訪ねた)「半島のつけ根に掘られた隧道をくぐると岐れ道だった。一方は舗装のしてない石ころ道で、両側に草が生い茂っている。この辺りに多い葛である。葉が広くて、勢いよく育っているので、枝先がつるになって道路をまたいでいる。車はそこを折れて草を踏みしめながら走る。やがて「ここよ」と奈緒子が言った」「葛の葉の向こうに鉛色の沖が見える」山間を縫うように山襞にひっそり立ち並んでいる集落の若狭の山と沖の海の風景、葛の葉の青い匂いと潮風の香りが伝わってくるような描写です。

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(↑上の写真)左=カリガネソウ、中=カワミドリ、右=シモバシラ

 シモバシラ(霜柱)は、シソ科シモバシラ属。従って、茎は四角。冬に、茎に霜柱(帯状の氷柱のようなもの)ができることで、特に冬の高尾山では有名。夏の終りの今頃に純白の花房が葉腋ごとにつく(写真)ので、その花もきれいです。シモバシラほどではありませんが、霜柱ができるものにセキヤノアキチョウジがあります。条件がよければ、ミズヒキやオカトラノオなどにもできるようです。霜柱は、草が枯れた後、茎の導管がストローのように毛細管現象で水を吸い上げ、それが凍って氷となり導管を破って外に出て見事な霜柱を現出してくれます。放射冷却の厳しい早朝などは推奨です。

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(↑上の写真)左=シラヤマギク、中=オミナエシ、右=スギモリケイトウ

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(↑上の写真)左=ハッカ、中=ニチニチソウ、右=ヒツジグサ

 ニチニチソウ日々草)はキョウチクトウ科ニチニチソウ属。マダカスカル原産で天明元年(1781年)渡来し栽培されるようになった1年草ということです。日本大百科全書によるとマダガスカル、ジャワ、ブラジルなど熱帯地方原産で亜熱帯や熱帯地方では半低木性多年草だが、日本では耐寒性がなく、春播き一年草として扱う、ということです。薬草園で栽培されているのは、説明板によると、日々草の成分アルカロイド白血病抗がん剤の製造原料になるからということです。水泳の池江璃花子選手が白血病で長く入院され、回復されたという明るいニュースが伝わってから、さらに日々草のファンが増えたようです。

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(↑上の写真)どれもタバコ

 (再録)タバコ(煙草)はナス科タバコ属。南米熱帯地方を原産とされる多年草。ご存知の芥川龍之介の「煙草と悪魔」のお話です。「悪魔はフランシスコ・ザビエルと一緒にイルマンの一人に化けて、日本へやって来た。日本での退屈な時間に園芸を始めた。持ってきた種子を蒔いて育てたものは、茎の先に漏斗のような形をした薄紫の花をつけた。悪魔には、この花の咲いたのが、骨を折っただけに、大変うれしかった。と、そこに通りかかった牛商人が『もし、お上人様、その花は何でございますか』と問うと、上人に化けている悪魔は『この名だけは教えられない』という。悪魔は『三日の間に誰かに聞いてもいいですよ。この名があたったら、これをみんなあげますよ。その他にお酒なども』という。『賭けですよ』ともいう。悪魔は『もしあたらなかったら、あなたの体と魂をもらいますよ』と右の手をまわして帽子を脱いだ。三日目の晩、牛商人は、目論んでいた計画を実行した。即ち、牛の尻を思い切りたたいて畑の中に追い込んだのだ。けたたましい牛の鳴き声と蹄の音に、寝込んでいた悪魔はびっくりして窓を開け『こん畜生、何だって、おれの煙草畑を荒らすのだ』と怒鳴った。牛商人は、首尾よく、煙草と云う名が分かり、云いあてて、悪魔に鼻をあかさせた。悪魔は敗北した。が、それ以後、日本全土に煙草を普及させることができ、日本を堕落させることにおいては、悪魔として勝利した」煙草には、こんな挿話があったんですね。(一部翻案)

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(↑上の写真)左=ウメモドキ、中=ゴンズイ、右=ナンバンギセル

 ンバンギセル(南蛮煙管)は、ハマウツボナンバンギセル属。姿は、南蛮から渡来したキセルのような形をしています。日本全土、ススキ、ミョウガギボウシ、サトウキビなどの根に寄生する1年草。「牧野富太郎植物記2野の花2」によると「ナンバンギセルは古くは、思い草と呼ばれていた。万葉集巻十「道の辺の 尾花が下の 思ひ草 今さらさらに 何をか思はむ」(道端に茂る尾花の下蔭の思い草のように、今さら何を一人ひそかに思い煩ってうちしおれたりしようか。)と詠まれている。明治36年前田曙山の「園芸文庫」に『万葉の歌では、道のべの尾花が下の思い草とされている。尾花が下(した)と特にいったのは、尾花、つまりススキと特に深い関係があるためである。リンドウ、ツユクサオミナエシなどは、ススキの原にも生えるがススキのない所にも生える。ススキの下にしか生えないものとしてはナンバンギセルとすべきである』と主張した。この説が入れられ現在では万葉の思い草はナンバンギセルであるということが定説になった。」ということです。

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(↑上の写真)左=タヌキマメ、中=ゲンノショウコ(赤花)、右=アメリノウゼンカズラ

 

飯盛山・・・令和2年8月22日

 飯盛山(めしもりやま)は清里野辺山高原の南の標高1643mのご飯を盛りつけたような形の山です。ゆっくり写真を撮りながら1時間もあれば登れる征服感が感じられる山です。登り口付近と山頂付近には各種山草が見られます。今日の様子です。(写真をクリックすると拡大されます)

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(↑上の写真)左=飯盛山登山口、中=アキノキリンソウ、右=タカネナデシコ

 アキノキリンソウ(秋の麒麟草)はキク科アキノキリンソウ属で本州、四国、九州の日当たりのよい山野に生える多年草。黄金色の花が、夏のキリンソウに対して、秋に咲くのでアキノキリンソウと名付けられたといわれます。しかし、考えてみると、黄金色は同じでも、(夏の)キリンソウの花の付き方は平面的で、アキノキリンソウは花穂が伸びて塔のようです。キリンソウは、漢字では麒麟草と書きますが、そもそも黄輪草と書かれていたのではないかという説もあります。どう見ても、麒麟草から秋の麒麟草が思い出されたというよりも、花の付き方ではなく、黄金色の美しい花を黄輪草と言ったというのが自然ではないかと思います。そうすると夏に黄金色の目立つキリンソウにたいして、秋に黄金色の花を咲かせるものを秋の黄輪草と言った、ということになります。どうでしょうか。

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(↑上の写真)左=ウスユキソウ、中=ヤマハハコ、右=ヤハズハハコ

 ウスユキソウ(薄雪草)はキク科ウスユキソウ属で本州、四国、九州の低山から亜高山帯に生える多年草。アルプスのエーデルワイスはこの仲間。花弁のように見えるものは花の蕾を護っていた総苞で、白い綿毛が生えています。その綿毛が、薄く雪が積もったように白いので名づけられたといいます。エーデルワイスはドイツ語(エーデルヴァイス)で高貴な白ということで、花言葉は「大切な思い出」「勇気」だそうです。野楽花言葉は「懐かしい出会い」「心の支え」「慈しみ」です。どうですか。

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(↑上の写真)左=飯盛山遠望、中と右=ノハラアザミ

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(↑上の写真)左=シラヤマギク、中=ノコギリソウ、右=フシグロセンノウ

 シグロセンノウ(節黒仙翁)はナデシコ科マンテマ属で本州、四国、九州の山地の林下などに生える多年草。花が明るい橙色で花弁は厚く緑の草の中に咲いているとその鮮やかさは一際目を瞠ります。根は深く、多年草なので一度根づくと四方に広がって増えます。センノウ(仙翁)はナデシコ科マンテマ属で中国原産、観賞用として庭園に植えられる多年草京都府嵯峨の仙翁寺に代々伝わっているのでセンノウと名付けらたといわれます。フシグロセンノウはセンノウに似ていて節が黒いのでフシグロセンノウといわれるようになったということです。

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(↑上の写真)左=飯盛山山頂、中と右=マツムシソウ

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(↑上の写真)左=タチフウロ、中=ハクサンフウロ、右=イブキボウフウ

 イブキボウフウ(伊吹防風)はセリ科イブキボウフウ属。近畿地方以東の山地や原野に生える多年草。和名のイブキは滋賀県伊吹山に生えていることにより名付けられたそうです。ボウフウ(防風)は、セリ科ボウフウ属で中国東北部から華北原産の多年草。セリ科なのでセリと同じような白い小花を咲かせるそうです。根および根茎は1mほどにもなり、防風(ボウフウ)という日本薬局方にも収録されている解熱、鎮痛などの生薬名ということです。

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(↑上の写真)左=オトギリソウ、中=ユウガギク、右=ヤマハッカ

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(↑上の写真)左=マルバハギ、中=フタツバハギ、右=コウリンカ

 コウリンカ(紅輪花)はキク科オカオグルマ属。本州の日当たりのよい山地の草原に生える多年草。花の周囲の舌状花は、キクのように横に開く瞬間もあると思いますが、咲くとすぐに写真のように反り返ってしまいます。和名紅輪花は、花の色と舌状花が車輪状になっているからということです。初めて見た時の感じは、なんとも奇妙な花の形なので、なんでこんなに反り返るのかと印象深かったです。あまり出会えませんが、忘れられない花の一つです。

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(↑上の写真)左=清里方面を望む、中=コウゾリナ、右=マツヨイグサ

 

霧ケ峰八島ヶ原湿原(2)・・・令和2年8月20日

 霧ケ峰八島ヶ原湿原は標高1632m。尾瀬ヶ原(1400m)と並ぶ高層湿原です。尾瀬ヶ原ミズバショウで有名ですが、ここで有名なのはアザミでしょうか。ヤナギランが煌びやかさを競っています。ユウガギク、ノコンギクなどの野菊が咲き始め、木陰に秋の気配の風が吹きすぎます。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=「山小舎の灯」歌碑、中=ベニバナシモツケソウ、右=シモツケソウ

 昭和63年に建之された『山小舎の灯』の歌碑が、ここ八島ヶ原湿原にあります。作詞作曲は米山正夫で、近江俊郎が昭和22年に歌ってヒットした曲です。米山正夫水前寺清子の「365歩のマーチ」も作曲しています。ここに歌碑が設置されているわけをビジターセンターで訪ねると、あの部分は諏訪市の領分でビジターセンターは下諏訪町の領分なので分からないということでした。その後、諏訪市に問い合わせると、そこは私有地で所有者が勝手に設置したものだから、役所としては関知しないという情無い答えでしたが、その後返事をいただき、結局分からないということでした。「この地区は小和田牧野(こわだぼくや)という組合が活動していたが、今は解散し関係者は高齢化、または亡くなられて辿れなかった」ということでした。歌碑の傍にある山小舎らしきものは、キャンプ場跡の建物ということでした。然しながら、この歌は、昭和30年代、大学の山岳部やワンゲル部で白馬や穂高に憧れ、盛んに歌われた懐かしい歌ですね。登山ブームでした。穂高といえば井上靖の「氷壁」は、成就しない淡い恋愛感情を漂わせたナイロンロープに纏わる話でしたね。

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(↑上の写真)左=ユウガギク、中=ノコンギク、右=シラヤマギク

 いがりまさし著「日本の野菊」によると、「野菊は『キク属およびシオン属とその周辺』のもので、日本人の美観がつくりだした日本固有のカテゴリーに属するもの」と言うことです。明治39年の伊藤左千夫著「野菊の墓」に出てくる野菊は、その雰囲気からしヨメナ(嫁菜)ではないかと思います。昭和24年の石坂洋次郎著「山のかなたに」に出てくる野菊はユウガギク(柚香菊)ではないでしょうか。この場面では戦後の解放された明るい自信に満ちた女性(林タケ子)と軍隊帰りの委縮した男性(志村高一)が描写されています。「タケ子はピンクのワンピース姿、途中で摘んだらしい白い野菊を髪にさしていた。手にも一本もっており、のびのびした楽しそうな顔をしている。それの寄り添う志村は、見るからに窮屈そうな恰好をしていた。『ホラ、志村さん』と、タケ子は男の胸に片手を当てて、野菊で街の方をさしながら、『ああ、この花、志村さんも胸につけてよ』タケ子は志村にすれすれに寄り添って、背広の襟の穴に、長い茎をちぎった野菊をさしてやった」長い茎の白い花の野菊というのですから、ユウガギクが候補になるだろうと思いますがどうでしょうか。ユウガギク(柚香菊)はキク科シオン属。近畿地方以北の日当たりのよい山野に生える多年草。上部で四方に大きく枝を広げ、その先に花をつけますね。

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(↑上の写真)左=マルバダケブキ、中=ゴマナ、右=シュロソウ

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(↑上の写真)左=湿原風景、中と右=マツムシソウ

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(↑上の写真)左=シシウド、中=ノコギリソウ、右=クサレダ

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(↑上の写真)どれもヤナギラン

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(↑上の写真)左と中=イワアカバナ、右=コウゾリナ 

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(↑上の写真)左=ワレモコウ、中=イブキトラノオ、右=ヤマハッカ