野楽力研究所

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東京都多摩地区街中自然観察・・・令和6年6月3日

 街中自然観察に出掛けました。暫く行かない間に、咲いている花が変わりました。季節の変化を感じます。途中国分寺市の西恋ヶ窪緑地保全地域を通りました。ここはボランティアが樹木の萌芽更新などを手掛け、自然が豊かになっているところです。この時季は花は少なかったですが、緑は濃く、森林浴を楽しみました。今日の街中の自然の様子です。

(↑上の写真)左=街中に都道が新設される。中=街中の市民農園。右=ハルシャギク(波斯菊) 

 ハルシャギク(波斯菊)はキク科ハルシャギク属の一年草。明治時代に日本に来たが、昭和35年以降野生化が顕著になったといわれます。舌状花の基部が濃赤褐色でその文様が遠目に車のように見えたものですから春車菊と覚えていたのですが、波斯菊だそうです。つまりペルシャの菊という意味です。花の鮮やかさからそういう感じを受けますが、ペルシャにはこの花は無く、北アメリカ原産ということです。この文様を蛇の目傘の蛇の目と見て、別名ジャノメソウと言われるそうです。これから10月にかけて咲きますので、皆さんも自分なりの印象を持つのがいいかと思います。

(↑上の写真)左=ガザニア。中=シロタエギク(白妙菊)。右=ニチニチソウ日々草)。

(↑上の写真)左=ペンステモン。中=オルレア(ホワイトレース)。右=アメリオニアザミ(亜米利加鬼薊)。

 アメリオニアザミ(亜米利加鬼薊)はキク科アザミ属。『日本日本帰化植物写真図鑑』によると「ヨーロッパ原産の1~2年生草本。南半球を含めて世界の温帯に広く帰化している。茎はロゼット葉の中から出て高さ1,5mほどになる。全長に亘り著しいヒレ(翼)があり、ヒレは鋭い刺を持つ。頭状花は枝上に1~3個付き、直径3~4cmの紅紫色、総苞片は線形で先は鋭い刺になる。花期は夏から秋。昭和20年代以降、急速に分布域を広げた」とあります。『ウィキペディア』によると「和名に「アメリカ」とあるがヨーロッパ原産のアザミであり、誤解をさけるためセイヨウオニアザミと呼ばれることがある」とありますが、早く植物学会で名称変更してもらいたいです。『国立環境研究所HP』によると「自然分布地はヨーロッパ。日本へは北アメリカからの輸入穀物や牧草に混入して侵入、1960年代北海道で確認。外来生物法で要注意外来生物に指定された」とあります。綺麗な花ですが刺は硬くとても痛いので、除草も容易ではありません。

(↑上の写真)左=ドクダミ(蕺草、蕺)。中=ムラサキカタバミ(紫片喰)。右=アメリカセンダングサ(亜米利加栴檀草)。

(↑上の写真)左=ハルジオン(春紫苑)。中=ウラジロチチコグサモドキ(裏白父子草擬き)。右=ギシギシ(羊蹄)。

(↑上の写真)左=トケイソウ(時計草)。中=ビヨウヤナギ(未央柳)。右=キンシバイ(金糸梅)。

 ビヨウヤナギ(未央柳)はオトギリソウ科オトギリソウ属。『APG牧野植物図鑑』によると「中国原産の落葉低木。花は夏、径4~5cm、5数性で雄しべは花弁よりも長く5束に別れる。花柱は5裂。和名は未央柳か美容柳で花が美しいことによる。元禄7年(1694年)貝原益軒は「花譜」に載せている」とあります。また、深津正著『植物和名の語源』によると「漢名では金糸桃、金桃嬢などというが、花が金色で、形が桃の花に似ており、花糸が長く突き出ているからの名である。姿が美しく、葉が柳に似ているので、美容柳と言ったものと説く人もあるが、一方未央柳の名も古くから使われ「広辞苑」でも、この漢字名を用いている。どちらが正しいかは断定できないが、なぜ、未央柳というかを次に説明してみよう。白楽天の「長恨歌」の中に、「帰り来たれば、池苑みな旧に依る。太液の芙蓉、未央(びおう)の柳、芙蓉は面の如く、柳は眉の如く、此に対して、如何ぞ涙垂れざらん」という文句がある。玄宗皇帝が、安禄山の乱後、かつて妻の楊貴妃とともに華やかな暮らしを営んだ宮殿を訪れ、太液の池も未央宮(漢の高祖の時、宰相の粛何が造った宮殿)も在りし日そのままの姿を留めているのを見て、少なからぬ感慨を覚え、池の蓮花に妃の容顔(かんばせ)を、宮殿の柳にその眉を偲んだ情景を歌ったものである。一時栄華を極めたのち、悲劇的な最期を遂げた楊貴妃に対して、永遠に滅びない宮殿という意味の未央宮を配したところなど、味わいの深い文句である。金糸桃の美しい花を妃の顔に、柳に似た葉をその眉にたとえたとみれば、なるほどと頷くことができよう(一部翻案)」とあります。確かに煌びやかであると同時に何か寂しさを感じさせる雰囲気のある花ですね。 

 キンシバイ(金糸梅)はオトギリソウ科オトギリソウ属。APG牧野植物図鑑などによると「中国大陸中部の原産で1760年頃日本へ渡来し、観賞用に植栽。また、山地の人家付近の湿った崖などに野生化している常緑小低木。和名は中国名の「金糸梅」に由来し、これは5枚の花弁を梅に、長く突き出た雄しべを金の糸に喩えたもの」とあります(引用一部翻案)。

(↑上の写真)左=シモツケ(下野)。中=サンゴジュ(珊瑚樹)。右=ヤマボウシ(山法師)=園芸種。

(↑上の写真)アジサン(紫陽花)各種。

 アジサイ(紫陽花)はアジサイアジサイ属。山渓ハンディ図鑑4『樹に咲く花』によると「アジサイガクアジサイの花序全体が装飾花に変化したもので、古くから栽培されていた。日本に自生するガクアジサイ(山アジサイ)をヨーロッパに初めてヨーロッパに紹介したのは、オランダのシーボルトでドイツのツッカリーニと共同で、「ヒドランゲア・オタクサ」と命名し、日本での植物研究の集大成である「フロラ・ヤポニカ」に発表した。当時シーボルトはこの花に随分感動したようで、妻の榎本滝の愛称「おたきさん」をこの花の学名にあてたという。それをヨーロッパ人が品種改良し、現在の各品種がつくられた(かなり翻案)」とあります。

(↑上の写真)ガクアジサイ(額紫陽花)各種。

↓西恋ヶ窪緑地にて

(↑上の写真)左=南側入り口。中=タカトウダイ(高灯台)。右=キツネアザミ(狐薊)。

 タカトウダイ(高燈台)はトウダイグサ科トウダイグサ属。北海道を除く日本各地の山地や丘陵地に生える多年草。茎から出る白い汁は有毒。トウダイは船の安全を守るいわゆる燈台ではなく、昔、明かりを灯した燭台のこと。花の形からは燭台が相応しいですね。『牧野植物図鑑』によると「茎の先の5葉の披針形の葉を輪生し、5本の枝が傘状に分立する。苞葉は小さく卵形または広菱形、夏に黄緑色の花を開く」とあります。上掲写真を見るとそのようです。因みにWeb『京都府レッドデータブック2015』によると「本州、四国、九州、朝鮮半島、中国大陸に分布し、京都府では絶滅危惧C(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)」ということです。

(↑上の写真)いずれも西恋ヶ窪緑地(X山)の様子。

(↑上の写真)左=ムラサキシキブ紫式部)。中=ネズミモチ(鼠黐)。右=緑地の岐れ路。

(↑上の写真)左=コヒルガオ(小昼顔)。中=サイハイラン(采配闌)の保護。右=ナンテン南天)。