野楽力研究所

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神奈川県立東高根森林公園・・・令和5年4月11日

 今年は季節の移ろいが早く、春の草花は終わりを迎え、夏の花が開きはじめました。種類が揃うには、もう少し時間がかかりそうです。ここ東高根森林公園は11、6haの広さがあり、丘陵の頂上に古代芝生広場があり、その周囲に谷戸がある水が流れています。芝生広場は周囲をシラカシの原生林に囲まれていて、谷戸には湿生植物が生えています。園内には、たくさんベンチがあって、お弁当持参で自然が満喫できます。広い駐車場もあります。今日の様子です。

(↑上の写真)左=パークセンター、中=赤色のノムラカエデ(野村楓)も鮮やかに池のある風景、右=シラカシ(白樫)の原生林に囲まれた園路

(↑上の写真)どれもゲンゲ(レンゲ)(蓮華)、見られなくなったゲンゲの花がここでは自然に生えています。

(↑上の写真)左=ミツガシワ(三柏)、中=ナガバオモダカ(長面高)、右=シャガ(射干)

 シャガ(射干)は、アヤメ科アヤメ属。APG牧野植物図鑑によると「沖縄を除く日本全土と中国の湿った林下に大群をなして生える常緑多年草。日本のものは染色体が3倍体なので種子はできない。和名は、本来はヒオウギの漢名射干を音読み取りしたものといわれる」とあります(一部翻案)。常緑で土留めになるので崩れやすい山道の法面の保護に使用されたりしています。種子は出来ないので、全てクローンで人によって植栽されたものです。上掲の写真は随分綺麗で林下の貴婦人に相応しいですね。単葉面(表に見えるのは裏)の植物で、表は裏側になっているそうです。この理論は平成22年に日本の研究者によって発見されました(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻の塚谷裕一教授らの研究グループ)。

(↑上の写真)左=ヤエヤマブキ八重山吹)、中=ヤマブキ(山吹)、右=ニリンソウ二輪草

 ヤマブキ(山吹)はバラ科ヤマブキ属。APG牧野植物図鑑によると「日本各地、中国に分布し、山間の川沿いに生える落葉低木。葉は互生する。花は晩春から初夏、短い新側枝の先に径3~4cmのものを1個ずつ開く。種子は本来5個であるが、1~4個が成熟して核果となり花托上で萼に包まれる。和名山吹の語源は山振で、枝が弱々しく風のまにまに吹かれて揺れやすいことことを表す」ということです。なぜ山振なのかの意味が分かりますね。山振が山吹になったんですね。一重のヤマブキは種子を結びますが、ヤマブキの八重は他の植物と同様、種子を結びません。それは種子を結ぶ雄しべ、雌しべが花びらに変化してしまっているからです。「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき」の作者は兼明(けねあきら)親王ですが、この和歌を知らずに、蓑を貸してもらえなかったことに腹を立てたことを、後に自分の無学を恥じ、学問に精進した太田道灌の逸話が有名ですが、七重八重の山吹であることがミソですね。

(↑上の写真)左=ヤマアイ(山藍)、中=ウラシマソウ(浦島草)、右=ムサシアブミ(武蔵鐙)

(↑上の写真)左=オドリコソウ(踊子草)、中=ヒメオドリコソウ(姫踊子草)、右=カキドオシ(垣通し)

(↑上の写真)左=エビネ(海老根)、中と右=カントウタンポポ(関東蒲公英)

(↑上の写真)左=ジシバリ(地縛り)、中と右=イカリソウ(碇草、錨草)

(↑上の写真)左と中=セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草)、右=ミツバツチグリ(三葉土栗)

(↑上の写真)左=ヤブニンジン(藪人参)、中=セントウソウ(仙洞草)、右=ヤエムグラ(八重葎)

(↑上の写真)左=ドウダンツツジ灯台躑躅)、中=オウバイモドキ(黄梅擬)、右=ハナイアカダ(花筏

(↑上の写真)左と中=オウバイモドキ(黄梅擬)、右=参考(黄梅):2月26日東京薬用植物園で写したもの。

 オウバイモドキ(黄梅擬)はモクセイ科ソケイ属。別名:ウンナンソケイ(雲南素馨)、しかし、中国雲南省に自生するわけではないそうです。Web:「花しらべ、花図鑑」によると「中国南西部原産で明治時代初期に導入された半つる性の落葉低木。茎が根元から多数分枝し、緑色の枝が垂れ下がる。葉は対生、3出複葉」とあります。Web:庭木図鑑「植木ペディア」には「オウバイは落葉性だが、本種は一年を通じて緑色の葉を持つ。開花時期は3~4月でオウバイよりやや遅れて咲く。花の直径は4~5センチほどでオウバイより大きい。花びらが6~10枚に分裂するため、二重あるいは八重咲きに見えるのが特徴」とあります。違いの決め手は、オウバイは、花が一重で筒部が細く長くて、ラッパのように見えるがオウバイモドキの方は、花びらが八重咲きのように見えること、花の筒部がオウバイのようにはっきりしていないことの2点です。枝が枝垂れる、枝は四角で角が稜を成している、というのは両方ともであり、区別点にならないようです。上掲参考の東京都薬用植物園のオウバイの写真と比較してご覧ください。

(↑上の写真)左=コウゾ(楮)、中=マグワ(真桑)、右=ヒイラギナンテン(柊南天