野楽力研究所

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都立神代植物公園・・・令和5年2月28日

 気温が高くなり始めた春先の神代植物公園を訪れました。ユキワリイチゲスハマソウミスミソウ:柵内遠くに)が咲いていました。梅林では梅が早咲き遅咲きが入り混じって咲いており、香しい匂いを漂わせています。マンサクは外国の園芸種が咲いていますが、日本のマンサクは園内他の場所で咲いていました。椿は種類が多く、咲き方はチラホラですが、一輪、一輪観賞すると、結構楽しめます。今日の様子です。因みに、梅まつり=2/14~3/5、椿ウィーク=3/11~3/19、さくらまつり=3/25~4/9。

(↑上の写真)左=入口の乙女像、中=梅林、右=大温室の展望

(↑上の写真)いずれもユキワリイチゲ

 ユキワリイチゲ(雪割一華)キンポウゲ科イチリンソウ属。APG牧野植物図鑑によると「近畿地方以西、四国、九州の竹やぶや山裾の林下などに群がって生える多年草」とあります。神代植物園のものは植栽したものということになります。秋に葉を出し、3月に花を開き、初夏には地上部が枯れる早春植物。根生葉は三裂し、紫色を帯びた緑色(↑上の写真で確認できます)。花弁(花びら)のように見えるのは顎片で、花弁は無いということです。

(↑上の写真)左=スハマソウ(またはミスミソウ)、中=フクジュソウ、右=キクザキイチゲ

(↑上の写真)左=オニシバリ、中=アリドオシ、右=サンゴカク

 オニシバリ(鬼縛り)はジンチョウゲジンチョウゲ属の小低木。有毒植物で雌雄異株。日本固有種。ちょうど今、ジンチョウゲに似た花が撮れました。鬼もこの樹皮で縛られると解けないほど繊維が強靭なので、オニシバリ(鬼縛り)と名付けられたということです。樹姿が整わないので庭木には不適とのことで、そのひねくれた生態から、花言葉は「変わり者」とされていますが、野楽力研究所での花言葉は「おら、おらで、ひどりいぐも」。

 サンゴカク(珊瑚閣)はムクロジ科カエデ属。園内解説板によると「冬季に若い枝が鮮やかな赤い色になります。冬枝を観賞する品種です。古くからある品種で、欧米にも紹介されています」とのことです。今年解説板に気づき、初めて知りました。若い枝の先が日に照らされ珊瑚のように赤く輝いて見えました。各種Webによると、イロハモミジの園芸品種で、秋には黄~オレンジ色~黄金色に黄葉するということです。秋を楽しみに待ちたいと思います。

【↓梅林にて】

(↑上の写真)いずれも紅梅「緋の司(ひのつかさ)」

(↑上の写真)いずれも白梅「輪違い(わちがい)」

(↑上の写真)いずれも紅梅「紅鶴(べにづる)」

(↑上の写真)いずれも白梅「月影(つきかげ)」

(↑上の写真)いずれも白梅「長束(ながつか)」

(↑上の写真)左=紅鶴(べにづる)、中=見驚(けんきょう)、左=白難波(しろなんば)

【↓マンサク園にて】

(↑上の写真)左=「ダイアナ」、中=「モリス・パリダ」、右=「ルビーグロー」

(↑上の写真)左=「シナマンサク」、中=「オレンジビューティー」、右=(園内他の場所にて日本の)「マンサク」

【↓椿園にて】

 ツバキ(椿)の標準和名はヤブツバキ(藪椿)でツバキ科ツバキ属。APG牧野植物図鑑によると本州の北端から琉球列島を経て台湾の一部にまで分布する常緑高木。世界大百科事典によると「あでやかで異国的なツバキは〈日本のバラ〉と呼ばれ,<花木の貴族>とたたえられた。フランスでも19世紀には《椿姫》の大流行で、紅白のツバキのコサージュや花束が,夜会のアクセサリーとしてもてはやされ,パリジェンヌたちの胸をときめかした。ツバキの花ことばは,このような熱狂的な背景もあって,紅ツバキには〈気どらない優美〉,白ツバキには〈完全な愛らしさ〉という最上級の賛辞が与えられたのである」ということです。シーボルトがヨーロッパにもたらした冬でも青々した艶やかなツバキの葉は、もの皆枯れるヨーロッパの冬に人々に歓迎された様子が分かりますね。ヴェルディのオペラ「椿姫」第一幕、初めのうちは相手にしなかったヴィオレッタ(=椿姫=高級娼婦)も、次第にアルフレード(青年貴族)の真心に惹かれ、胸に挿した椿の花を渡して、「この花が萎れたときにまたお目にかかりましょう」と再会を約束して別れる場面は象徴的で、椿が重要な役割を果たしていました。

(↑上の写真)左=「蝦夷錦(えぞにしき)」、中=「八重姫(やえひめ)」、右=「太郎冠者(たろうかじゃ)別名「有楽(うらく)椿」

 太郎冠者については、園内解説板によると「太郎冠者とは、狂言の役の一つで舞台に最初に出てきて口上を述べる役柄。このツバキは、他のツバキに先駆けて咲くことから、この名がついたといわれます。」とあります。Web:東京花散歩によると「(太郎冠者は)古くからある椿の園芸品種。中国から渡来した椿の原種とヤブツバキの交配種ではないかといわれる。江戸では太郎冠者、京都では有楽椿と呼ばれた。有楽椿は、織田信長の弟で茶人でもあった織田有楽斎が、茶の湯の席に好んで用いたことに由来(一部翻案)」とあります。

(↑上の写真)左=「赤角倉(あかすみくら)」、中=「唐錦(からにしき)」

(↑上の写真)左=「明石潟(あかしがた)」、中=「獅子錦(ししにしき)」、右=「数寄屋(すきや)」

【↓その他園内で見られる花】

(↑上の写真)左=ソシンロウバイ、中=ギンモクセイ、右=サンシュユ

(↑上の写真)左=アセビ(赤花)、中=アセビ(白花)、右=ジンチョウゲ(赤花・まだ蕾)

【↓大温室にて】

(↑上の写真)左=ドンベア、中=ブルグマンシア、右=コエビソウ

(↑上の写真)左=サルオガセモドキ、中=ラン、右=ベゴニア

(↑上の写真)いずれもスイレン

(↑上の写真)いずれもサボテン