野楽力研究所

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東京都薬用植物園・・・令和5年2月26日

 そろそろサンシュユ、セリバオウレン、セツブンソウが咲いているようですので、訪れました。園内の雑木林は春まだき、の雰囲気ですが、栽培園ではロウバイが終わり、サンシュユの季節に移り替わっていました。今日の様子です。

(↑上の写真)左=薬用植物園入り口前の温室、中=春まだき、の園内雑木林、右=春がそこまで訪れているような雰囲気の栽培園内。

(↑上の写真)いずれもサンシュユ、左=花、中=樹姿、右=独特の樹皮

 サンシュユ(山茱萸)はミズキ科サンシュユ属。中国原産で江戸時代享保年間(1720年頃)に薬用植物として渡来したそうです。「茱萸」とはグミのこと。グミはドイツ語だそうです。秋に赤い実がなりますが、その実のことを漢字では「茱萸」と書きます。サンシュユは秋に赤い実をつけ、それがグミの実のようなので「山の茱萸=山茱萸」となったのでしょう。注意したいのは、サンシュユが日本に渡来したのは、享保年間・江戸中期ということですから、それ以前は、日本にはサンシュユの木はなかったということです。稗搗節(源平合戦の頃)のサンシュウの木は、サンショウ(山椒)のことで、時代的にサンシュユ(山茱萸)のことではないということになります。結論的には南九州地方のサンシュウという呼び名は、サンショウの訛りとうことになります。

(↑上の写真)いずれも枝垂れ梅

(↑上の写真)いずれも同じ紅梅

(↑上の写真)いずれも同じ白梅

(↑上の写真)左と中=ソシンロウバイ、右=咲き終わりのロウバイ

(↑上の写真)いずれもセリバオウレン、中=雄株雄花、右=雌株雌花に独特の茶色の心皮(子房のようなもの)が伸びて種子をつくりつつあります。

 セリバオウレン(芹葉黄連)はキンポウゲ科オウレン属。(東京生薬協会のHP)では、オウレンの植物名は『セリバオウレン』と出ています。(日本薬学会HP)によると「オウレンは常緑多年生の草本植物で、数少ない日本特産の薬用植物です。北海道、本州、四国の針葉樹林下に群落しています。花季は3-4月、根元から高さ10 cm位の花茎を出し、2-3個の白色の花を付けます。雌株(上の写真の左と右)と雄株(上の写真の中)区別があり、花びらのように見える5-7片のものは実は萼(がく)で、本当の花びらは、萼片より短く、細いさじ形になったもので、5-6個あります。9-11月頃、根茎を堀取って細い根を除いて乾燥させたものが生薬の「黄連」です。約3-7%のベルベリンという成分が含まれています。消炎、止血などの生薬として使われ、江戸時代よりその栽培化も行われ、中国に輸出されるようになり、現在でも日本から輸出される生薬の上位を占めています。」(一部翻案)ということです。 

(↑上の写真)いずれもセツブンソウ

 セツブンソウ(節分草)はキンポウゲ科セツブンソウ属。関東地方以西で山裾の半日陰などに生える多年草といわれる。早春、節分の頃に開花し(節分草と名づけられた理由)、初夏には姿を消すことから「スプリングエフェメラル(春の妖精)」と呼ばれます。5枚の花弁(花びら)のように見えるものは萼片(がくへん)の変化したもので花弁は密腺(上の左の写真で黄色い葯のように見えるもの)に変化しています。花茎につく萼片の下の5枚の葉のように見える「茎葉」(上の右の写真でよく分かります)は総苞の変化したもので、花弁状になった萼片の代わりに花の保護器官の(萼の本来の)役目をしていると考えられます。

(↑上の写真)左=フクジュソウ、中=フクジュソウ秩父紅、右=キバナセツブンソウ

(↑上の写真)左=フキノトウ、中=キクザキリュウキンカ、右=(ニホン)スイセン

(↑上の写真)左と中=コショウノキ、右=オウバイ

 コショウノキ(胡椒の木)は、ジンチョウゲジンチョウゲ属。(APG牧野植物図鑑スタンダード版)によると「関東地方以西から琉球列島の山地の林内に生える常緑小低木。高さ1m位。雌雄異株。和名<胡椒の木>は果実がコショウのように非常に辛いとされたため」。Web「松江の花図鑑」によると「果実は液質の核果。直径8mmほどの球形で、6月に赤く熟す。有毒」ということですから、その辛さを胡椒と比べてみるわけにはいきませんね。ジンチョウゲ科なので花の香りは良いようですが、残念なことに、ここでは柵があって近寄れません。

【↓温室にて】

(↑上の写真)左=ゲンペイクサギ、中=ブーゲンビレア、右=ツンベルギア