南武線久地駅南ひと丘越えたところにある東高根森林公園は丘陵に囲まれた谷戸を中心にした公園です。丘陵が風を防いでくれますので穏やかでせせらぎの水豊かなところです。水辺と丘陵斜面地の山野草が保護されています。キンラン、ギンランはもとよりチョウジソウ、オドリコソウ、キショウブなどが見頃です。<写真をクリックすると拡大されます>
(↑上の写真)左=谷戸の木道、中と右=キンラン
(↑上の写真)左と中=ギンラン、右=ササバギンラン
(↑上の写真)左=ミヤマナルコユリ、中=オオハンゲ、右=オドリコソウ
オオハンゲ(大半夏)はサトイモ科ハンゲ属。本州西部の暖地に生える多年生草。ハンゲ(半夏)に比べて大きいのでオオハンゲ。ちょっと遠目にはムサシアブミのように見えますが、仏炎苞の形が違います。ウラシマソウのように仏炎苞に包まれた肉穂花序の上部から釣糸状部(牧野富太郎博士は鞭状部と呼ぶ)が伸びています。ハンゲ(カラスビシャクの別名)は小ぶりですが釣糸状部が伸びています。ハンゲ(半夏)は仏教用語で夏の3か月間(旧暦4月15日からの90日)の夏行の半分の45日目を半夏といい、ちょうどそのころこの草が咲くのでハンゲと呼ばれるようになったということです。新暦7月初旬のころのようです。全く別の植物ですが、ドクダミ科にハンゲショウ(半夏生、半化粧)という植物がありますが、花の下、数枚の葉が白くなるので、それが半分化粧したようになるので「半化粧」と呼ばれているようです。半夏のころに咲くので似合いかもしれません。
キショウブ(黄菖蒲)はアヤメ科アヤメ属。外来種で明治30年ころヨーロッパ原産の花卉として移入されたものが逸出したものということです。現在、環境省は「要注意外来生物」の一種として「栽培にあたっては、逸出を起こさない」ように注意喚起しています。黄菖蒲ですから菖蒲(ショウブ)の黄色い花のものと考えると間違えます。また菖蒲でアヤメやカキツバタを思い出す人がいると思いますが、これも違います。牧野富太郎博士によれば、菖蒲は、もともとは石菖(セキショウ)の漢名で石菖蒲とも書く、ということです。ですからショウブはアヤメ科の仲間ではなく、ショウブ科で、花は肉穂花序でアヤメなどとは全く違います。ショウブの仲間のアヤメのような黄色い花のものという考えは成り立たないということです。少しややこしくなりました。ショウブとつくが、アヤメの仲間。
(↑上の写真)左=チョウジソウ、中=フタリシズカ、右=ホウチャクソウ
(↑上の写真)左=ミツガシワ、中=ナガバオモダカ、右=シラン
(↑上の写真)左=ヤグルマソウ、中=モミジガサ、右=ヤブレガサ
モミジガサ(紅葉笠)はキク科コウモリソウ属。山地の林下に生える多年草。花期は8月~10月。牧野植物図鑑では、和名は葉がモミジ(カエデ)に似た掌状葉で、しかも葉が傘状をしているからである、と記されています。当園の解説書では紅葉傘でなく、紅葉笠として「笠」の字を当てています。ヤブレガサ(破れ傘)キク科ヤブレガサ属は、当園の解説書には載っていないのが残念ですが、図鑑ではヤブレガサは破れ傘とするものばかりです。笠は三度笠の笠で観察した人が紅葉笠の時は葉が開いていて、破れ傘のときには、まだ開いていなかったのかもしれません。三度笠は閉じることがありませんからね。
(↑上の写真)左=ノムラカエデの赤色が目立つ風景、中=ジュウニヒトエ、右=ヤマアイ
(↑上の写真)外来種3選:左=ワスレナグサ、中=モモイロヒルザキツキミソウ、右=ユウゲショウ