野楽力研究所

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練馬区立牧野記念庭園・・・令和元年10月7日

 今年は牧野富太郎博士没後60周年です。牧野博士が大正15年から亡くなるまで居住されていた自宅は練馬区立の記念庭園になっています。この記念庭園で「はじまりは書斎の前の野草園」という展示会が開催されています。11月17日まで。西武池袋線大泉学園駅下車南へとほ5分。入場無料。庭園の花はこの時季少ないですが、展示などで博士を偲ぶことができます。

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(上の写真)左=牧野記念庭園入口、中=ヘラノキ、右=センダイヤザクラ

 庭園のヘラノキ、センダイヤザクラは練馬区の名木に指定されています。ヘラノキ(箆ノ木)はシナノキ科。ボダイジュと同じように苞葉が箆(へら)の形をしており、そこに集散花序をつけるので、実をつけると舟形を逆さにしたように見えます。ヘラノキの樹皮は縦に切れてはがれるので、綿花が一般的になる江戸時代前には、この樹皮で布を織ったそうです。シナ布といわれ着心地はイマイチだったようですが、丈夫ということで、船の帆などに使われたそうです。センダイヤザクラ(仙台屋桜)は、バラ科。牧野博士が故郷高知の商家「仙台屋」の前にあった桜に名づけたものと言います。

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(上の写真)左=スエコザサに囲まれる句碑、中=スエコザサ、右=コヤスノキ

 スエコザサ(寿衛子笹)はイネ科アズマザサ属。今はアズマザサの変種とされていますが、牧野富太郎博士が仙台で発見し、博士を支え続けてくれた妻・寿衛子に献名したもの。シーボルトアジサイに日本妻お滝の名をつけたことを批判した博士が自分の妻の名をササにつけたことには批判もあるそうです。

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(上の写真)左=シモバシラ、中=ヒヨドリジョウゴ、右=マルバフジバカマ

 シモバシラ(霜柱)はシソ科。従って、茎は四角。冬に、茎に氷柱ができることで、特に高尾山では有名。夏の終りに純白の花房が葉腋ごとにつく(写真)ので、それもきれいです。シモバシラほどではありませんが、氷柱ができるものにセキヤノアキチョウジがあります。条件がよければ、ミズヒキやオカトラノオなどにもできるようです。氷柱は草が枯れた後、茎の導管がストローのように毛細管現象で水を吸い上げ、吸い上げられた水が凍って氷となり導管を破って外に出てきたものです。

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(上の写真)左=書斎、中=ヤブラン、右=ナキリスゲ