野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

高尾山・・・令和元年11月21日

 朝はずいぶん冷えましたが、昼間は穏やかに青空が広がりました。自然観察をしていると気持ち良い一日でした。今日の高尾山の様子をお伝えします。

                 <写真をクリックすると拡大されます>

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(上の写真)左=高尾山口駅イチョウの黄葉、中=ケーブルカー清滝駅前の紅葉、右=薬王院仁王門の紅葉

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(上の写真)高尾山山頂の紅葉、中=山頂からの富士山、右=ダンコウバイの黄葉

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(上の写真)左=リンドウ、中=ヒイラギ、右=ミヤマシキミ

 リンドウ(竜胆)はリンドウ科。晴れの時のみ開花するので、開花した様子が見られたら運がいいですね。根は生薬として健胃剤に用いられるそうですが、その苦いことが竜の胆のようだというので竜胆と名づけられたということです。伊藤左千夫の「野菊の墓」では、野菊のような人は民子、リンドウのような人が政夫になっています。「リンドウはほんとによい花ですね。わたし、リンドウがこんなに美しい花とは知らなかったわ。わたし、急にリンドウが好きになった」「政夫さんはリンドウのような人だ」という会話がありましたね。リンドウは、秋遅く霜枯れの中に咲く花ということで、清少納言枕草子64段でその色合いの美しさを愛でていますね。

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(上の写真)左=オオハナワラビ、中=ナンテン、右=ミヤマシキミ

 

小石川植物園・・・令和元年11月20日

 小石川植物園の温室は、工事中でしたが、このほど完成し、昨日から公開されましたので訪ねてみました。ほとんどの植物は鉢植えになっていました。温室は第一から第五まであり、育つ環境によって分けられています。

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(上の写真)左=温室正面入り口、中=全容、右=温室内部の様子

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(上の写真:温室内)左=ダイトウワダン(大東島)、中=シマカコソウ(小笠原)、右=サンタンカ(中国)

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(上の写真)温室内の花々

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以下温室外(上の写真)左=コダチダリア、中=イソギク、右=ヨメナ

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(上の写真)左=ツワブキ、中=ヒイラギ、右=キミガヨラン

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(上の写真)左と右=サザンカ、右=シロダモ

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(上の写真)左と中=ナンキンハゼ、右=ハゼノキ

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(上の写真)左=ラクウショウ、中=メタセコイア、右=マンサク

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(上の写真)左=ケンポナシ、中=ムラサキシキブ、右=フクロモクゲンジ

 

多摩森林科学園・・・令和元年11月15日

 多摩森林科学園は、台風の影響の倒木と土砂崩れで、森の管理室より奥は立ち入り禁止となっています。第1樹木園と第2樹木園のみ見学可能です。そのため、入場は無料となっています。鋭意補修に努めているということですが、復旧の目途は立っていないとのことです。ハナノキ、ヤマハゼ、マンサクなどが鮮やかに色づいているのが見られます。

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(上の写真)左=多摩森林科学園入口、橋の右手にハナノキが写っています。中と右=ハナノキ

 ハナノキ(花之木)は、カエデ科でしたが新分類でムクロジ科カエデ属。別名:ハナカエデ。カエデ属でもあり、別名からも分かるようにウリカエデに似た葉をしており、対生です。秋に写真のように色づきます。多摩森林科学園の説明板によると東海丘陵要素と呼ばれ、愛知県から岐阜県南部の限られた地域に自生する日本固有種。落葉高木で樹高は30mに達する。春に葉が開く前に赤い花が咲くことからこの名がある、ということです。牧野植物図鑑によると、同種のものが北米東部にもあり、太平洋を隔てた隔離分布として著しい例であると解説されています。インターネット「ハナノキの保全」によるとハナノキの仲間は、第三紀の温暖期に北半球の高緯度地域に広く分布していたが、その後の度重なる氷河期を耐えて生き残ったのは、北米に分布するレッドメープル、シルバーメープルと日本のハナノキの3種のみであるという。さらに北米の2種は北米東部に広く分布する普通種であるのに対し、ハナノキは恵那山を中心とする半径約50kmというごく限られた地域に、遺存的に分布する東海丘陵要素と呼ばれる植物種群の一つであるという。貴重な日本固有種のようです。

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(上の写真)左=ヤマハゼ、中=マンサク、右=ミズメ

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(上の写真)左=カラタチバナ、中=ミヤマシキミ、右=タラヨウ

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(上の写真)左=オヤマリンドウ、中=シロヨメナ、右=森の管理棟奥の立ち入り禁止区域

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(上の写真)左=ハリガネワラビ、中=オオイタチシダ、右=ヤマイタチシダ

 

科博附属自然教育園・・・令和元年11月10日

 カエデは緑の葉のままで、まだ紅葉の雰囲気はありませんでした。ハゼノキが一本鮮やかに紅葉していました。陽当りでは、ムラサキシキブがたわわに紫の実をつけています。アワコガネギク、コウヤボウキ、シロヨメナは今が花盛りです。残念なことに江戸時代からの大蛇の松が、台風によって根こそぎ倒れてしまいました。

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(上の写真)左=自然教育園の入口、中=ハゼニキの紅葉、右=ムラサキシキブ

  ハゼノキ(櫨の木、黄櫨の木)はウルシ科。豊前国中津、山国川耶馬渓の青の洞門が舞台となった菊池寛恩讐の彼方に」の中に櫨が出てきます。市九郎は主人を殺めて主人の寵妾お弓と逐電する。悪行を重ねるが、市九郎は後悔し、過去の自分とお弓を棄てて放浪する。辿り着いた美濃国浄願寺で得度し、仏道修行に専心する。半年で智識となり、諸人救済のため諸国雲水の旅に出る。享保九年の秋、筑紫に来た時『筑紫の秋は、宿りごとに更けて、雑木の森には櫨赤くただれ、野には稲黄色くみのり、農家の軒には、この辺の名物の柿が、真紅の珠をつらねていた』と。黄色に色づいた稲穂と赤く色づいた櫨と干し柿を対比し、秋の深まりを描写します。市九郎は、自分が求め歩いたものが、ようやくここ耶馬溪の鎖場で見つかったと思った。この鎖場で亡くなる人を一年に十人を救えば、十年には百人、百年、千年と経つうちには、千万の人の命を救うことができる。こう一念発起すると、彼は、一途に洞門開鑿に専念した。その日から、羅漢寺の宿坊に宿りながら、山国川に添うた村々を勧化して寄進を求めるも、何人もこの風来僧の言葉に、耳を傾ける者はなかった。そしてご存知の通り物語は佳境に入るわけです。ハゼノキの紅葉を見るといつも思い出す情景です。

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(上の写真)左=アワコガネギク、中=コウヤボウキ、右=シロヨメナ

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(上の写真)左=センリョウ(千両)、中=カラタチバナ(百両)、右=ヤブコウジ十両

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(上の写真)左=イイギリ、中=サネカズラ(ビナンカズラ)、右=シオデ

 サネカズラ(実葛・真葛)はマツブサ科サネカズラ属。サネカズラは茎を水に浸しておくと粘液が出てそれを昔、髪や鬚を整えるのに使って美形を整えたというので別名ビナンカズラ(美男葛)ともいわれます。百人一首にも選ばれている藤原定方=三条右大臣の「名にし負はば 逢坂山のさねかづら 人に知られで くるよしもがな」(私的口語訳:逢坂山のサネカズラが恋人に出逢って共寝(サネ=さ寝=小寝)するという名を持っているというのなら、サネカズラの蔓が手繰れば来るように、あなたを誰にも知られずに手繰り寄せられないものか)と詠まれている和歌で有名なサネカズラです。赤い実にその逢いたい女性の面影を忍ぶのも秋の風情を味わうにはいいかも知れません。そう言えば、この赤い実は、あの艶やかな女性(ひと)の紅の色を想い出させますね。

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(上の写真)左=マユミ、中=ノイバラ、右=マンリョウ

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(上の写真)左=ナガホノシロワレモコウ、中=ヤブタバコ、右=ヤツデ

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(上の写真)左=大蛇の松の倒木の様子、中=水生植物園水面に青空が映る、右=園路の様子

 

日野市立南平丘陵公園・・・令和元年11月9日

 晩秋の候となりました。今年は紅葉が遅いといわれています。皆さんのところではどうでしょうか。ここ南平丘陵公園は、ガマズミとコバノガマズミ、ムラサキシキブとヤブムラサキとが隣り合って咲いているので、比較して観察するのに適しています。萌芽更新もされていて昔の里山が維持されています。

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(上の写真)左=公園入口、中と右=ガマズミ

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(上の写真)左と中=コバノガマズミ、右=コウヤボウキ

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(上の写真)左=トチノキと青空、中と右=ゴンズイ

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(上の写真)左=ムラサキシキブ、中=ヤブムラサキ、右=ハナミズキの紅葉と花芽

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(上の写真)左=キバナアキギリの萼(がく)、中=萼の中の種子、右=ノブドウ

 

東京薬科大学薬用植物園・・・令和元年10月23日

 この薬用植物園は、京王線平山城址公園駅から南へ歩いて30分ほどの所にあります。受付簿に記名すれば、入れます。植物の名札も整備されていて楽しみながら植物観察ができます。

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(上の写真)左=入口、受付簿が置いてあります。中=ハナトリカブト、右=アズマレイジンソウ

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(上の写真)どれもタバコ、左=花、中=葉、右=実

 タバコ(煙草)はナス科タバコ属。語源はスペイン語。ご存知の芥川龍之介の「煙草と悪魔」のお話です。「悪魔はフランシスコ・ザビエルについているイルマンの一人に化けて、日本へやって来た。日本での退屈な時間に園芸を始めた。持ってきた種子を蒔いて育てたものは、茎の先に漏斗のような形をした薄紫の花をつけた。悪魔には、この花の咲いたのが、骨を折っただけに、大変うれしかった。と、そこに通りかかった牛商人が『もし、お上人様、その花は何でございますか』と問うと、上人に化けている悪魔は『この名だけは教えられない』という。悪魔は『三日の間に誰かに聞いてもいいです。この名があたったら、これをみんなあげます。その他にお酒なども』という。『賭けですよ』ともいう。悪魔は『もしあたらなかったら、あなたの体と魂をもらいますよ』と右の手をまわして帽子を脱いだ。三日目の晩、牛商人は、もくろんでいた計画を実行した。即ち、牛の尻を思い切りたたいて畑の中に追い込んだ。けたたましい牛の鳴き声と蹄の音に、寝込んでいた悪魔はびっくりして窓を開け『この畜生、何だって、おれの煙草畑を荒らすのだ』と怒鳴った。牛商人は、首尾よく、煙草と云う名が分かり、云いあてて、悪魔に鼻をあかさせた。悪魔は敗北した。が、それ以後、日本全土に煙草を普及させることができ、日本を堕落させることにおいては、悪魔として勝利した」煙草には、こんな挿話があったんですね。(一部翻案)

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(上の写真)左=ミカエリソウ、中=ヒキオコシ、右=クロヒキオコシ

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(上の写真)左=カワミドリ、中=ハッカ、右=キチジョウソウ

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(上の写真)左=シロヨメナ、中=キバナアキギリ、右=イブキトラノオ

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(上の写真)左=サンザシ、中=ナツメ、右=ミツバアケビ

 サンザシ(山査子)はバラ科の落葉低木で、5月頃白い散房花序の花を咲かせます。北原白秋作詞、山田耕作作曲の童謡「この道」の4番に「あの雲も いつか見た雲 ああ そうだよ 山査子の枝も垂れてる」という歌詞があります。白秋が母の実家熊本で馬車に乗って通った道、秋の青空に白い雲がぽっかり浮かんでいます。目線を手許に戻すと山査子の赤い実がたわわに実っている。白い雲と赤い山査子の実、その間に青い空が広がる秋の爽やかさが伝わってきます。1番・2番は北海道を旅行した時のアカシアの花と白い時計台。3番・4番は熊本から福岡へ馬車に乗ったときに見た光景。季節を髣髴とさせる歌詞ですね。

 

平山城址公園・・・令和元年10月23日

 平山城址公園は10月末までの予定で園路改修が行われており、園路の多くが閉鎖されています。西園から東園への移動も、外の路を大回りしなければなりません。ほとんど山野草は咲いておらず、寂しい状況で、訪れる人も数人でした。

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(上の写真)左=丘陵の上からの平山市街の眺望、中=アキノキリンソウ、右=コウヤボウキ

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(上の写真)左=シロヨメナ、中=タイアザミ、右=平山季重(すえしげ)神社