野楽力研究所

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高幡不動尊境内・・・令和5年12月28日

 この時期に高幡不動尊を訪れたことが無かったので、尋ねてみました。歳末ということで新年に向けた準備に追われていました。訪れる人もそれほど多くなくシダ類を中心にゆっくり自然観察が出来ました。今日の自然の様子です。

(↑上の写真)左=不動尊正面、中=五重塔、右=旗かけの松 

 高幡不動尊の縁起は、本寺のWebによると「正式名称は高幡山明王院金剛寺といい、平安時代初期に慈覚大師円仁(えんにん794年~864)が、清和天皇の勅願によって東関鎮護の霊場と定めて山中に不動堂を建立し、不動明王をご安置したのに始まる。建武2年(1335)8月4日夜の大風によって山中の堂宇が倒壊したので、時の住僧儀海上人が康永元年(1342)麓に移し建てたのが現在の不動堂で関東稀に見る古文化財である」とあります。「旗かけの松」は正式の史実にはなっていませんが「源頼義前九年の役(1051~62年)で奥州征伐に向かう途中、 高幡不動尊に戦勝祈願。軍旗を立てかけた」と言い伝えられる赤松で現在2 代目ということです。なかなか素敵な姿に育っています。

(↑上の写真)左=オオハナワラビ(大花蕨・胞子葉があるのはこれ一株)、中と右=別の場所での栄養葉のみの株

(↑上の写真)左=イノデ(猪の手)、中=フモトシダ(麓羊歯)、右=オオバノイノモトソウ

 フモトシダ(麓羊歯)はコバノイシカグマ科フモトシダ属。東北南部から沖縄の暖地の樹林下に生える常緑の多年草という。上掲写真はタマシダのように見えますが、個体差と思われます。羽片の基部の上側第一裂片の先端はいつも他のものより長く先端を向いて、耳状の突起となっています。シダ全体の様子が飛行機の翼が編隊を組んでいるようにみえるところがフモトシダの特徴で、同定のポイントにしています。

(↑上の写真)左=クラマゴケ(鞍馬苔)、中=ヤブソテツ(藪蘇鉄)、右=ナガバノヤブソテツ(長葉の藪蘇鉄)

 クラマゴケ(鞍馬苔)は、イワヒバイワヒバ属。Web「ウィキペディア」によると、「日本のほぼ全土の山林の林下、林縁部に普通に生えるが、北海道や沖縄では稀である。朝鮮以南の東アジアから東南アジアにかけても分布し、地域的な変異も知られている。近縁種に姿のよく似た種が多く、クラマゴケという名称はそれらの総称としても使われる。和名は、京都の鞍馬山に由来する」という(引用翻案)。クラマゴケは苔の仲間ではなく、常緑のシダの仲間だそうです。形態的特徴は、上掲写真から、紐のような茎から分枝した茎には、狭い葉(背葉)が二列に蜜に並んでいます。茎の側面には、やや幅広い卵形の葉(腹葉)が左右交互(互生)に広がってついています。この葉の様子が特徴的です。

(↑上の写真)左=ミツデウラボシ(三手裏星)、中=ゲジゲジシダ(蚰蜒歯朶)、右=高幡山から高幡方面を望む

(↑上の写真)左=カンツバキ(寒椿)、中=ノガリヤス(野刈安)、右=カモジグサ(髢草)