野楽力研究所

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御岳渓谷遊歩道(御嶽駅から渓谷上流へ)・・・令和5年10月19日

 爽やかな日和に恵まれ、御嶽駅から左岸を歩き、フィッシング・センターで右岸に渡り、御嶽駅まで木陰の遊歩道を歩きました。ツリフネソウが赤紫の鮮やかな花を下げていました。ミゾソバが花のような蕾をたくさんつけていました。咲いているものは少なかったですが、カメラにおさめました。ススキやヨシが微かに風に揺れ、実をつけた草木が多くなり、背景の紅葉し始めた風景といい、秋を感じるすばらしい遊歩道でし今日の遊歩道の自然の様子です。

(↑上の写真)左=御嶽駅、中=ノギク(カントウヨメナ=関東嫁菜)、右=ミゾソバ(溝蕎麦)

 ミゾソバ(溝蕎麦)はタデ科イヌタデ属。日本全土の原野、道端などの水辺に生える1年草。稲垣栄洋著『身近な雑草のゆかいな生き方』によると「ミゾソバ金平糖のような可愛らしい花を咲かせるが、これはたくさんの花が集まって一つのような花を咲かせる。花を順番に咲かせ長期間花が咲き続けるようにしている。数個の花では目立たないから蕾や咲き終わった花もピンク色で咲いているかのように見せかけて、虫を呼んでいるのである」ということです。そういえばいっぺんに開花している花は見つかりませんね。本当に全部花びらを開くことはないのでしょうか。葉の形は「牛の額」と言われて、納得のいく形をしています。

(↑上の写真)左=ツリフネソウ(釣船草)、中=セイタカアワダチソウ(背高泡立草)、右=イヌタデ(犬蓼)=アカノマンマ(赤の飯)

(↑上の写真)左=ゲンノショウコ(現の証拠)、中=ススキ(芒・薄)、右=ヨシ(葦)(左奥がススキ)

 ヨシ(葦)はイネ科ヨシ属。『APG牧野植物図鑑』によると「世界に広く分布日本各地の沼や川岸に生える多年草」とあります。『ウィキペディア』によると「日本の在来植物で、『日本書紀』に、日本の国の別名を「豊葦原千五百秋(ちいおあき=限りなく長い年月)瑞穂国」とあるように、およそ平安時代までは「アシ」と呼ばれていたようである。『更級日記』においても関東平野の光景を「武蔵野の名花と聞くムラサキも咲いておらず、アシやオギが馬上の人が隠れるほどに生い茂っている」と書かれている。8世紀、日本で律令制が布かれて全国に及び、人名や土地の名前に縁起のよい漢字2字を用いる好字が一般化した。「アシ」についても「悪し」を想起させ縁起が悪いとし、「悪し」の反対の意味の「良し」に変え、「葦原」が「吉原」になるなどし、「ヨシ」となった。このような経緯のため「アシ」「ヨシ」の呼び方の違いは地域により変わるのではなく、新旧の違いによる。現在も標準的な和名としては、ヨシが用いられる。関西地方では、お金を意味する「お足」に通じるため、「アシ」の名前が残されている。ヨシはアレロパシー(他の植物などを抑制する物質)を発生することが報告されている。そのため他の植物が生えない純群落をつくる」ということです。

(↑上の写真)左と中=サラシナショウマ晒菜升麻)、中=花のアップ写真、右=シュウカイドウ(秋海棠)

(↑上の写真)左=フユノハナワラビ(冬花蕨)、中=ノブキ(野蕗)、右=コクサギ(小臭木)

 クサギ(小臭木)はミカン科コクサギ属。『ウィキペディア』によると「本州、四国、九州および朝鮮半島南部、中国大陸中南部・東南部に分布し、低山地の沢沿いややゝ湿った林内に生育する落葉低木。和名コクサギは「小臭木」の意で、枝や葉にシソ科の小低木であるクサギ(臭木)のような臭いがあり、比べて木が小型であることからついた。果実は4個の分果が集まってつき、初め緑色であるが、秋に熟すと淡褐色になってふたつに裂け、乾燥した内果皮がバネのように反転して中から種子を勢いよくはじき出す」とあります。上掲写真で、果実は4個の分果が集まっている様子が分かります。もう少し熟して種子をはじき出す様子を観察したいですね。葉の付き方がコクサギ型葉序で有名ですが、上掲写真では分かりにくいです。

(↑上の写真)左=センニンソウ(仙人草)、中=歩きやすい遊歩道、右=ハクウンボク白雲木

(↑上の写真)左=ヤブマオ(藪苧麻)、中=アカシデ(赤紙垂)、右=セリ(芹)

 セリ(芹)はセリ科セリ属。『APG牧野植物図鑑』によると「日本各地及び千島南部、サハリン、朝鮮半島、台湾、中国、マレー、インド、オーストラリアの温帯から熱帯に分布し、湿地に生える多年草。秋に匍匐枝の節から新苗を出して越冬する」とあります。花が終わると根元から1mほどにもなる匍匐枝を多数伸ばし勢力範囲を広げます。驚くほどです。春に野菜売り場で根の付いた芹の束を買ってきて鉢植えすると、体験できます。この匍匐枝がある限りセリはいくら摘まれても平気だなあと感じます。写真のセリの花は季節外れの気もしますが、今年の天候を考えると返り咲きの花というより花期がずれ込んだものかも知れません。ドクゼリとも考えましたが、葉の形からセリと同定しましたが、どうですか?