野楽力研究所

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東京都薬用植物園・・・令和5年9月6日

 この時季、さすがに訪れる人も少なく、賞でる花も少ないですが、ゆっくり観察することが出来ます。木陰のベンチで森林浴を楽しみながらおしゃべりを楽しまれている人もいました。蚊に刺されないように対策を考えておきましょう。今日の様子です。(駐車場はあります。徒歩の場合、西武拝島線東大和市駅下車、南に3分。)<写真をクリックすると拡大されます。>

(↑上の写真)左=薬用植物園入口、中=ホウセンカ(鳳仙花)、右=ヤマハギ(山萩)

 ホウセンカ(鳳仙花)はツリフネソウ科ツリフネソウ属。Web:熊本大学薬学部によると「全草は筋肉痛や関節痛,筋肉のけいれん,腫れ物などにもちいるほか,化膿性の皮膚炎には煎液で洗い,外傷やヘビによる咬み傷には生のまま外用する。虫刺されには花のチンキを外用する(野山註:チンキとはアルコールに漬けて、濾(こ)した液のこと)根は打撲傷に用いる。いくつかの園芸品種があり,八重咲き,わい性,斑入り,様々な花色のものがある」とのこと、ここでは八重咲。花のチンキを作っておいて虫刺されに使ってみたいですね。

(↑上の写真)左=コウホネ(河骨)、中=ヒメコウホネ(比女河骨)、コガネバナ(黄金花)

(↑上の写真)左=ムクゲ(槿)、中=オミナエシ(女郎花)、右=オオケタデ(大毛蓼)

(↑上の写真・実)左=ノグルミ(野胡桃)、中=キササゲ(木大角豆)、右=オオミサンザシ(大実山査子)

(↑上の写真・実)左=イチビ(莔麻)、中=トサミズキ(土佐水木)、右=ゴンズイ(権萃)

(↑上の写真)左=雑木林、中と右=シラヤマギク(白山菊)

(↑上の写真)左=ヤブラン(藪蘭)、中=ツルボ(蔓穂)、右=キツネノマゴ(狐の孫)

 キツネノマゴ(狐孫)は、キツネノマゴ科キツネノマゴ属。本州以南の草地や道端に普通に生える1年草。よく見ると可愛い花をぱらぱらと咲かせています。花穂全体が一斉に花咲くということがないようですが、秋になるともう少し増えるようです。可愛い花は脣(くちびる)が2つあるような2唇形の花です。どこが狐の孫か?と考えさせられますが、もう少し花穂が長く太くなってみると狐の孫の可愛い尻尾にそっくりになります。沖縄にはキツネノヒマゴ(狐曾孫)といわれる変種があるそうです。

(↑上の写真)いずれもニチニチソウ日々草

 ニチニチソウ日々草)はキョウチクトウ科ニチニチソウ属。マダカスカル原産で天明元年(1781年)渡来し栽培される1年草ということです。日本大百科全書によるとマダガスカル、ジャワ、ブラジルなど熱帯地方原産で亜熱帯や熱帯地方では半低木性多年草ですが、日本では耐寒性がなく、春播き一年草として扱う、ということです。ここ薬草園で栽培されているのは、説明板によると、日々草の成分アルカロイド白血病抗がん剤の製造原料になるからということです。Web:熊本大学薬学部によると「胃潰瘍,消化不良,便秘などに葉をすり潰して水を加えて服用するという用法があるが,毒性が強いために民間での使用は危険である。含有アルカロイドのビンブラスチン,ビンクリスチンは,抗癌,抗腫瘍薬として応用されているが,量が多いと嘔吐,白血球減少,脱毛などの副作用が出る」ということです。花は綺麗ですが随分毒性は強いようです。

(↑上の写真)左=オオハンゲ(大半夏)、中=ノシラン(熨斗蘭)、右=ヒロハノレンリソウ(広葉連理草)

 ヒロハノレンリソウ(広葉連理草)はマメ科レンリソウ属。「APG牧野植物図鑑」によると「明治初期(1870年代)に日本に渡来したヨーロッパ原産の蔓状の多年草。2枚の小葉をもつ葉の先端が巻きひげになって他物に巻き付く。葉柄と茎に翼をもっていることが特徴。和名は、もともとのレンリソウ(連理草)は小葉が対生して連なっていることでレンリ(連理)と名づけられた。それに対してヒロハノレンリソウは、小葉は連なってはいないが、草姿が似ており、小葉の幅が広いので広葉連理草と名づけられた」ということです。Web「四季の山野草」によると「実は、エンドウ と比べ細長い。レンリソウ属の植物は、神経毒性を持つので、食べることはできない」とのこと。花は綺麗ですが、マメには毒があるようです。(参照についてはいずれも翻案引用しています。)

(↑上の写真)左と中=タヌキマメ(狸豆)、右=マルバハッカ(丸葉薄荷)

 タヌキマメ(狸豆)はマメ科タヌキマメ属。APG牧野植物図鑑によると「本州、四国、九州、琉球列島、および朝鮮半島、中国、マレー、インドの暖帯から熱帯に広く分布し、各地の原野などの日当たりのよい草地に生える1年草」ということです。牧野富太郎植物記2野の花2によると「根には他のマメの仲間と同じく根粒バクテリアがすんでいて共生している。タヌキマメという名はマメの鞘を覆っている毛をタヌキの毛に見立てたものか、花を正面から見た姿がタヌキの顔に似ているためと思われる」とあります。一目見た時に、タヌキの毛にそっくりと思いました。「花を正面から見た姿がタヌキの顔に似ている」とうのは相当眼力が無いといけないようです。

<↓以下、温室にて>

(↑上の写真)左=温室内の様子、中=オオハナアリアケ、右=クロサンドラ

(↑上の写真)いずれもイランイランノキ、左と中=花、右=樹姿