野楽力研究所

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入笠すずらん山野草公園・・令和5年5月28日

 入笠湿原を観察してから、入笠すずらん山野草公園を訪れました。ここは標高1780mの高原です。スズランは蕾で、まだ早春の雰囲気でした。この時季、珍しいイチヨウランと釜無ホテイアツモリソウ、それにヤマシャクヤクが満開でした。広々とした高原の真正面に八ヶ岳が迫力ある姿を見せています。今日の様子です。

(↑上の写真)左=恋人の聖地の展望台の先に八ヶ岳の山並み、中と右=釜無ホテイアツモリソウ(釜無布袋敦盛草)

 釜無ホテイアツモリソウ(釜無布袋敦盛草)は、ラン科アツモリソウ属の変種で釜無山系に自生しているもの。アツモリソウは平敦盛の母衣に見立てたものですが、ホテイアツモリソウとは花のふくらんだ姿を布袋(ほてい)の腹に見立てたものと言われています。それ等のいわれから釜無ホテイアツモリソウといわれています。アツモリソウに比べて花の紅色が濃く、ふくらみも大きいところが区別点です。敦盛の母衣が戦場で風を孕み、大きく膨らんでいるところは、敦盛の勇壮な姿を彷彿とさせますね。勿論、クマガイソウいわれの年輩の熊谷直実よりは若かったですが。

(↑上の写真)いずれもヤマシャクヤク(山芍薬

 ヤマシャクヤク(山芍薬)はボタン科ボタン属。APG牧野植物図鑑によると「関東地方以西、四国、九州、及び朝鮮半島の温帯に分布し、山地の樹の下に生える多年草。全体にシャクヤクより小形。普通3枚の有柄の葉があり、下部は2回3出、上部は3出か単葉。葉裏は白色。花は晩春、萼片は3枚、花弁は5~7枚。」とあります。花はシャクヤクより一回り小さく可憐ですぐ花が咲き終わるその儚さが茶人に茶花として好まれるようです。写真のように白い清楚な花姿は、見る人の心を和らげほっとさせてくれます。左の写真の花は開きすぎています。中の写真の花の開く具合は恥じらいが感じられますね。どうですか。

(↑上の写真)左と中=イチヨウラン(一葉蘭)、右=マイヅルソウ舞鶴草)

(↑上の写真)左=フモトスミレ(麓菫)、中=ズダヤクシュ(喘息薬種)蕾、右=ミツバツチグリ(三葉土栗)

(↑上の写真)左=ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)、中=アマドコロ(甘野老)、右=ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草)蕾

(↑上の写真)左=サンリンソウ(三輪草)、中と右=ツバメオモト(燕万年青)

 ツバメオモト(燕万年青)はユリ科ツバメオモト属。APG牧野植物図鑑によると「近畿以北、北海道及び千島、サハリン、朝鮮半島。東シベリア、中国に分布し、針葉樹林帯の木陰に生える多年草」とあります。吉野光子共著「花のハイキング」高原篇によると「亜高山帯の針葉樹林下などに生える。葉は根出葉のみ、花茎は20~30㎝。花後に花茎と花柄は伸長し、濃藍色の液果をつける。名のツバメオモトは葉からの連想であろうが、ツバメの意味は不明。液果の色が燕の頭の色に似ているからともいう」とあります。葉はオモト(万年青)に似ていますが、液果が燕の頭に似ているからという人もいます。どうでしょうか。

(↑上の写真)左=フデリンドウ(筆竜胆)、サクラソウ(桜草)、スズラン畑と八ヶ岳眺望