野楽力研究所

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入笠湿原・・・令和5年5月28日

 南アルプス北端に位置する入笠山の入笠湿原に遅れて訪れた春の様子を自然観察に出かけました。山麓駅(標高1050m)からゴンドラに乗り標高1780mの山頂駅へ。そこからスズラン自生地の木道を下り、湿原(標高1734m)を一周しました。スズランは一輪、僅かに咲きはじめました。自生地は一面つぼみで、開花はこれからです。ミズバショウはたくさんありましたが、花は終わり、僅かに一輪残っているものを写すことが出来ました。花の盛りはまだですが、日和に恵まれた今日の湿原の様子です。(写真をクリックすると拡大されます。)

(↑上の写真)左=ゴンドラから八ヶ岳を一望、中=山頂駅を降りるとマウンテンバイクの出発点になっているので愛好者がたくさん訪れています、右=タチツボスミレ(立壺菫)

(↑上の写真)左=ミツバツチグリ(三葉土栗)、中=ウマノアシガタ(馬脚形)、右=湿原全景

(↑上の写真)左=湿原解説板、中=クリンソウ九輪草)、右=一輪残っていたミズバショウ水芭蕉

(↑上の写真)左=ミヤマバイケイソウ(深山梅蕙草)(まだ葉のみ)、中=サンリンソウ(三輪草)、右=ムラサキケマン(紫華鬘)

 サンリンソウ(三輪草)はキンポウゲ科イチリンソウ属。APG牧野植物図鑑によると「中部地方以北、北海道および朝鮮半島中国東北部、台湾の温帯に分布。山地の樹陰などに生える多年草。総苞葉は3枚が輪生する。花は夏に咲き、径1.5cm。和名は、1本の茎に3個の花をつけるという意」とあります。二輪草に似ているので三輪咲いてないと区別がつきにくいですが、茎から出ている3枚の輪生している総苞葉が、ニリンソウは葉柄を持たずに茎から直接葉が出ますが、サンリンソウは写真を拡大してみると分かりますが、総苞葉に葉柄があります。葉柄があるか、無いかが区別点です。

(↑上の写真)左=クリンユキフデ(九輪雪筆)、中=スギナ(杉菜)が葉を広げる前の様子、右=シロバナヘビイチゴ(白花蛇苺)

 クリンユキフデ(九輪雪筆)は、タデ科イブキトラノオ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版Ⅱによると「本州から九州、および済州島、中国、東ヒマラヤの温帯に分布。深山の樹林下に生える多年草」とあります。目立たない草花ですが、和名がとてもいいです。葉が茎に互生して層状につく様子を九輪とし、白い細かな花を雪筆と表現しています。和名のつけ方としては最優秀と思います。下の方の葉は短柄がありますが、上部になると柄はなくなり、茎を抱くようになります。

(↑上の写真)左=ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)、中=チゴユリ(稚児百合)、右=(ニホン)スズラン(鈴蘭)

(↑上の写真)左=ズミ(酸実)(蕾)、中=湿原より山彦山荘を遠望し、逆を向いてスズラン自生地を遠望(右)。