野楽力研究所

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都立桜が丘公園・・・令和4年12月19日

 ここ桜が丘には明治天皇が明治10年代に数度お出でになられたことを記念して昭和5年に建てられた記念館(旧多摩聖蹟記念館)があります。京王線の駅名は聖蹟がついた「聖蹟桜ヶ丘駅」となっています。霜柱が立ち、冬の気配の漂いはじめた桜が丘公園です。今日は月曜日でもあり、ほとんど来園者はないことを見越して訪ねたのですが、野鳥観察の方がたくさんお見えでした。偶然ですが、シモバシラの霜柱を観察することができました。高尾山に登らなくても、ここで立派なシモバシラの霜柱を観察できます。「山の越」の辺り、午前11時のことです。今日の様子です。

(↑上の写真)左=旧多摩聖蹟記念館(左奥の五角形の建物は五賢堂)、中=もみじが敷き詰められた園路、右=休憩所からの富士山遠望

(↑上の写真)終わりを迎えたもみじ

(↑上の写真)左=サンシュユの実、中=センダンの実、右=ツワブキの花

 センダン栴檀)は、センダン科センダン属の落葉高木。ウィキペディアによると「原産地はヒマラヤ山麓。日本の伊豆半島以西の本州、伊豆諸島、四国、九州、沖縄の他、中国・台湾・朝鮮半島南部の乾燥した熱帯から温帯域に分布する。別名としてアフチ、オオチ、オウチ、アミノキなどがある」とあります。唱歌『夏は来ぬ』の4番「おうち散る川辺の宿の門遠く水鶏(クイナ)声して夕月涼しき夏は来ぬ」の「おうち」はセンダンのことで、「楝」の漢字をあてています。葉は2回奇数羽状複葉の込み入った葉で互生し、花は初夏、淡紫色の5弁の花を多数、円錐状につけます。平成20年7月18日朝日新聞33面の解説によると「ことわざ(栴檀は双葉より芳し)の栴檀はビャクダン科の常緑高木・白檀といわれる。白檀は東南アジア原産で日本には自生していない。心材に芳香がある。大場秀章東大名誉教授によると『中国では白檀を栴檀と呼ぶ。栴檀の言葉はサンスクリット語で香りを表すchandanaが由来。日本は栴檀、白檀の名が並行して使われていた』という。一方、センダン科のセンダンは中国では楝(おうち)と呼ぶ。日本では古来「おうち」と呼ばれ、「あふち」の古語で万葉集枕草子に登場する。だが、寺山宏東大名誉教授によれば「江戸時代頃から栴檀と呼ばれるようになった。」とのこと。また、「団子状の実が多数なる「千団子」から「センダン」とも呼ぶようになったという説もある」ということです。今日の上掲写真は、正に「千団子」ですね。

(↑上の写真)左と中=シモバシラの霜柱、右=シモバシラの花がら

 シモバシラ(霜柱)は、シソ科シモバシラ属。シソ科なので、茎は四角です。冬、茎に霜柱(帯状の氷柱のようなもの)ができることで、特に冬の高尾山では有名。夏の終りの9月頃に純白の花序が葉腋ごとにつきます。その花もきれいです。シモバシラほどではありませんが、霜柱ができるものにセキヤノアキチョウジがあり、条件がよければ、ミズヒキやオカトラノオなどにもできます。霜柱は、草が枯れた後、茎の導管が毛細管現象で水を吸い上げ、それが凍って氷となり導管を破って外に出て見事な霜柱を現出したものです。今日のように晴れの日の夜に放射冷却が厳しい翌朝などはチャンスです。高尾山に行かなくても桜が丘公園で見られたのはラッキ-でした。