野楽力研究所

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都民の森三頭大滝(大滝の路)・ブナの路(野鳥観察小屋手前テラスまで)・・・令和4年8月15日

 大滝の路は整備されていて歩きやすいです。テラスまでは大滝から15分の山道です。ここにはいろいろな山野草が咲いていましたが、ここ数年シカの食害でほとんど鹿の歩けるところにはシダ類、一部のイネ科植物以外の野草がありませんでした。鹿が立ち寄れない大岩の上に咲いているタマガワホトトギスは食害を免れていました。今日の様子です。

(↑上の写真)左=駐車場からの登り口、中=整備されている大滝の路、右=三頭大滝

(↑上の写真・どれもタマガワホトトギス)右=大岩の上のタマガワホトトギス

 タマガワホトトギス(玉川杜鵑草)はユリ科ホトトギス属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「北海道から九州の温帯で、深山や谷沿いの湿ったところに生える多年草。和名は文学的に洒落た語源で黄色を山吹の色に見立て、その山吹で有名な名所、京都山城の井手玉川を借りた」とあります。長くタマガワホトトギスのタマガワは多摩川と思っていましたが、ひねりにひねって京都井出玉川だったんですね。多摩川でなくて残念ですが、この場所で鹿に食べられずに生き残ってほしいと思うところです。山渓:丸山尚敏著「山の花」によるとホトトギスというのは「花や葉に、油点状の汚褐色の模様が出るため(上の写真で花びらの内側に出ています)、これを鳥のホトトギスの胸毛の模様に擬えて付けた名であるという」とあります。

(↑上の写真)左=ツリフネソウ、中=キツリフネ、右=ヤマホタルブクロ

(↑上の写真)左=テラスへの山道、中=モミジガサ、と右=花のアップ写真

 モミジガサ(紅葉笠)はキク科コウモリソウ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「北海道から九州の林下に生える多年草。花は夏。和名は葉がモミジに似て、しかも若葉が傘状をしているのでいう。一名モミジソウ。東北地方ではシトギまたはシドケと呼び、萌え出したばかりの紫色を帯びた若菜を採って食する」とあります。Web「森と水の郷 あきた」によると「山菜シドケとして、独特の香り、ほろ苦み、シャキッとした歯触りで、秋田では人気ナンバーワンの山菜である。だから「山菜の王様」とも言われている。ブナ帯では、沢沿いの湿り気のある肥沃な腐植粘土質の土壌を好んで群生する。半日陰のスギ林などにも生えているが、茎が一様に細い。茎が太い極上品を採るには、やはり人跡稀なブナ林に勝るものはない」とあります。一度、思う存分食したいですね。

(↑上の写真)左=ソバナ、中=キツネノボタン、右=コボタンヅル

(↑上の写真)左=タマアジサイ、中=タマアジサイの咲き終わり、右=キバナガンクビソウ  

 タマアジサイ(玉紫陽花)はアジサイアジサイ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「本州の福島県以南から中部地方、四国の山地の谷間に生える落葉小低木」とあります。コアジサイヤマアジサイが咲き終わる頃、タマアジサイが咲きはじめます。タマアジサイの花は、中心に紫色の両性花が咲き、それを萼片4枚の白い装飾花が囲みます。装飾花は虫に花を知らしめるために花を目立たせる役を一生懸命しています。ガクアジサイとともに園芸種アジサイの原種といわれます。プラントハンターでもあったシーボルトが日本の山野から集めようとした植物でした。上の写真のように花が咲き終わり受粉を終えると、もう虫に来てもらわなくてもいいので装飾花の役割は終わります。中の写真は、装飾花が裏側になっています。役割を終えたことをそっと知らせています。

 キバナガンクビソウ(黄花雁首草)はキク科ヤブタバコ属。別名ガンクビソウ。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「本州、四国、九州から琉球列島、さらに台湾、朝鮮半島、中国に分布し、林内に生える多年草。茎は高さ30~150cm、葉とともに軟毛がある。下部の葉には長い柄がある」という。和名は黄色でうつむいた頭花をキセルの雁首にたとえたもの。

(↑上の写真)左=クサコアカソ、中=クサコアカソの花、右=ムカゴイラクサ