野楽力研究所

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日野市立南平丘陵公園・・・令和4年3月30日

 世の中はソメイヨシノが満開と、どこに行っても桜はソメイヨシノが幅を利かせています。少しソメイヨシノに食傷気味のところ、ここに来てヤマザクラの着飾らない清楚な花姿に感銘しました。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=公園入口、中=尾根道、右=展望台からの眺望

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(↑上の写真)どれもヤマザクラ(大和の宮廷人 は桜としてこの花を愛でていたのですね。)

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(↑上の写真)左・中=ニリンソウ、右=タチツボスミレ

 ニリンソウ二輪草)はキンポウゲ科イチリンソウ属。日本各地と中国・ロシアの極東に分布し、落葉広葉樹林の林縁や林床に生え、しばしば群生する多年草。日本では全国の林床地に早春のみ可憐な姿を見せる、春の妖精(スプリング・エフェメラル)と言われる草花を代表する野草です。花びらは無く、花びらのように見えるのは萼片で、通常5枚。花柄(=花茎のようなもの)のもとに無柄の葉のように見える総苞葉が3枚茎を取り巻いている。そこから花柄を通常2本伸ばし、花をつける。2本めの花は少し遅れて咲くが、1本めの花に寄り添うようにみえるので、川中美幸が「二輪草」という歌を「ほうら ごらん 少し遅れて咲く花を いとしく思ってくれますか・・・ 咲いて清らな白い花 生きてゆくのに 下手なふたりが ささやかな夢をかさねる ふたりは二輪草」と歌い上げ、この花を春のスプリング・エフェメラルとしてさらに清らかにしているようです。(各種Web、図鑑参照)

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(↑上の写真)左=ヤマルリソウ、中=ナガバノスミレサイシン、右=ムラサキケマン

 ヤマルリソウ(山瑠璃草)はムラサキ科ルリソウ属。(山渓カラー名鑑「日本の野草」など参照)福島県以西の本州、四国、九州の山地の湿り気のあるところ生える多年草。根元の葉は大きく倒皮針形でロゼット状。茎は数本立ち茎の先に1~1,5cmの淡青紫色の花をつける。茎の先の花(総状花序)は、初め先が巻いているが後に、伸びてまっすぐになる。花の色は、初め淡紅色で後に瑠璃色に変る。宮尾登美子著小説「天涯の花」では、「(施設出身で巫女となった)珠子は、花を見るといつも我を忘れるほど見とれ、時には気がつくと人に話し掛けるように花に向かって独り言を呟いている。そういう時、花の方からもたしかな答えがあり、触れるとポロリと区部から落ちるヤマルリソウなどは『痛いよ。ひどいよ。もっと優しくしてよ』と耳元でささやかれているような気がして『ごめんね、ごめんね』などと謝ったりする。珠子は、山小屋(経営)の青年典夫との結婚をあきらめ、新幹線で剣山に向かっている卓郎を待つのであった。(註:天涯の花はキレンゲショウマ)

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(↑上の写真)左=キランソウ、中=カラスノエンドウ、右=タネツケバナ

 キランソウ(金襴草)はシソ科キランソウ属。別名は地獄の釜の蓋。「昔、土葬して土をもった土饅頭によくキランソウが生え、その様子が、死者が蘇らないように土饅頭を抑えているように見えるというので地獄の釜の蓋と言われるようになった」という説があります。春のお彼岸の頃、墓参りに行くとこの草が生えているので印象深いです。日当たりのよい乾燥気味のところがお気に入りのようです。Web「季節の花300」によるとキランソウの「キ」は紫の古語で「らん」は、藍色の意味で、花の色から名づけられたということで、「金襴」と書くのは当て字か、草むらに咲きひろがる様子が、金襴の織物の切れはし=裂地(きれじ)のように見えるところから、という説もあります。それでも金襴(キンラン)の織物の切れはしのことをキランというのでしょうか。