野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

神奈川県立東高根森林公園・・・令和3年10月28日

 ツワブキ(石蕗)が、新しい花の少ないこの時季に、あちこちで黄色い見事な花を咲かせていました。シロヨメナも見事でした。カシワバハグマやコウヤボウキの花も咲いています。今日の様子です。

f:id:noyama_ko:20211028185121j:plain
f:id:noyama_ko:20211028185316j:plain
f:id:noyama_ko:20211028185332j:plain

(↑上の写真)左=パークセンター、中=ツワブキ、右=シロヨメナ

 ツワブキ(石蕗)はキク科ツワブキ属。本州、四国、九州に自生し、海岸付近に生える多年草。(澤田ふじ子著「天涯の花」より)<尾張徳川家の京屋敷の雨森平蔵の口利きで新しい長屋に住むことになった>かれ(未生流の山村内蔵助)は石蕗の花に向かい、なんとなく手を合わせた。花は自分の志であり、石蕗は亡妻蕗の霊ではないかと思われてきたからだ。蕗と石蕗の名の相似性がそう考えさせるのだろう。日陰をえらんで咲くこの花の寂しさが、どこか蕗の面影を連想させる。<複雑な家庭環境に育った山村内蔵助が苦難の先に自分の生きる道を花に見つけて未生斎広甫の弟子となり、未生斎一甫を名乗って未生流を究めるべく旅先で斃れるという運命に翻弄される人生を歩んだ人の話でしたね。>

f:id:noyama_ko:20211028185520j:plain
f:id:noyama_ko:20211028185536j:plain
f:id:noyama_ko:20211028185611j:plain

(↑上の写真)左=カシワバハグマ、中=コウヤボウキ、右=シュウメイギク

f:id:noyama_ko:20211028185816j:plain
f:id:noyama_ko:20211028185854j:plain
f:id:noyama_ko:20211028185938j:plain

(↑上の写真)左=セキヤノアキチョウジ、中=トネアザミ、右=四阿風景

 セキヤノアキチョウジ(関屋秋丁字)シソ科ヤマハッカ属。日本全国の山野に生える多年草。アキチョウジは花冠が高坏形で筒部は細く、横から見ると丁の字に似ていて、丁字形(牧野植物図鑑では「丁子形」、ウィキペディアでは「丁字形」)の花を秋に開くの意味ということですが、セキヤは、地名らしいですが場所は不明ということです。

f:id:noyama_ko:20211029084824j:plain
f:id:noyama_ko:20211029084851j:plain
f:id:noyama_ko:20211029085000j:plain

(↑上の写真)紅葉3題 左=カツラ、中=コマユミ、右=ハクモクレン 

 カツラ(桂)はカツラ科カツラ属。日本各地の山地に生える水辺を好む落葉大高木。白亜紀の生き残りと言われ、中国四川省と日本で生き残ったそうです。春咲く花は、花とも言えない原始的な裸花といわれる花で、花びらや萼のない雌雄異株。葉は対生ですが、互生、3輪生のものもあるようです。黄葉した葉は、磯辺焼の醤油に香りがし、抹香の原料にもなるようです。この季節、公園に磯辺焼の香りが漂っていたら、黄葉したカツラの木があるはずです。なお、中国では、カツラ(桂)はモクセイのことのようです。コマユミ(小真弓)はニシキギニシキギ属。各地の山野に生える落葉低木。ニシキギによく似ていて、分布、生育地とも同じ。枝にコルク質の翼を持たないことが唯一の区別点です。

f:id:noyama_ko:20211029085421j:plain
f:id:noyama_ko:20211029085540j:plain
f:id:noyama_ko:20211029085631j:plain

(↑上の写真)左=ムラサキシキブ、中=ヤブミョウガ、右=イヌビユ

f:id:noyama_ko:20211029085914j:plain
f:id:noyama_ko:20211029085949j:plain
f:id:noyama_ko:20211029090030j:plain

(↑上の写真)左=セイタカアワダチソウ、中=アセビ、右=キブシ

 セイタカアワダチソウ(背高泡立草)はキク科アキノキリンソウ属。北アメリカ原産で明治30年頃に渡来した帰化植物。各地の土堤や荒地に生える多年草で、第2次大戦後頃から急に多くなった。長い根茎があり群落をつくるが同一場所には長続きしない。花は秋、虫媒花であり、花粉はほとんど放出しないことが分かり、花粉症の原因植物ではないことになりました。和名は丈の高いアワダチソウの意。アワダチソウ(泡立草)はアキノキリンソウの別名。(古川真人著「背高泡立草」より)(芥川賞受賞の言葉)「どうにもじれったく、気づけば起き上がって声のする方へ歩いていけば、納屋に辿り着いていた。話していたのは草たちだった。」に象徴されるように実家の空き家の草刈りをする親戚の者たちが、戦前戦後の生活の関わり合いを織りまぜた話でしたね。「主人公達の帰る車の中で草刈りの写真を携帯で見ながら、会話が弾む。 『今日刈った草、何種類くらいあったかな』って美穂は『ドクダミ』『虎杖(イタドリ)』『背高泡立草(セイタカワダチソウ)」はサイトで表示させると、背高泡立草の学名は『ソリダゴ・カナデンシス(ソリダコ・アルティシマ)』この長い学名はどこの言葉で、どういった意味があるのだろうか。殊に、二つあるらしいその名前のどちらにも付いているソリダコには、何の意味があるのか、奈美(娘)は検索しようとしたが、止めて携帯電話を仕舞うと目を閉じた。その間にも美穂(母)は草の名前を挙げていく。『菅(すげ)』『葛(くず)』、島の者がそれぞれ『ギシギシにガネブって呼びよる』蓚(スイバ)と蝦蔓(エビヅル)が葛の葉の間からわずかに顔をのぞかせる。」<母を中心に草との戯れを愉しむ場面でしたね。因みにソリダゴ・カナデンシスというのは学名Solidago canadensisのことでカナダアキノキリンソウのこと。北アメリカ原産の背高泡立草に近縁の植物で観賞用として注目され、様々な園芸品種が作出されているそうです。ソリダゴとは属名で、ソリダゴ・セロティナ(オオアワダチソウ)やソリダゴ・カナデンシス(アキノキリンソウ)など、属全体を指すため花店ではアキノキリンソウ・オオアワダチソウの名でも出回っているそうです。>