野楽力研究所

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多摩地区街中自然観察・・・令和3年5月3日

 コロナ禍で出かけることが遠慮されるこの頃です。巣ごもりの中、ちょっとご近所の自然を観察してみました。どんな草花が観察されるでしょうか。外来種が多いので和名はいろいろつけられているようです。今日の自然の様子です。

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(↑上の写真)左=畑も残る街中、中=ヒルガオ、右=コヒルガオ

 ヒルガオ(昼顔)はヒルガオ科。『牧野植物図鑑』によると「日本各地、朝鮮、中国に分布し、野原や道端に普通に見られる多年草。地中を横走する白色の地下茎から長い蔓性の茎を出して捲きつく」ということです。コヒルガオと似ています。ヒルガオ、コヒルガオは花の大小だけでは、育ちによるので見分けられないことがあります。区別点は葉の耳の形(正式には葉脚と言うそうです)の違いです。ヒルガオは写真のように葉の耳が三角形、従って尖りが一つですが、コヒルガオの葉の耳は、尖りが2つになっています。上の写真を参考に、これからの花ですから、実物をご覧ください。

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(↑上の写真)左=ユウゲショウ、中=ヒルザキツキミソウ、右=ナガミヒナゲシ

 ユウゲショウ(夕化粧)はアカバナ科マツヨイグサ属。『日本帰化植物写真図鑑』によると、「熱帯アメリカ原産でヨーロッパやアジアで野生化している多年生草本で夏から秋にかけて茎の上部に花を咲かる。明治年間に花卉として輸入され、関東以西で逸出、野生化している」ということです。和名の由来は、午後遅くに紅色の艶っぽい花をあたかも夕化粧をしているかのように咲かせることからといわれますが、実際には昼間でも開花していますね。艶っぽく見えるでしょうか。

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(↑上の写真)左=ツルニチニチソウ、中=コマツヨイグサ、右=ムラサキツユクサ

  コマツヨイグサ(小待宵草)はアカバナ科 マツヨイグサ属。『日本帰化植物写真図鑑』によると、北アメリカ原産で、アフリカやアジアに広く帰化している越年生草本で、茎は斜上または匍匐して基部から能く分岐し、屡々上の写真のようにマット状に広がるということです。マツヨイグサがまだ花の時季を迎えない前に月見草(=待宵草)と同じような花を開くので、ちょうど菜の花に代わって月を愛でている感じでしょうか。

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(↑上の写真)左=ムラサキカタバミ、中=イモカタバミ、右=シロカタバミ

 ムラサキカタバミ(紫片喰)はカタバミ科カタバミ属。南アメリカ原産で江戸時代末期に観賞用として導入されて以降、日本に広く帰化環境省により要注意外来生物に指定されています。しかし、赤紫の花色が淡く、清楚な感じがしますが、夏場に橙色のサビ病が多発し、それが毎年同じところで発生し、現在、随分数を減らしています。種子を作らず木子(きご)といわれる母球の周りの小さな球根でふえるので株を取り除くと消滅してしまいます。代わって南アメリカ原産で戦後帰化したモカタバミ(芋片喰)が急速に数を増やし、多摩地区ではムラサキカタバミを圧倒しています。花弁の色が鮮やかな赤色で、中心部はさらに濃い赤色になっているので見分けられます。根が芋の数珠のようになっているので名づけられたそうです。シロカタバミ(白片喰)は別名シロバナイモカタバミといわれ、イモカタバミの白花をいうそうです。

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(↑上の写真)左(緑葉)と中(赤葉)=同種のカタバミ、右=タチカタバミ

 カタバミ(片喰、牧野富太郎傍食を用いる)は、カタバミ科カタバミ属。世界の暖帯から熱帯に広く分布し、日本各地の道端に生える多年草。多田多恵子著『したたかな植物たち』によると「葉が緑のものをカタバミ、葉が赤みがかるものをアカカタバミ、中間色のものをウスアカカタバミと呼び分けることもあるが、同じ種類の中での個体差である。花は朝開き、午後には閉じるが、午前中に活動するハチに合わせて花を開き、ハチが活動しない時や雨の日は花を閉じて花粉の流出を防いでいる。3つの小葉を合わせた葉元に水分量で葉の開閉をする組織があり、葉も夜には閉じて、夜間に放射冷却で葉の温度が下がるのを防ぎ、また、日中でも光が強く葉の温度が上昇しすぎる時には、葉を閉じて温度を下げるようにしている」ということです。足元の何気ない植物ですが、なかなか賢い生活をしているんですね。

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(↑上の写真)左=ペラペラヨメナ、中=ツタバウンラン、右=コモチマンネングサ

 ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜)はキク科。『日本日本帰化植物写真図鑑』によると、「中央アメリカ原産で、主に花卉として栽培される多年生草本。茎は基部で分岐して、斜上または、匍匐して長さ50cmほどになる。下部の葉は柄があって3~5裂し、上部の葉は全縁で無柄、互生する。観賞用に導入されたが昭和24年に京都市で野生化が知られ、その後、関東以西に広まった」といいます。茎の下の方の葉には、菊のような切れ込みのある葉がありますが、上部花近くの葉は、写真のようにすっとした細い葉(披針形)をつけています。種子が飛ばされてあちこちで芽生えるので、街中でも大分増えています。親株はどこにあったのかを調べてみるのも楽しいです。名前が何とも妙です。

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(↑上の写真)左=ハコベ、中=ウシハコベ、右=アメリカフウロ

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(↑上の写真)左=キショウブ、中=シラン、右=チガヤ

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(↑上の写真)左=ナズナ、中=コグンバイナズナ、右=ノボロギク

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(↑上の写真)左=ハルジオン、中=ヒメジョオン、右=カラスノエンドウ

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(↑上の写真)左=キュウリグサ、中=セリバヒエンソウ、右=ヤブジラミ

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(↑上の写真)左=モッコウバラ(白)、中=モッコウバラ(淡黄)、右=ノイバラ

 モッコウバラ(木香薔薇)はバラ科バラ属。『牧野植物図鑑』によると「中国原産の蔓状によじのぼる低木。享保年間(1720頃)に渡来し、現在ではしばしば庭などに植えられる。5月ごろ枝の先端に散房花序の花をつけ、盛んに淡黄色または、白色の八重咲の花を開く。白色のものは芳香を放ち、黄花のものは匂わない」とあります。湯浅浩史文『花おりおり』には「大勢の人が薔薇を愛してやまない。だが棘がある。薔薇愛好家の手を見て栽培をためらう向きに、この種類をどうぞ。棘がない。花は小ぶりの八重。淡い色調が上品だ」と奨めています。因みに秋篠宮眞子さまのお印は淡黄色の方の木香薔薇だそうです。

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(↑上の写真)左=ハクチョウゲ、中=コデマリ、右=カナメモチ