野楽力研究所

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都立七生公園(程久保地区→南平地区)・令和3年4月30日

 昨夜の雨から打って変わって青空が広がり、太陽が眩しく感じられました。春の草花が咲き終わり、初夏の草花が登場します。今日の自然の様子です。

(都立七生公園へは、多摩動物公園駅から西へ徒歩15分で程久保地区の入口。そこからさらに西へ10分で南平地区入口です。往復しました。二つの公園は繋がっておらず独立しています。南平地区にはトイレがありません。)
程久保地区の様子>

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(↑上の写真)左=程久保地区の入口、中=キンラン、右=ギンラン

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(↑上の写真)左=ヘラオモダカ、中=オカタツナミソウ、右=アマドコロ

 オカタツナミソウ(丘立浪草)はシソ科タツナミソウ属。「APG牧野植物図鑑」によると「本州と四国の丘陵地の木陰に生える多年草」という。これから咲く花穂を伸ばすタツナミソウとは花のつき方がちがい、茎頂にかたまって写真のように紫色の唇形花をつける可愛らしい草花です。

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(↑上の写真)左=フタリシズカ、中=ムラサキサギゴケ、右=ジシバリ

 フタリシズカ二人静)はセンリョウ科チャラン属。「APG牧野植物図鑑」によると「日本各地および中国の温帯から暖帯に分布。山地や林野に生える多年草。茎は分枝せず節がある。高さ30~60㎝。葉は対生し輪生状ではない」という。夏目漱石著『虞美人草』より(宗近家の父と息子一(はじめ)の会話)「一(はじめ)、あの花を見たことがあるかい。あの床に挿してある」蜆子(けんす)和尚一筆(ひとふで)に描いた軸を閑静に掛けて、前に青銅の古瓶を据える。鶴ほどに長い頸の中から、すいと出る二茎に、十字と四方に囲う葉を境に、数珠に貫く露の珠(たま)が二穂ずつ偶(つい)を作って咲いている。「これが例の二人静だ」「覚えておくがいい。おもしろい花だ。白い穂がきっと二本ずつ出る。だから二人静謡曲に静の霊が二人して舞うということがある。」「二人静。ハハハおもしろい花だ」・・・一の結婚話の折に。夏目漱石二人静を愛でたことがあるんですね。

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(↑上の写真)左=タビラコ、中=オニタビラコ、右=ヘビイチゴ

 タビラコ(キク科ヤブタビラコ属)とオニタビラコ(キク科オニタビラコ属)はよく似ていて大きい、小さいくらいの印象しかありませんが、オニタビラコも小さい時があるので、区別点をはっきりさせておくと、これからの観察で、区別がつきすっきりすると思います。花茎ですが、オニタビラコは丈夫に赤くすっと伸びていて茎頂に花をつけています。対してタビラコは、花径は弱々しく青色で倒れ掛かる感じで、すっとは伸びません。さらに葉の先端をそのつもりになって見ると特徴的です。オニタビラコの葉はタンポポの葉のように先端が尖っています。ところが、タビラコの先端は、将棋の駒のような五角形をしています。上の写真、または山野で、よく見て納得してください。この茎と葉の先端の形の区別がつくと育ち方の大小に関係なく、区別がつきます。オニタビラコは生えてる場所によって大きさが極端に違います。タビラコの別名はコオニタビラコ

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(↑上の写真)左=ヤマトウバナ、中=ヤブジラミ、右=ヤマボウシ

 ヤマボウシ(山法師)はミズキ科サンシュユ属。『APG牧野植物図鑑』によると「本州、四国、九州及び朝鮮半島の温帯に分布。山野に普通に見られる落葉高木。高さ3~8m。葉は対生し5~10cmの長卵形。縁がやや波打つ。花は初夏に咲き、4枚の白い総苞が花弁のように見えるが、その中に小花が20~30個球状に集まる。集合果は秋に熟して食べられる。和名山法師は、蕾の集合を坊主頭に、総苞を頭巾に見立てたと思われる」ということです。4枚の花びらのように見えるものは、花を保護するための総苞が変化したものだったんですね。ウィキペディアによると「本来山の谷筋などに自生する樹木であるので、水はけのよい常に水が存在する場所を好む。夏に乾燥すると葉の回りが枯れたり、小枝やひどい場合は全体が枯れたりするので、乾燥させないことが必要である。花・果実・紅葉と3回楽しめる」ということで、これからの季節に花びらのような総苞が日に日に大きくなって白く鮮やかになるのが楽しみです。

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(↑上の写真)左=イヌワラビ、中=リョウメンシダ、右=園路

<南平地区の様子>

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(↑上の写真)左=フジ蔓に塞がれそうな入口、中=ジュウニヒトエ、右=シャガ

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(↑上の写真)左=アマドコロ、中=オカタツナミソウ、右=キンラン(一株のみ)

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(↑上の写真)左=ニョイスミレ、中=ホウチャクソウ、右=キツネノボタン

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(↑上の写真)左=コゴメウツギ、中=すっかり成長したヤブレガサの葉、右=園路

 コゴメウツギ(小米空木)はバラ科スグリウツギ属。『APG牧野植物図鑑』によれば「日本各地及び朝鮮半島と中国に分布し、山地の日当たりのよい所に生える高さ1~1、5mの落葉低木」ということです。花は花径5mm前後の小さなもので、長い5枚の花弁と短い5枚の萼片から形成されています。花弁は白い萼片の間にすらっと伸びた丸いへらのような形のものです。花弁はすぐ散ってしまうので、残りの白い萼片を花弁と見間違えて見ている場合が多いです。小米とは米粒のくだけたものをいうそうで、小さくて白いことの形容です。Web:樹木図鑑によると「名前はウツギではあるが空木ではない。芯には淡褐色の髄が詰まっている」とのこと。

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(↑上の写真)左=ニガナ、中=ムラサキサギゴケ、右=セリバヒエンソウ

 セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草)はキンポウゲ科ヒエンソウ属。『日本帰化植物写真図鑑』によれば「中国原産の越年生草本。明治時代に渡来し、東京駒場旧帝大農学部跡に多く見られたという記録があり、現在も東京周辺に多く、郊外の草地や林間の陽地に生える」ということです。まだ全国的には広がっていないので、普通の植物図鑑には載っていません。最近急速に分布を広げているので、帰化植物ですから、要注意です。花の姿が、燕が雨の中を低空飛行しているようなきれいな姿に似ていることから命名されたのではないでしょうか。ヒエンソウとは草姿が全く違います。