ここは里山としての手入れや萌芽更新が行われていますので、爽やかな新緑が輝いています。コバノガマズミがたくさんあり、今は花盛り。クロモジは目立ちませんが、葉裏に隠れて、群がっているのにひっそり静かに咲いています。クロモジの香りのような存在でしょうか。午前中薄日も漏れ、風もなく、人とも会わず、無接触、無会話でのんびり観察できました。
(↑上の写真)左=園内の風景、中=ヤマツツジ、右=クロモジ
(↑上の写真)左と中=コバノガマズミ、右=ハナイカダ(雄木=雄花の蕾:間もなく開花)
コバノガマズミ(小葉莢蒾)はスイカヅラ科➝APG新分類ではレンプクソウ科カマズミ属。ガマズミの葉が掌のような感じの広い葉であるのに比してコバノガマズミは葉が細く小さいので小葉莢蒾。ガマズミの語源の定説はないようですが、Web「あきた森づくり活動」には、マタギが獲物を追い掛けて山を歩き、疲れた時、この木の実を食べて疲労回復したというので「神様が与えてくれたありがたい実」というので「神っ実」と言われていたのがカミツミ➝カミズミ➝ガマズミに転訛したという説が出ています。どうでしょうか。写真のように白い可愛い散房花序の花をつけるので尾根筋から見下ろすと雪を被ったようです。シモツケの花を載せたようだと言った方が適切かもしれません。
(↑上の写真)左=タマノカンアオイ、中=ニリンソウ、右=ムサシアブミ
タマノカンアオイ(多摩ノ寒葵)ウマノスズクサ科カンアオイ属。牧野植物図鑑では関東地方多摩川付近の丘陵に特産する多年生草本と紹介されています。カンアオイ類は10m四方に広がるには1万年かかり10km四方広がるには1000万年かかるということですからカンアオイがあるというだけで相当古い土地ということになります。また、カンアオイはキノコバエの仲間が花粉を送粉している虫媒花であることが昭和63年に都立大の菅原敬先生によって報告されています。カンアオイ類は日本には50種以上あるそうですが、送粉主がはっきりしているのはタマノカンアオイだけだそうです。(虫媒花に関しては、朝日新聞:令和2年2月13日夕刊による)
(↑上の写真)左=ニョイスミレ(ツボスミレ)、中=タチツボスミレ、右=ケマルバスミレ
(↑上の写真)左=シャガ、中=カキドオシ、右=イチリンソウ
イチリンソウ(一輪草)はキンポウゲ科イチリンソウ属。山渓「日本の野草」によると落葉広葉樹林の中などに生える多年草で、花弁のように見えるのは萼片とのこと。従って花びらの裏に花を支えるもの=萼片がありません。小葉が羽状に深裂した独特の茎葉が花茎の基部に3個輪生しているのでアズマイチゲなどとは区別がつきます。ニリンソウよりも大きな花(径3cmほど)なので目立ちます。ここでは3株咲いていましたが、笹などに囲まれ距離もあってうまくピントが合いませんでした。没にするにはもったいないので、この公園に咲いていた証拠として載せました。
(↑上の写真:若葉三選)左=アセビ、中=アラカシ、右=ハリギリ