八王子市の多摩川右岸にある滝山城跡を公園にしたものです。戦国時代の山城の土塁が残っています。その上や裾が径になっていて、起伏があり、自然も豊かです。今日はちょうどヤマザクラが柔らかな風にのってはらはらと散る足下にミツバツチグリの黄色い花やフデリンドウの淡い青色の花が咲いているという長閑な里山の風景が広がっていました。
(↑上の写真)左=ウマノアシガタ(キンポウゲ)、中=ジュウニヒトエ、右=ニリンソウ
ジュウニヒトエ(十二単)は、シソ科キランソウ属。シソ科なのでシソと同じような花を咲かせています。ジュウニヒトエについては、名前の由来の本に載っていなかったり、野草の解説書にも大した解説をしていなかったり、飛ばしてしまっている本もあります。共通してつれない扱いです。しかし、これを始めて見た時は「これがジュウニヒトエ!」と感動したものです。宮廷の女官が手蜀を両手でそっと捧げ持って、静々と歩みを進めている様子を想像してみると素晴らしい花姿に見えてきます。数本並び咲いているところは、麗しい女官が数人立ち並んでいるようです。また、根もとに広がる葉は十二単の裾が長く伸びた様子と想像するとこの花から王朝絵巻が繰り広げられますね。
(↑上の写真)左= ヤマザクラと若芽が織りなす春の里山、中=チゴユリ、右=ヤブレガサ
(↑上の写真)左=フデリンドウ、中=ミツバツチグリ、右=白色ムラサキケマン
フデリンドウ(筆竜胆)はリンドウ科リンドウ属。日当たりのよい野原や芝生などに生えている可愛らしいリンドウで、東アジアの温帯に広く分布しているそうです。秋咲きのリンドウは多年草ですが、フデリンドウ、ハルリンドウなど春咲くリンドウは、二年草で種子から芽生えて2年目に花をつけ、実を結ぶと枯れてしまいます。花の特徴は、5枚の花弁の間に小さい副片5枚が見えています。リンドウの仲間は夕方には花を閉じてしまいます。また曇りや雨の日など日光が少ない時には花は開かず閉じています。フデリンドウは茎の先に花が集まって咲く様子や蕾の様子が筆のようであることからつけられた名前で、似ているハルリンドウは茎の先に花を一つだけつけ、その茎が数本並立して咲きます。(牧野富太郎植物記2 野の花2 参照翻案)
(↑上の写真)左=スミレ、中=白色タチツボスミレ、右=コスミレ