野楽力研究所

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神奈川県立東高根森林公園・・・令和2年3月23日

 カシの原生林に囲まれた谷戸の湿地帯とそこに接した周囲には、ジロボウエンゴサク、シラユキゲシ、イカリソウヒトリシズカなどが咲いています。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=ジロボウエンゴサク、中=ニセカラクサケマン、右=ムラサキケマン

 ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)はケシ科キケマン属。名前の由来は、Web薬用植物一覧によると1803年小野嵐山著「本草綱目啓蒙」に菫の花を太郎坊にして、この花を次郎坊にして、両方の花の距をひっかけあって遊んだという記述によるとのことです。幸田露伴著「太郎坊」では、菫の描かれている大きい猪口を太郎坊、小さい猪口を次郎坊と呼んで、秘めた楽しみを味わったことが書かれています。

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(↑上の写真)左=イカリソウ、中=トキワイカリソウ、右=ウラシマソウ

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(↑上の写真)左と中=シラユキゲシ(中の写真の目立つ葉はヤマアイ)、右=シャガ

 シャガ(射干)は、アヤメ科アヤメ属。湿った林下に大群をなして生える常緑多年草。きれいな花ですが、不思議なところもあります。中国から日本に入ってきた帰化植物だそうですが、染色体が3倍体のため種子が作れず、株分けなどのクローンで増殖したもの。単葉面(表に見えるのは裏)の植物で、表は裏側になっているそうです。この理屈は平成22年に日本で発見されました。シラユキケシ(白雪罌粟、白雪芥子)はケシ科 エオメコン属。中国東部の山地の樹林内の湿ったところが自生地の多年生草本ということです。数年前までは珍しかったのですが、今年は、あちこちに植えられるようになり、可哀そうな扱いを受けているのもあります。初めて出会ったときは白雪姫かと思いました。白色の花が見事でした。シラユキゲシと書かれたものが多いですが、濁らずにシラユキケシが可愛らしくてよいのではないでしょうか。

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(↑上の写真)左=キランソウ、中=コスミレ、右=ニリンソウ

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(↑上の写真)左と中=ヒトリシズカ(赤褐色の茎と青い茎にもの)、右=バイモ

 ヒトリシズカ(一人静)はセンリョウ科センリョウ(チャラン)属。静御前源頼朝の前で義経を思いながら舞ったというその様子を想像して名付けられたようです。今回、きれいな青い茎のヒトリシズカがありました。Web「みんなの趣味の園芸」によると青軸のものは、ほかの植物の白花に相当するもので、茎や葉が純粋な緑色をしている。各地で発見されているので、いろいろなタイプがある、とのことで、それだったんですね。

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(↑上の写真)左=キブシ、中=ミツマタ、右=ボケ