野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

都立桜ケ丘公園・・・令和2年3月19日

 今日は、ずいぶん暖かくなりました。ここでは特別に山野草を植栽はしていません。ですから、自然の様子がそのまま伝わってきます。フラサバソウや白花オオイヌノフグリなど、他ではちょっと見ない野草が見られました。ここでは白花オオイヌノフグリの方が普通のオオイヌノフグリより多いようです。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=普通のオオイヌノフグリ、中と右=白花オオイヌノフグリ

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(↑上の写真)どれもフラサバソウ

 フラサバソウはオオバコ科(APG新分類、旧分類ではゴマノハグサ科)クワガタソウ属でヨーロッパ原産の越年草。花が小型なので日本のもともとのイヌノフグリかな?と思いましたが、草全体が毛深いので、違いました。幕末から明治にかけて日本に滞在した仏人医師のサバチェ(P.Savatier)が、長崎でこの草を見つけ、友人で植物学者のフランシェ(A.Franchet)に送り、二人連名でこの草をヨーロッパのものと同じと紹介しました。その後、不明だったこの草を明治44年に田代善太郎氏が長崎で採集標本にしたものを戦後国立科学博物館の奥山春季氏が発見し、二人の名を並べてフラサバソウと名づけ、和名としたということです。従って、古い図鑑には記載されていませんね。(ウィキペディア、全国農村教育協会発行「日本帰化植物写真図鑑」参照)

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(↑上の写真)左=シロバナタンポポ、中=タネツケバナ、右=カキドオシ

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(↑上の写真)左=タチツボスミレ、中=ムラサキケマン、右=バイモ(アミガサユリ

 タチツボスミレ(立坪菫)はスミレ科スミレ属の多年草。(川端康成著「古都」~春の花~より)もみじの古木の幹に、すみれの花がひらいたのを、千重子は見つけた。「ああ、今年も咲いた」と、千重子は春のやさしさに出会った。もみじの古木の大きく曲がる少し下のあたり、幹に小さいくぼみが二つあるらしく、そのくぼみそれぞれに、すみれが生えているのだ。そして春ごとに花をつけるのだ。店へ来る客たちは、もみじのみごとさをほめても、それにすみれの花の咲いているのを気がつく人はほとんどない。しかし、蝶は知っている。千重子がすみれの花をみつけた時、白い蝶のむれが、もみじの幹からすみれの花の近くに舞って来た。すみれの花も、もみじの幹の青色のこけに、ほのかな影をうつしていた。花ぐもりぎみの、やわらかい春の日であった。(店の客と千重子とすみれと蝶のそれぞれの微妙な気持ちが表現されているようですね。一部翻案)

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(↑上の写真)左=ヤマザクラ、中=モミジイチゴ、右=コブシ

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(↑上の写真)左=ヒュウガミズキ、中=ウグイスカグラ、右=園内風景

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(↑上の写真)左=この岩の側面に生えていたシダです→→中=コバノヒノキシダ、右=トラノオシダ

 何の気なしに腰を下ろそうと思った岩をふと見ると、5種類のシダが頑張って生えていました。上の二つは、もともと小さいですが、下の三つは、本来、もっと大きくなるものですね。

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(↑上の写真)岩の側面のシダ続き。左=フモトシダ、中=ヤブソテツ、右=ヤマイタチシダ