今日は東日本大震災から9年めを迎えます。被害に遭われ、復興にご尽力されている皆様に、あらためてお見舞い申し上げます。
野川公園の自然観察園では、今年は早めの春の訪れを楽しませてくれています。アズマイチゲやニリンソウが群落で咲いています。スプリング・エフェメラル(春の妖精)といわれるこれらの花は、早春の林床を彩っていますので日陰を好むと思われがちですが、この時期は陽射しが大切です。ここでは十分日射しを浴びていました。長い休眠期間を無事に過ごすには、この時期しっかり栄養を蓄えておく必要があるからでしょう。
(↑上の写真)左=自然観察園入口、中=キブシ、右=サンシュユ
(↑上の写真)左=オドリコソウ、中=ヒメオドリコソウ、右=ホトケノザ、
オドリコソウ(踊子草)、ヒメオドリコソウ(姫踊子草)、ホトケノザ(仏の座)はどれもシソ科ですから、茎が四角です。こんなに柔らかい茎なのに立っていられるのは稜のある形をしているからでしょう。ホトケノザは、春の七草に詠まれているホトケノザは、現在のコオニタビラコ(=タビラコ)のことで、キク科の別種です。仏さまが坐る座布のような葉からホトケノザといわれるようです。路傍でホトケノザが咲き終わるとヒメオドリコソウが取って代わります。オドリコソウは咲き始めなので今は草丈は小さいですが、やがて30cmほどの丈になり、りっぱな踊子草になります。
(↑上の写真)左=コスミレ、中=カキドオシ、右=ムラサキケマン
(↑上の写真)左=アズマイチゲ、中=ニリンソウ、右=ミスミソウ
ニリンソウ(二輪草)=キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。花びらは無く、花びらのように見えるのは、萼片で通常5枚。花柄のもとに無柄の葉のように見えるのは総苞葉で3枚が茎を取り巻いてる。そこから花柄を通常2本伸ばし、花をつける。2本めの花は遅れて咲くが、1本めの花に寄り添うようにみえるので、川中美幸が歌っていた「二輪草」の歌詞には「ほうら ごらん 少し遅れて咲く花を いとしく思ってくれますか・・・ 咲いて清らな白い花 生きてゆくのに 下手なふたりが ささやかな夢をかさねる ふたりは二輪草」とあり、この花を春のスプリング・エフェメラルとしてさらに清らかにしているようです。
(↑上の写真)左=ヒメウズ、中=キジムシロ、右=シュンラン
ヒメウズ(姫烏頭)はキンポウゲ科ヒメウズ属の小草本。足下に地味に咲いているので見逃してしまうことが多いですが、気にかかりはじめるとかなり見えてきます。葉の形がトリカブトに似ていて小さいので(ヒメトリカブトかと思いきや)ヒメウズだそうです。トリカブト(鳥兜)の根茎は乾燥させて生薬とされ、生薬名を烏頭(ウズ)というところから、ヒメウズ(姫烏頭)といわれるようになったそうです。葉がトリカブトに似ているといわれても、そう思ってみれば見えないこともない程度でしょうね。
(↑上の写真)左=レンゲ(ゲンゲ)、中=セントウソウ、右=ウグイスカグラ
レンゲ(蓮華)はマメ科レンゲ属の越年生草本。標準和名はゲンゲ(紫雲英)で、漢名の翹揺の音読みによるとのこと。花の様子がハス(蓮)の花(華)が開いた時の様子に似ているという。ラーメンを食べるときに使うレンゲは、ハス(蓮)の一片の花びらを意味する「散り蓮華」を略したものという。牧野植物図鑑によると、根には根粒バクテリアが共生し空中の窒素を固定して蓄えるので緑肥として好んで田地に植えられたそうです。東アジアから中国が原産で、わが国へは17世紀ごろに渡来し、明治以後になって急速に広まったという。