野楽力研究所

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東京都薬用植物園・・・令和元年10月16日

 キンモクセイが柔らかく香りを漂わせています。ザクロ、サンシュユカラスウリが赤い実を膨らませています。ゴンズイは実を爆ぜていました。秋が深まってきましたね。

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(上の写真)左=入口門、中=キンモクセイ、右=キンモクセイ樹皮

 キンモクセイ金木犀)は、モクセイ科。松田修著「花の文化史」によると「モクセイの名は、漢名木犀の音読みで、この幹の肌が犀の皮に似ているというのでこの名がある。日本に植えられているものは花つきの良い雄木だが、日本の風土によって性転換が行われたものか、たまに実のなる雌木も現れている」ということです。川口謙二著「花と民俗」によると「中国では木犀といえば木犀類の総称で、銀木犀、金木犀、薄黄木犀などが入る。別名は、中国では古くは「桂花(けいか)」と呼ばれた」ということです。桂は、日本ではカツラの木ですが、中国では木犀のことになり、桂林とは木犀の林。桂林の空港をこの時季降り立つと、モクセイの香が空港全体を柔らかく包んでいます。芥川龍之介著「戯作三昧には、客を帰した馬琴が「こっちの手水鉢の側にある芙蓉はもう花が疎らになったが、向こうの袖垣の外に植えた木犀はまだその甘い匂いが衰えない。そこへ例の鳶の声が遥かな青空の向こうから、時々笛を吹くように落ちてきた」と狭い庭の秋の景色に目をやります。東野圭吾著「手紙」では「(盗人に入り)老婦人を殺害して、靴下のまま玄関から外に出た。日はまだ高く、青空が広がっている。金木犀の香りがした。塀の内側を北側に回り、靴を履いた」と犯人剛志の行動を季節の中に描いています。

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(上の写真)左=カワミドリ、中=アイ、右=ハッカ

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(上の写真)左と中=ソバ、右=ヤクシソウ

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(上の写真)左=ホトトギス、中=白花ホトトギス、右=タイワンホトトギス

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(上の写真)左=ザクロ、中=サンシュユ、右=ゴンズイ

 ザクロ(石榴)はザクロ科。戦時中からザクロの実は人肉の味がすると聞かされてきましたが、川口謙二著「花と民俗」には、鬼子母神とザクロの話が載っています。「人々は、人の子を食べる鬼子母神を大変恐れ、仏様に何とかしてほしいとお願いをしていました。彼女には、1万人の子がいましたが、末っ子の嬪加羅を殊の外可愛がっていました。そこで彼女が旅に出た折に、仏様は嬪加羅を隠してしまわれました。帰ってきた鬼子母神は嬪加羅がいなくなったことを嘆き、仏様に愛児の居場所を尋ねて『嬪加羅を返してくれたら、必ず、人々の子供たちの守護神になります』と誓ったので、仏様は嬪加羅を返し『お前がもし人の子が食べたくなったら、代わりにこれを食べなさい』といって彼女にザクロの実を与えました」ということから、ザクロの実は人間の味がするという俗信が出たそうです。

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(上の写真)左=サンショウ、中=フユザンショウ、右=カラスウリ

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(上の写真)左と中=オオモクゲンジ、右=シュウメイギク

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(上の写真)左=オケラ、中=キバナアキギリ、右=シオン

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(上の写真)左=アキチョウジ、中=アキノキリンソウ、右=ノコンギク

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(上の写真)温室にて、左=マユハケオモト、中=ベンケイクサギ、右=ブルージンジャー