野楽力研究所

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都立薬用植物園・・・平成30年12月15日

東大和市駅より南へ徒歩5分。何もないようなこの時季ですが、結構「あ、そうだ」と思うものがあります。訪れる人もほとんどなく、ゆっくり観察できます。しかし、今の時季、お奨めではありません。

 

ギョリュウの黄葉が目立つ園内              サンシュユ

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カリン                             園内雑木林

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サンシュユ(山茱萸)はミズキ科、中国原産。江戸時代に薬用植物として渡来したといわれます。宮崎県民謡「ひえつき節(稗搗節)」=「庭のサンシュウの木 鳴る鈴かけてヨーホイ」のサンシュウはサンショウ(山椒)が訛ったものでこの写真のサンシュユが訛ったものではありません。この民謡に謡われた平家落人の姫君と源氏の若侍の悲恋は、鎌倉時代幕開けの頃ですから、まだサンシュユは中国から渡来していませんね。

カリン(花梨、榠樝)はバラ科カリン属。原産は中国東部で日本への渡来時期は不明とのこと。果実はトリテルペン化合物による芳しい香りを放ち、部屋に置くと部屋じゅうが香りで満たされるので中国では「香木瓜」とも呼ばれるそうです。果肉には果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニンなどが含まれているそうです。家の玄関には「カリン」(借りない)の木を植え「お金は借りません」の意思表示をし、裏門には「カシ」(貸す)の木を植え「お金は貸すほどあります」の意思表示をしたそうです。

 

フユザンショウ                        ギョリュウ

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スギモリケイトウ                       園内雑木林

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フユザンショウ(冬山椒)はミカン科サンショウ属。冬でも葉を落とさないので名づけられたそうです。分布は関東以西、台湾、中国とのこと。 葉柄には翼があり、4-5月頃に葉腋に淡黄緑色の小さな花を咲かせます。 雌雄別株で、日本では雌株しか存在しないそうです。しかし、雌株だけで実をつけ、単為生殖で増えるそうです。葉や実には芳香性が無いので、サンショウのように食用にはならないそうですが、サンショウの接ぎ木の台木としては用いられるとのことです。

ギョリュウ(檉柳、または御柳)は、ギョリュウ科。寛保年間(1741〜44)に中国から渡来したもので、たった一種で他の種類は無いそうです。一樹で年に2〜3度(普通は5月頃と9月頃の2回)淡紅色の花を咲かせるとのこと。はじめの花は去年の枝に咲き、2度目の花は今年の枝に咲くということで中国では三春柳 の名があるそうです。(牧野富太郎著「植物一日一題」による)