野楽力研究所

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東京多摩地区街中自然観察・・・令和6年3月14~16日

 日中は随分暖かくなり、上着を脱いで歩いている人も多くなりました。多摩地区の自然観察を数日にわたって少しずつ行い、春の様子を写真に収めました。自然の様子です。

(↑上の写真)左=多摩地区の夕方の風景、中=ヒボケ(緋木瓜)、右=サクラ(桜)

 サクラ(桜)はバラ科サクラ属で分類されていますが、属の下位の種小名や品種名では、サクラでは載っていません。因みにウメは、バラ科アンズ属ウメで、モクレンモクレンモクレンモクレンで載っています。アジサイも種小名アジサイで載っています。しかし、サクラは種小名に分類する時に、すでにたくさんの品種が作出されていて、それら全体を指すものとしては属名サクラに任せることになったようです。Web『じゃらんネット』によると「サクラには、基本種の11種の野生種から作出されたものだけでも600種以上あり、基本種が自然交配したものだけでも100種以上ある。桜は突然変異しやすく、新しく生まれたものを挿し木などで増やしていくと新種を作りやすいという特徴があります」ということです。そのため、外部の者が品種名を同定することは容易ではありません。野楽力研究所としては、今後、名札表示のあるものや明確に判別できるものには品種名を出したいと思っています。(引用は一部翻案してあります。)

(↑上の写真)左=オトメツバキ(乙女椿)、中=ヤブツバキ(藪椿)、右=ベニシシツバキ(紅獅子椿)

(↑上の写真)左=ハクモクレン(白木蓮)、中=アセビ(馬酔木)、右=ユキヤナギ(雪柳)

(↑上の写真)左=カラスノエンドウ(鴉豌豆)、中=ホトケノザ(仏の座)、右=ヒメオドリコソウ(姫踊子草)

(↑上の写真)左=フキノトウ(蕗の薹)、中=タネツケバナ(種漬花)、右=オランダミミナグサ(阿蘭陀耳菜草)

 タネツケバナ種漬花)はアブラナ科タネツケバナ属。APG牧野植物図鑑によると日本各地及び東アジアから南アジアの温帯から暖帯に分布し、水田、溝の畔、水辺の湿地などに生える越年草。和名の種漬花は、苗代を作る前に米の種もみを水に漬ける時期に花が咲くのでこの名がある、とあります。つまり、畔づくりをされる前に花を咲かせ、種子をつくり、子孫繁栄を図る戦略とも考えられます。可愛らしい花なのに賢い戦略を考えていますね。庭に種子を蒔くと、次の年には爆発的に増え、始末に困ります。

(↑上の写真)左=ノゲシ(野芥子・野罌粟)、中=ナズナ(薺)、右=コスミレ(小菫)

(↑上の写真)左=ヒメリュウキンカ(姫立金花)、中=ヒメキンセンカ(比女金盞花)、右=ツルニチニチソウ(蔓日々草

 ヒメリュウキンカ(姫立金花)はキンポウゲ科 フィカリア属。在来種のリュウキンカ(立金花)は水辺や湿地に生えるが、ヒメリュウキンカ、湿気の多い林や川沿いの草原、普通の野原、畑など、広くどこでも生育できる、という。『日本日本帰化植物写真図鑑』によると「ヨーロッパ原産の多年生草本。非常に多型で、多くの種内変異が記録されている。在来種のリュウキンカによく似ているが、本種はダリアの球根を思わせる紡錘形に肥大した地下部を持ち、掘り上げれば容易に区別がつく。変種に小型タイプ、大型タイプのものがあり、日本で野生化しているのは大型タイプが多い。葉は全縁心臓形。小型タイプのものは葉腋にムカゴをつくり、盛んに栄養繁殖するものがある。典型的な春植物で、4月下旬には地上部は完全に枯死する」とあります。この数年都会地でも増えているようで、今後、どのように増えていくか注目したいです。

(↑上の写真)左と中=ハナニラ花韮)、右=ツタバウンラン(蔦葉海蘭)=コロセウムアイビー

  ツタバウンラン(蔦葉海蘭)は、オオバコ科 ツタバウンラン属。原産地が地中海沿岸の一年生または多年生草本。大正時代に観賞用に導入され、逸出して野生化したものといいう。茎は糸状で地上を這い、分枝してランナー(匍匐茎)を出し、所々から不定根を出してどんどん増える。花期は春~初夏。花をよく見ているとミッキーマウスの顔のように見えてきます。説明では、下唇の背面には2個の黄色いふくらみがあって花口をふさぐ、とあり、この膨らみがミッキーマウスの目のように見えます。実際は黄色で目立ちますが、写真では白っぽくなっています。別名:ツタカラクサ (蔦唐草) 、ウンランカズラ (海蘭葛) など。(各種Web参照)