野楽力研究所

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東京都薬用植物園・・・令和6年2月3日

 今日は節分、明日は立春。陽射しがずいぶん春めいてきました。節分の当日にセツブンソウ(節分草)の様子を見ようと思い、今回は東京都薬用植物園を訪れました。背も高く伸びて誇らしげに咲いているかと期待しましたがイマイチでした。これから訪れる方は慌てなくていいかも知れません。梅は早咲きの様でしたが種名の名札はつけられておらず「ウメ」となっていました。ザゼンソウの肉穂花序が顔を見せています。他の植物公園では数を減らしているロウバイをゆっくり観察できます。ソシンロウバイは八分咲きです。なお、園内は園路の改修工事中で、通れないところもあります。今日の様子です。

(↑上の写真)左=園路改修中の温室の見える園内の様子、中と右=八重紅梅

(↑上の写真)左と中=八重白梅、右=一重白梅

(↑上の写真)いずれもロウバイ(蝋梅)

(↑上の写真)いずれもソシンロウバイ(素心蝋梅)

 ソシンロウバイ(素心蝋梅)は、ロウバイロウバイ属。ソシンロウバイ(素心蝋梅)は、雌しべの周囲の花弁(花びら)がロウバイのように紅紫色に色づかず、すべての花弁が薄黄色のものをいいます。素心は素芯で芯まで色づかず素(す)のままといった意味と思われます。 

(↑上の写真)いずれもセツブンソウ(節分草)

  セツブンソウ(節分草)はキンポウゲ科セツブンソウ属。関東地方以西で山裾などの半日陰に生える多年草。早春に開花し、初夏には姿を消すことから「スプリングエフェメラル(春の妖精)」と呼ばれています。エフェメラルとはエフェメラ(カゲロウ)のように短命な、一日だけの命、儚いという意味。5枚の花弁(花びら)のように見えるものは萼片(がくへん)の変化したものでもともとの花弁は密腺に変化してしまったそうです。花弁のように見えるものの下にある5枚の葉のように見えるものは総苞葉で輪状に並び、総苞葉の中心から直立した1cmばかりの花柄を1本出し、その先に節分草の白色の花を1個つけます。この総苞葉は、花弁状に変った萼片の代わりに花の保護器官(もともとの萼)の役目をしていると考えられているそうです。可愛らしいエフェメラルにもたくさんの進化の過程が秘められていることに改めて自然の妙を感じますね。(「牧野新日本植物図鑑」、「花おりおり」、「APG牧野植物図鑑スタンダード版」、その他各種Webを参照、翻案しました。)

(↑上の写真)左=マツユキソウ(待雪草・スノードロップ)、中と右=フクジュソウ福寿草

 フクジュソウ福寿草)はキンポウゲ科フクジュソウ属。北海道、本州、九州およびアジア東北部の山の樹陰に生える多年草福寿草は「幸福」と「長寿」を合わせた名前の花なので正月を祝うに相応しいめでたい花とされています。そのため正月の花屋さんに福寿草の小鉢がたくさん並んでいるんですね。花の形はパラボラアンテナのような形をしています。花茎が伸び、花が開くと太陽の方に花を向け、花のパラボラ(放物線)の曲面で太陽の光(熱)を焦点に集めます。外気より10℃ほど高くなるそうで、アブなどがここで体を温め、花粉を舐めて飛行に備えます。虫の少ないこの時期にしかも蜜を持たない福寿草が虫を呼び寄せる手段として集熱装置を持った花を開発したんですね。その間に花粉が体につき飛び立ち、他の花に花粉を運びます。福寿草もアブもなかなかに賢いですね。これからが花の時期なので観察したいですね(『APG牧野植物図鑑』、田中肇著『花の顔』、各種Webを参照、翻案しました)

(↑上の写真)左と中=オウバイ(黄梅)、右=ローズマリー

 ローズマリーはシソ科マンネンロウ属。地中海沿岸が原産の常緑低木。ローズマリーの名前の語源の1つは、その姿からラテン語のローズ(しずく) +マリナス(海の)が合わさったという説。もう1つは、聖母マリアのバラを意味する「rase of maria」が由来とする説があります。その他に聖母マリアが衣を被せたところ、白いローズマリーが青色になったという言い伝えもあります。ローズマリーには抗酸化作用があるとされ、肉料理の香辛料として使われます。また、その枝はミイラが腐らないように棺に入れられていたということです。この香りは記憶力を高める、という研究が2003年イギリスのノーザンブリアン大学から発表されているそうです。香りの成分は「酢酸ポルニル」といわれ、この香りを嗅ぐと緊張緩和や睡眠誘導の効果があるともされています。(以上はWeb「社会福祉法人はなゆめ」、田中修著「かぐわしき植物たちの秘密」や各種Webを参照翻案しました。)

(↑上の写真)左=ニホンスイセン(日本水仙)、中=ザゼンソウ、右=アキザキスイセン(秋咲水仙

【↓以下温室にて】

(↑上の写真)左=ポインセチア、中=ブーゲンヴィリア、右=ムユウジュ(無憂樹)

(↑上の写真)左=アンスリウム、中は黄花、右は白(ピンクっぽい)花のキルダンサス