野楽力研究所

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景徳院・日川渓谷竜門峡入口付近の紅葉・・・令和4年11月4日

 甲斐大和の景徳院、徳川家康公によって創建された武田勝頼公の菩提寺と日川渓谷竜門峡の入口の周辺を探訪。丁度紅葉が見事でしたので、紹介致します。標高700m。今日の様子です。

(↑上の写真)左=景徳院山門、中=紅葉に囲まれた本堂、右=庭園

(↑上の写真)左=イイギリの黄葉、中=本堂横のオオモミジの紅葉、右=前庭のドウダンツツジの紅葉

 イイギリ(飯桐)は、APG新分類でヤナギ科(いままではイイギリ科)イイギリ属。APG牧野植物図鑑に拠ると「本州から琉球列島、台湾、中国に分布する落葉高木」とのこと。この時期、赤い実の房を下げている光景を見るのが普通ですが、ここでは実がありませんでした。「葉はイイギリなのに?」と思いましたが、考えてみればイイギリは雌雄異株ですから、雄株には実はならないわけです。実がならなくても立派にイイギリというわけです。雄株か雌株かは、その株を育てて見ないと判らないようです。雄株は春に香りのよい花を咲かせるということですから、来年の春に確認したいですね。みなさん挑戦しているようですが、なにせ高木なので、確認しずらいようです。なお、イイギリ(飯桐)とは、おこわをキリの葉に似ているこのイイギリの葉に包んで用いたので飯桐といわれるようになったのが名の由来のようです。桐の葉でも良さそうですが、桐の葉には毛が生えていて使いづらいそうです。飯を「イイ」と読むのは「飯田さん」と呼ぶときに使っていますね。

(↑上の写真)左=鐘楼、中=勝頼公主従の墓、右=勝頼公・夫人・信勝公の地蔵尊

(↑上の写真)左=日川渓谷竜門峡入口、中=入口の橋、右=オオモミジの紅葉

(↑上の写真)左=日川渓谷、中=ウリカエデの黄葉、右=ダンコウバイの黄葉

 ダンコウバイ(壇香梅)は、クスノキ科クロモジ属。APG牧野植物図鑑によると「関東地方以西、四国、九州、朝鮮半島、中国の暖地の山地に生える落葉低木、高さ3mくらい。雌雄異株。花は早春、葉の出る前か、ほとんど同時に開く。葉は互生し、普通は浅く3裂している(上の写真参照)が、枝のもとの葉は、時に裂けないことがある」という。変った形の葉の代表で、一度見たら忘れられません。枝に香りがあり、クロモジとともに枝が楊枝の材料になることで知られている木です。朝井まかて著「先生のお庭番」に「壇香梅は梅と名がついているものの楠の仲間で、斜面や林縁に群れずに枝を伸ばしている樹である。熊吉(お庭番)は斜面に目を凝らしながら歩くうち、葉先が三つに分かれた木を見つけた。立ち止まる。佐平次(職人頭)も引き返してきて、「ん、よか」と言った。その壇香梅は地際から5本も幹が出ており、しかも枝葉に勢いがある。「よか株たい。よし、皆、あの樹ば、掘らせてもろうてくれ」人足らと共に根の周囲に鍬を入れる。たちどころに目の中にまで汗が入ってきた。だが熊吉は黙々と手を動かし続ける」(長崎出島、シーボルト邸の庭園のお庭番として新種の採集や世話に頑張っている熊吉の様子が見てとれますね)なお、名前の由来はウィキペディアによると「実や葉、また材が檀香(ビャクダン:白壇)のように香り、花がウメ(梅)に似ていることによる」とあります。