目だったいわゆる美しいと言われる華々しい花はこの時季にはありませんが、一つ一つの野草をじっくり観察すると実に可愛らしい花を咲かせているのに驚かされます。「見てちょうだい」と声を掛けられたような気がします。美しさと可愛らしさは、受け止め方に違いがあると思いますが、今日は可愛さと一生懸命さを求めて観察したいと思いました。仲間の花は咲き終えたのに、出遅れて陰に隠れて、それでも一生懸命咲いている花々を愛でたいと思います。平山城址公園の今日の自然の様子です。
(↑上の写真)左=平山城址公園入口、中=マルバハギ、右=ウド
(↑上の写真)左=トネアザミ、中=ノコンギク、右=ノダケ
(↑上の写真)左=アキノノゲシ、中=イヌタデ、右=ハキダメギク
ハキダメギク(掃溜菊)はキク科コゴメギク属。道ばたなどに生える一年草。北米原産で明治時代には渡来していたといわれます。牧野富太郎氏が大正時代世田谷のゴミ捨て場(掃きだめ)で発見し、ハキダメギクと名付けたと自身の牧野植物図鑑(昭和50年発行)に書かれています。ところが、全く同じ図がAPG牧野植物図鑑スタンダードに掲載され、コゴメギクとして紹介されています。上の写真はハキダメギクで5枚の白い花びら(舌状花)が大きいですが、コゴメギクはこの白い花びらが小さく中心の黄色い筒状花の集まりの部分が割合として大きくなっています。名付け親の言語センスでしょうか、もっと可愛らしい名前を付けてあげたいですね。可愛らしい小さな菊というヒメコギク(姫小菊)という名はどうでしょうか。小百合(さゆり)があるのでヒメサギクでも。
(↑上の写真)左=サジガンクビソウ、中=キバナガンクビソウ、右=クワクサ
サジガンクビソウ(匙雁首草)はキク科ヤブタバコ属。本州以南の乾いた山の木陰に生える多年草。和名は根生葉の形を匙に見立てたものだそうです。キバナガンクビソウ(黄花雁首草)はキク科ヤブタバコ属。本州以南の林内に生える多年草。和名は黄色でうつむいた頭花をキセルの雁首にたとえたものだそうです。APG牧野植物図鑑では、キバナガンクビソウを普通はガンクビソウというとあります。Web:ウィキペディアによるとヤブタバコ属の属名はガンクビソウ属ともいわれるとのこと。派閥があるようで、学者によってどちらの属名で呼ぶかは譲れないところがあるようです。皆さんの図鑑ではどちらになっているでしょうか。しかし、雁首とか(藪)煙草という名がついたのは、タバコがフランシスコ・ザビエルとともに入ってきた織田信長の時代以降に名付けられたということでしょうね。当時の時代背景が偲ばれます。
(↑上の写真)左=ウマノミツバ、中=チヂミザサ、右=チカラシバ
(↑上の写真)左=園内風景、中=イヌトウバナ、右=ヤブミョウガ
(↑上の写真)左=シロシキブ、中=ガマズミ、右=コブシ
(↑上の写真)左=アレチヌスビトハギ、中=イヌワラビ、右=ミドリヒメワラビ
アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)はマメ科ヌスビトハギ属。埋立地や荒地などに生える帰化植物。Web:岡山理科大学やウィキペディアによると多年草。日本帰化植物写真図鑑(全国農村教育協会著)によると「北アメリカ原産の1年草。果実は扁平で4~6節にくびれ、各節に1個の種子が入っている。昭和15年に大阪で見いだされ、荒れ地、道端に広がった。関東以西に多い」ということです。ヌスビトハギよりも花や実が多いので、繁殖力は大きいように思います。在来のヌスビトハギは多年草なので、アレチヌスビトハギも多年草のように思いますが、観察すべきですね。来年ここはアレチヌスビトハギだらけになっているかもしれませんね。