待ちに待った秋晴れとなりました。昭和記念公園では、コスモス祭り(10月25日まで)です。満開はこれからです。こもれびの里ではケイトウ、ソバなど隣接のコスモス畑では各種コスモスを、その奥のこもれびの丘では山草の観察をしました。近くのススキ原ではナンバンギセルが見られます。今日の様子です。
(↑上の写真)左=こもれびの里の入口、中=ケイトウ(園芸種)、右=ノゲイトウ(園芸種)
ケイトウ (鶏頭、鶏冠) はヒユ科ケイトウ属の一年草。原産地はアジア、アフリカの熱帯地方と推定され、日本には奈良時代に中国を経由して渡来したとのこと。高温と乾燥に強く、荒れ地でもよく育つ丈夫な植物ということです。花穂の形状から鶏冠(とさか)形のものとノゲイトウ形(ロウソク形)のものが主流のようですが、ハゲイトウのように葉が色づいたものなどいろいろ園芸種があるようです。上の写真では中のものが鶏冠形、右のものがノゲイトウ形(ロウソク形)のものです。
(有吉佐和子著「美っつい庵主(うっついあんじゅ)さん」より)悦子が(男の)友人と二人で明秀庵を訪れたのは東京ならば夏の盛りである八月の始めであった。庵の入口の大戸は午前中とて閉まっていたが、中の小さな扉は手をかけると訳なく開いた。くぐって入ると手入れの行き届いた門口は烈しいばかり明るく、鶏頭の赤い花が二人の目に痛いようだった。(二人は出迎えの尼僧たちに挨拶すると、庵主の部屋に案内される。庵主は二人を見て吃驚してしまった。)・・・・門口で鶏頭の花が強烈な太陽を待って、燃えるように列をなしている。庵主は腰を伸ばして目を細めてそれをしばらく見守っていた。赤い色は彼女の好きな色なのだ。(悦子と男友達は十日ほどここに宿泊したが、庵主の心配をよそに何事もなく帰京した。)ケイトウの花の赤い色がそれぞれの登場人物にどのように映ったでしょうか。
(↑上の写真)左=ヒガンバナ、中=ナンバンギセル、右=シオン
(↑上の写真)左=キツネノマゴ、中=ハグロソウ、右=ノコンギク
(↑上の写真)左=ミズヒキ、中=ギンミズヒキ、右=キンミズヒキ
ミズヒキ、ギンミズヒキはタデ科イヌタデ属。キンミズヒキはバラ科キンミズヒキ属。ここではミズヒキと名付けられているもの3種を写真に撮りました。丸山尚敏著「野に咲く花2」にキンミズヒキについて「実の形はちょうど茶を点てるときの茶筅に似て、先に鋭い鉤状の刺が出ているので服などにすぐ着く。この名前は、穂がごく細長く、ちょうど水引という草に似ているところから、黄色い水引の意味でつけられたものであるが、本当は水引(タデ科)とは全く違うバラ科であって、この名は余り適当ではない」と書かれています。キンミズヒキがミズヒキの仲間とされがちですが、違う種なのでこの名はよろしくないというわけです。白いギンミズヒキがあるので、金色のミズヒキがあってほしいという願望の表われでしょうか。
(↑上の写真)左と中=イノコヅチ、右=カリガネソウ
イノコヅチ(猪子槌)は、ヒユ科イノコヅチ属の多年草。日のあまり当たらない場所に生える雑草。ウィキペディアによると「北海道を除く日本の本州、四国、九州の林内、山野、路傍などいたるところに生えている。イノコヅチの名前の由来は、茎の節が膨らんでいて、猪子の膝のように見え、これを槌に見立ててこの名がついた。別名、フシダカ、コマノヒザとも呼ばれる。平安時代の『延喜式』には『こまのひざ』『ふしだか』という名前での記載が見られる。漢名では、牛膝(ごしつ)という」とあります。確かに茎の節の膨らみ方は牛膝という感じがしないでもありませんが、種子の形は、よく見ると猪の爪の形に似ています。可愛らしいので猪子。槌は金槌のような槌に直角に柄をつけた形のものではなく柄が垂直に付けられた横槌と呼ばれる形をしたもの。種子が軸に縦についた様子は、正に可愛らしい横槌です。名前の語源については諸説あるので、この見解も加えていただければと思います。
(↑上の写真)左=シモバシラ、中=シラヤマギク、右=ゲンノショウコ
(↑上の写真)左と中=ソバ、右=ツリフネソウ
(↑上の写真)左=キバナコスモス畑、中=キバナコスモス、右=コスモス
(↑上の写真)=各種コスモス
(↑上の写真)左と中=コスモス、右=コスモス畑