野楽力研究所

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神奈川県立津久井湖城山公園(根小屋地区)・・・令和5年5月25日

 春の花は実を結び、夏の花は梅雨に株を育て、今は花の少ない時季ですが、満を持して綺麗に花を咲かせているのはノアザミです。今日の根小屋地区の様子です。

(↑上の写真)左=根小屋地区公園入口、中=ノアザミ(野薊)、右=コウゾリナ

 ノアザミ(野薊)はキク科アザミ属。APG牧野植物図鑑には「本州、四国、九州の山野に普通に生える多年草」とあります。この時季、緑に覆われた中で赤紫のノアザミの花に出会うと何かしら、ほっとする感じを受けます。秋にはノハラアザミが似た感じで咲きますが、咲く時期が異なるので区別がつきます。しかし、季節が移行していくと両方の花が同時に見られる場合があります。その場合は、花びらの下の総苞の部分を触ってみます。粘りつくようだったらノアザミです。今の時期に触ってみて粘りつく感触を確かめてみてください。川端康成著『眠れる美女』に「京都に着いた江口とその娘とは朝早く竹林の道を歩いた。竹の葉は朝日を受けて銀色に輝きそよいでいた。竹林の片側の畔には、あざみと露草とが咲いていた。そういう道が浮かんでくる。竹林の道を過ぎて、清い流れを遡ってゆくと、滝がとうとうと落ちていて、日の光にきらめくしぶきを上げ、しぶきの中に裸身の娘が立っている。そんなことはありはしなかったのだが、江口老人にはいつからかあったものと思われる」と。江口老人の想像力に惹きつけられますね。(著者は「あざみ」としていますが、「あざみ」というアザミはありませんから、あざみと露草が見られる時季のアザミはきっとノアザミですね。とはいうものの重なり合っている時期があるので判定は難しい、としておきます。皆さんはどう解釈されますか?)

(↑上の写真)左=コオニタビラコ(小鬼田平子)、中=クサイチゴ(草苺)・実、右=園路

(↑上の写真)左=ミミガタテンナンショウ(耳型天南星)・実、中=ホウチャクソウ(宝鐸草)・実、右=フタリシズカ二人静)・実

(↑上の写真)左=フモトシダ(麓羊歯)、中=イヌガンソク(犬雁足)、右=リョウメンシダ(両面羊歯)

(↑上の写真)左=タチアオイ立葵)、中=ヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)、右=園路