野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

都立野川公園自然観察園・・・令和5年4月23日

 今日は、どんな花に出会えるか、歳に似合わず胸をウキウキ訪れました。迎えてくれたのはオドリコソウです。園内あちこちでピンクの花を満開に咲かせています。ちょと冷めた感じの青のチョウジソウも満開です。キンランも満開です。珍しい滅多に見られない、勿論日本の、イヌノフグリが小さな花を咲かせ、小さな実を結んでいました。その他いろいろの花が百花繚乱です。この数日がチャンスです。今日の自然の様子です。(写真をクリックすると拡大されます)

(↑上の写真)左=自然観察園入口、中と右=キンラン

(↑上の写真)いずれもオドリコソウ、右=オドリコソウの群落

 オドリコソウ(踊子草)はシソ科オドリコソウ属。『APG牧野植物図鑑』によると「東アジアの温帯から暖帯に分布し、山野の半日陰の道ばたに生える多年草。茎は四角く柔らかい。和名踊子草は花の姿を、笠をつけて踊る踊子の姿に見立てたもの」という。

(↑上の写真)左=オオイヌノフグリ、中=イヌノフグリの花、右=イヌノフグリの実

(↑上の写真)いずれもチョウジソウ(丁字草)、右=チョウジソウの群落

 チョウジソウ(丁字草)はキョウチクトウ科チョウジソウ属。『APG牧野植物図鑑』によると「日本全土、河岸の原野に生える多年草。和名丁字草は花の形が丁子(フトモモ科)に似た草の意」とあります。しかし、丁子(チョウジ)は「モルッカ諸島原産のフトモモ科の常緑高木」ということです。その花はチョウジソウの花とは全く似ていないのですが? 杉村昇著『名前といわれ:野の草花図鑑』によると「チョウジソウという名は、花の形からつけられたものです。筒形の花ですが、上部が5つに裂けて、花弁が平たく開くので、横から見た形が漢字の「丁(ちょう)」の字に見えるからといわれます」と伝聞形で書かれています。皆さんには上掲写真をじっくり見て、考えてみてください。納得いくでしょうか。

(↑上の写真)左と中=クサノオウ、右=木道のある園内風景

 クサノオウ(草の黄)はケシ科クサノオウ属。日本の低地の日向に生える越年生草本クサノオウの名の由来についてはWeb「ウィキペディア」に3つ紹介されています。「1、植物体を傷つけると黄色の乳液を流すので草の黄。2、皮膚疾患に有効な薬草という意味で瘡(くさ)の王。3、皮膚疾患以外にも鎮痛剤として内臓病に用いられたことから、薬草の王様という意味で草の王」とあります。鈴木るりか著「落花流水の文章の中に「(道端に咲いていた黄色い花を水咲(みずき)は思わず手折ったのを裕太にぴしりと手をはたかれた。裕太は)いままで、(水咲が)見たことのない怖い顔をしていた。「汁、ついた?黄色いの、黄色い汁。これはかぶれる花だから触っちゃダメなんだよ。この花はクサノオウって言って、葉っぱに触れるだけでもかぶれるんだよ。葉っぱをちぎったり茎を折ったりすると出てくる黄色い汁が特に強力で、口に入ると死んじゃうこともあるんだ」死んじゃうと聞いて(水咲は)ますます怖くなり、口を大きく開けて泣き出した」・・クサノオウの怖ろしさに改めて驚かされますね。

(↑上の写真)左=ホウチャクソウ、中=キスゲ、右=ホタルカズラ

(↑上の写真)左=フタリシズカ、中=コバノタツナミソウ、右=ヒイラギソウ(花の終わり)

 フタリシズカ二人静)はセンリョウ科チャラン属。APG牧野植物図鑑によると「日本各地および中国の温帯から暖帯に分布。山地や林野に生える多年草。茎は分枝せず節がある。高さ30~60㎝。葉は対生し輪生状(に見えるが)ではない。和名の二人静は、花穂が2本あることを示すが、3本出るものもある」とあります。夏目漱石著『虞美人草に「(宗近家の父と息子(はじめ)の会話)(はじめ)、あの花を見たことがあるかい。あの床に挿してある」蜆子和尚(けんすおしょう)一筆(ひとふで)に描いた軸を閑静に掛けて、前に青銅の古瓶を据える。鶴ほどに長い頸の中から、すいと出る二茎に、十字と四方に囲う葉を境に、数珠に貫く露の珠(たま)が二穂ずつ偶(つい)を作って咲いている。「これが例の二人静だ」「覚えておくがいい。おもしろい花だ。白い穂がきっと二本ずつ出る。だから二人静謡曲に静の霊が二人して舞うということがある。」「二人静。ハハハおもしろい花だ」・・・息子(はじめ)の結婚話の折に話した話です。(・・付け足しで、フタリシズカで3本あるものを「三人かしまし」と言うとか言わないとか?)

(↑上の写真)左=カントウタンポポ、中=オオジシバリ、右=ムサシアブミ

(↑上の写真)左=ヤマブキソウ、中と右=コンロンソウ

(↑上の写真)左=キツネノボタン、中=ケキツネノボタン、右=イヌガラシ

(↑上の写真)左=クリンソウ(花はこれから)、中=サクラソウ(花は終わり)、右=ゲンゲ(レンゲ)

(↑上の写真)左=キショウブ、中=ハルジオン、右=ヘビイチゴ

(↑上の写真)左=ハンショウヅル、中=珍しい白花のセリバヒエンソウ、右=セリバヒエンソウ

 ハンショウヅル(半鐘蔓)はキンポウゲ科センニンソウ属。本州、九州の山地の林内に生える落葉つる低木、ということです。ということは草本ではなく木本ということで、茎は冬でも枯れずにのこり、その茎から若芽を出します。和名は、花の形が半鐘に似ていることから名付けられたということです。センニンソウ(仙人草)属ということで、その果実は仙人のひげを思わせる羽毛状の羽毛をつけた種子の集合果となっています。秋に集合果を見るのを楽しみにしたいです。

(↑上の写真)左=ラショウモンカズラ、中=白花のサギゴケ、右=園内風景

(↑上の写真)左=マユミの花、中=サンショウの花、右=ウグイスカグラの実

(↑上の写真)左=シロダモの新芽、中=ロウバイの実、右=オドリコソウの咲き乱れる園路