野楽力研究所

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東京薬科大学薬用植物園・・・令和5年4月11日

 平山城址公園西園・東園の間に来園者に便利なようにフェンス状の東京薬科大学薬用植物園専用の入口があります。他ではなかなか 見られないユキザサ、ムベの花が見られました。NHK「らんまん」に出てくるバイカオウレンは1月19日練馬区立牧野記念庭園で写したものを参考に載せました。仲間のキクバ、セリバの各オウレンはこの薬用植物園では実ができていました。年々整備され、保護された植物を各種観察できるようになりました。なお、今まではコロナのため火・木の週2日の開園でしたが、4月からは日曜日を除く9:30~16:00まで開園しています。閉じられているフェンス状の専用入口で警備員に申し出て記帳して入ります。今日の様子です。

(↑上の写真)左=専用入口フェンス、ここで警備員の許可をもらう、中=たにしヶ池(立入禁止表示)を右折する、右=薬用植物園の正門、ここでも記帳して入る。

(↑上の写真)左=見本園の様子、中=キクバオウレン(菊葉黄蓮)(実)、右=セリバオウレン(芹葉黄蓮)(実)

(↑上の写真:参考)いずれも牧野記念庭園で1月19日に写したバイカオウレン(梅花黄蓮)

 バイカオウレン(梅花黄蓮)はキンポウゲ科オウレン属。NHK朝ドラ「らんまん」で草原に腹這いになり「(亡くなった)お母ちゃんがいっとう好きな花」と語りかけるシーンは印象的でしたね。福島県以南、四国の山の半陰地に生える多年草で、葉は束生。花は春に根生葉の中心から花茎を出し、頂に一花をつける。花びらのように見えるものは萼片が変化したもので5枚、本来の花びら密腺に変化しているそうです(1月17日牧野記念庭園参の項参照)。

(↑上の写真)左=ユキザサ(雪笹)、中=ニホンスズラン(日本鈴蘭)、右=ドイツスズラン(独逸鈴蘭)

(↑上の写真)左=ホウチャクソウ(宝鐸草)、中=ワニグチソウ(鰐口草)、右=アマドコロ(甘野老)

 ホウチャクソウ(宝鐸草)はイヌサフランホウチャクソウ属。APG牧野植物図鑑によると「北海道から九州、および千島、サハリン、済州島鬱陵島の温帯から亜熱帯に分布する丘陵の林内に生える多年草。花は春に咲き、枝端に1~2個垂れて正開しない。和名の宝鐸草は下垂する花の姿を寺院や五重塔の軒下の宝鐸に例えたもの」とあります。花は正開しないとある通り、いつまでたっても開かず、花の後には黒い実がなります。通常2輪が寄り添うように可憐にうつむいていますので、正開を期待しますが残念です。宝鐸は「ほうたく」と読みたくなりますが「ほうちゃく」とも読むそうです。

(↑上の写真)左=チゴユリ(稚児百合)、中=バイカイカリソウ(梅花碇草)、右=エンレイソウ(延齢草)

(↑上の写真)左=ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)、中=ミツバツチグリ(三葉土栗)、右=キランソウ(金襴草)

 ミツバツチグリ(三葉土栗)はバラ科キジムシロ属。APG牧野植物図鑑によると「北海道、本州、四国、九州、および朝鮮半島中国東北部、アムールに分布し、日当りのよい山野に生える多年草」とあります。名の由来は西日本に分布するツチグリに花のつくりが散形花序であるところは似ているが、ツチグリの葉が羽状複葉であるのに対してミツバツチグリは三小葉であることが区別点。しかし、ツチグリは自然植生では関東にはないので、むしろ、関東では散形花序で三つ葉だったらミツバツチグリと考えた方がいいようです。散形花序ではキジムシロもそうですが、葉が羽状複葉です。オヘビイチゴも散形花序ですが、3小葉でなく5小葉です。結論的には、花が散形花序で葉が3小葉ならミツバツチグリ。なお、ツチグリ(土栗)とは根茎が肥大して栗のようで生で食べられるということです。ただし、ミツバツチグリの根茎は食べられないということです。

(↑上の写真)左=ムベ(郁子)、中=ニガイチゴ(苦苺)、右=ハマナス(浜茄子)

 ムベ(郁子)はアケビ科ムベ属。APG牧野植物図鑑には「関東地方から琉球列島、および朝鮮半島南部の暖帯から亜熱帯に分布。山地に生え、また観賞用に植栽する常緑つる低木。花は晩春、雌雄同株。花弁はない」とあります。花は下向きに咲き、花には花びらに変化した萼片が6枚あり、太めの萼片が3枚、その間に細めの萼片が3枚あります。ムベの語源については諸説あるようです。その一つ、ある時、琵琶湖のほとりに狩りにお出かけになられた天智天皇がその地で子だくさんの健康長寿な老夫婦に出会った。「どうしてそう健康長寿でいられるのか」と尋ねられたところ、老夫婦はこの地で採れるこの果物が無病長寿の霊果です、と答えた。賞味された天皇は「むべなるかな(いかにももっともなことであるなあ)」と得心されて、「斯くの如き霊果は例年貢進せよ」と命じたので、この果物をムベというようになった、というものです。朝井まかて著「類」には、「四ツ目垣に絡ませた郁子(ムベ)がちょうど花の時季で片栗の花のように切れ込みが深い花弁を開く。外側は白く内側は薄い紫を帯び秋に生る実の皮と同じ色であることに類は気づいている」とあります。(註:萼片が変化した花弁の内側の色については白色から赤紫までのもの、いろいろあります。)

(↑上の写真)左=エンコウソウ(猿猴草)、中=ヤマブキソウ(山吹草)、右=ムサシアブミ(武蔵鐙)

(↑上の写真)左=ハナイカダ花筏)(雄花)、中=メギ(目木)、右=ハナズオウ(花蘇芳)

 メギ(目木)はメギ科メギ属。本州以南の山野に生える落葉低木。多数分枝し高さ1m位。稜のある枝に葉を密生し、棘がある。Web:庭木図鑑「植木ペディア」によると、この棘のあることから防犯用に生垣に使われたとのこと。和名の目木はメグスリノキと同様、葉や茎を煎じてその煎汁で洗眼し、充血や炎症を防いだので目木と言われるようになったということです。また、別名コトリトマラズ(小鳥止まらず)はこの棘のために小鳥が止まれないことに由来し、同じく棘のあるメギ属に「ヘビノボラズ」という木もあり、この木の別名は小鳥ではなく「トリトマラズ(鳥止まらず)」といわれます。

(↑上の写真)いずれもヒイラギソウ(柊草)

 ヒイラギソウ(柊草)はシソ科キランソウ属。APG牧野植物図鑑およびWeb等によると「本州の関東と中部地方の山地の木陰に生える多年草。高さは30~50cm。茎は数本群がって直立し、断面は四角形で短毛がある。花は晩春、茎の上部の葉腋ごとに2~3個ずつ青紫色のラッパ状唇形の花をつけ、輪状に3~5段の花穂になる。絶滅危惧1B類。和名は葉形がヒイラギの葉に似ているから」とあります。

(↑上の写真)左=ウラシマソウ(浦島草)、中=ヤブレガサ(破れ傘)、右=ショウジョウバカマ猩猩袴)

(↑上の写真)左=ジュウモンジシダ(十文字羊歯)、中=ウラジロ(裏白)、右=コシダ(小羊歯)