野楽力研究所

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新宿御苑・・・令和5年2月1日

 今日は、川端康成著の「山の音」という小説に大木戸門から入った新宿御苑の様子が書かれているので、訪ねてみました。この作品は、川端康成作家的評価を決定づけた作品といわれます。主人公信吾が嫁菊子と新宿御苑で待ち合わせたのは夏のことでした。松、児手柏や枇杷の木など常緑の木が出てくるので、公孫樹以外はこの時期でも夏と同じような姿が見られると思ったわけです。(夏にも訪ねてみたいと思います。)戦後に書かれた小説ですが、その後、大木戸門の傍には大きな温室や玉藻池畔には休憩所、また12月に開館したばかりの「新宿御苑ミュージアム」がつくられましたから、当時の面影とは随分違っているようです。大木戸門から新宿門までの周辺の今日のようです。

(↑上の写真)左=大木戸門入口、中=待ち合わせの場所:「菊子は公孫樹を背にベンチで待っていた」と思われる場所(中央の葉を落とした木が公孫樹)、右=「門からすぐに池に突き当たる」と書かれている玉藻池

 「児手柏」はすでに失われているということでした。信吾は、この公孫樹の木の前のベンチで「久しぶりに美しい嫁(菊子)と対面した」と書かれています。

(↑上の写真)左=「うつくし松」と想像したい赤松、中=「枇杷の木」というのはこの木だろうか、右=枇杷の花

 綺麗に仕立てられた赤松はあちこちにありましたが、小説に出てくる「うつくし松」はどれだかわからないということでした。枇杷の木の幹は、周囲の整地の際に重機で傷つけられたと思われる傷がたくさんあり、樹勢が衰えています。小説では「じつにみごとな枇杷の木だね。邪魔するものがないから、下の方の枝まで、思う存分に伸ばしてるんだな」と感嘆して書かれています。

(↑上の写真)左=「ひまらや杉」、中=十月桜、右=熱海桜

 小説に信吾の「いい形だ。そうそういつか来た時も、ひまらや杉の大木が並んで、やはり下の枝まで、ずうっと伸びるだけ伸ばしているのは、気持ちよかったな。あれはどこだった。」という問いに菊子は「新宿寄りの方ですわ」と応えた。

(↑上の写真)左=温室外観、中=12月に開館したばかりの「新宿御苑ミュージアム」、右=子福桜

 「新宿御苑ミュージアム」では、新宿御苑の由緒が投影されています。投影される壁面が徐々に出口の方の壁面に投影されるようになっており、うまく出口の方へ案内されてしまいます。投影内容は「皇室の御料地として植物が各種栽培研究されていましたが、戦後下賜され、新宿御苑として開放されるようになった」ということです。

(↑上の写真)左=ソシンロウバイ、中=ニホンズイセン、右=ペーパーホワイト

(↑上の写真)左=ジャノメエリカ、中=センリョウ、右=マンリョウ

   ジャノメエリカ(蛇の目エリカ)ツツジ科エリカ属。「ウィキペディア」によると「南アフリカのケープ地方原産の常緑性の低木。小枝の先端に3個ずつ花をつける。花冠は釣り鐘型で色は桃色、花糸は長く、葯は黒紫色をしている。和名の意味は、花の真ん中に黒い葯が(蛇の目のように)よく目立つことによる」とあります。1月~4月が開花時期。

【↓温室の花々】

(↑上の写真)左=今まで入口だった所は出口になっています。今まで出口につながった廊下は入口の廊下になっていました。中=入口の廊下、左側に花がたくさん並んでいます、右=温室内の滝、(なお、温室に入るとカメラレンズがすぐにくもります。)