野楽力研究所

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練馬区立牧野記念庭園・・・令和5年1月19日

 4月3日(月)から放映されるNHK(朝ドラ)連続テレビ小説「らんまん」は植物学者牧野富太郎博士をモデルにしたドラマです。ここ練馬区立牧野記念庭園は、牧野富太郎博士が昭和32年に94歳で亡くなるまでの30年間を過ごしたところです。現在は練馬区が管理しています。4月の放映に併せ、2月11日(土)~3月31日(金)まで『牧野富太郎生誕160年記念特別展』が開催されます。庭園は植物園になっており、博士が採集された植物が植栽されています。モデルとなった牧野富太郎博士は朝井まかて著「ボタニカ」の主人公でもあります。ぜひ、一読をお奨めします。(本園へは西武池袋線大泉学園駅南口下車南へ徒歩5分です。一番東寄りのバス道路を歩きます。)今日の様子です。

(↑上の写真)左=庭園入口、中=博士が壽衛子夫人に感謝して命名したとされるスエコザサに囲まれた博士の胸像、右=博士の「花在れバこそ吾れも在り」の石碑

 スエコザサ(壽衛子笹)はイネ科アズマザサ属。(各種Web参照翻案)「本州の宮城県以北に見られる常緑の笹。高さ40cm程度。葉は長さ10cm程度の被針形。牧野富太郎博士が仙台市郊外で発見した翌年(昭和3年)、壽衛子夫人は亡くなっており、博士を支え続けた亡き壽衛子夫人に感謝して献名した。現在ではアズマザサの変種となっている」ということです。(註:壽衛子夫人は正式には壽衛夫人)

(↑上の写真)左=バイカオウレン、中=ペーパーホワイト、右=白梅 

 バイカオウレン(梅花黄蓮)はキンポウゲ科オウレン属。別名はゴカヨウオウレン。APG牧野植物図鑑によると「福島県以南、四国の山の半陰地に生える多年草。高さ8~10cm。根生葉の中心から花茎を出し、頂に一花をつける。萼片は5枚で花弁状、本来の花弁は有柄で密腺となる。和名梅花黄蓮は花の様子に基づく。別名は葉が五加(ウコギ)に似ることに因む(一部翻案)」とあります。上掲写真は本庭園でプランターに植えられていたものの写真です。花が梅花のように見えませんので、変種と思われます。葉は、五加(ウコギ・五加木)の葉に似るというので理解できます。花びらのように見えるものは萼片で、本来の花びらは密腺に変化しているということです。牧野博士が初めてこの花を見た時に「これは何の花だろう」と思い、花に対する興味を益々深め、また終生愛した花だそうです。(朝井まかて著「ボタニカ」)「富太郎は(山の)斜面の手前にうつぶせになり、顔の下で組んだ腕の上に顎をのせた。……富太郎が『なあ、バイカ。折り入って訊きたいことがある。おまんの名前、ほんまはなんと言うが』と訊くと『バイカなんじゃろう』という。『それは、わし(富太郎)がつけた名ぁじゃいか。おまんの、まことの名ぁを知りたい』(で話が始まります。)

(↑上の写真)左=ナギイカダ、中=フユノハナワラビ、右=クロチク

 フユノハナワラビ(冬花蕨)はハナヤスリ科ハナワラビ属。冬緑性シダ植物。Web「冬の花蕨」によると「本州〜九州の向陽の山野に生える」とあります。本庭園で撮った上掲写真フユノハナワラビは、牧野博士の庭園の植物なので間違いないと思いますが、「牧野新日本植物図鑑」のオオハナワラビの栄養葉の図版とそっくりですが、フユノハナワラビの図版では、栄養葉は三出複葉に描かれています。?と感じました。また、同植物図鑑では区別点としてオオハナワラビの栄養葉の裂片には粗い鋸歯がある(フユノハナワラビには裂片に鋸歯が無い)と、解説されています。上掲写真を拡大してみると裂片に刺のような鋸歯が多数ありますのでオオハナワラビではないかと思われましたが、如何でしょうか。

(↑上の写真)左=ナンテン、中=マンリョウ、右=センリョウ

(↑上の写真)左=ムラサキシキブ、中=センダン、右=展示室遠望