野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

都立植物多様性センター・・・令和4年10月26日

 神代植物公園に西隣し、無料地区として開放されています。訪れる人は少ないですが、設立以来20年以上経過し、随分自然の感じがするようになりました。ここには東京の伊豆諸島、奥多摩地区を含めた植物を多種植栽し、貴重な植物を保護増殖ています。奥多摩、武蔵野、伊豆諸島のゾーンがありますが、武蔵野ゾーンでは武蔵野の草原を再現して植えられています。今はススキが茂っています。伊豆大島などの火山の岩礫地に生える植物も岩礫地を再現して植栽されています。今日の様子です。

(↑上の写真)左=西門、中=植物多様性センター、右=武蔵野ゾーンの入口

(↑上の写真)左=武蔵野ゾーンのススキ風景、中=カリガネソウの花(残花)、右=カリガネソウの実

(↑上の写真)左=ヒメシロネ、中=サクラタデ、右=ハッカ

(↑上の写真)左=ノコンギク、中=ハマコンギク、右=ユウガギク

(↑上の写真)左=セキヤノアキチョウジ、中=ヤマハギ、右=ヤブタバコ

(↑上の写真)左と中=ハチジョウアザミ、右=ナワシログミ

 ナワシログミ(苗代茱萸)はグミ科グミ属。APG牧野植物図鑑によると「岩手県南部以西、四国、九州および朝鮮半島南部に分布。海岸付近や山野に生え、また庭木として植栽する常緑低木。短枝は刺に変わることが多い。葉は長さ5cm位、縁に波状のしわがある。若枝、葉裏、萼に銀白色の星状鱗片が密生。花は秋、花弁は無く、萼筒の先が4裂。果実は翌年の初夏に熟し、食べられる。和名は苗代の頃に実が熟すため」という。牧野新日本植物図鑑によると「本種はグミの主な品種で、グイミとも呼ばれ、とげのある木になる実であるからグイミといい(グイはとげのこと)それが略されてグミとなった」という。ナワシロイチゴも苗代の頃、実が熟して食べられますが、花は晩春に咲くので、ナワシログミも同じかと思いましたが、前年の秋に咲き、実は翌年の苗代の頃に熟すということです。上の花の写真をつくづく眺めてしまいました。

(↑上の写真)左=ゲンノショウコ(赤花)、中=センダングサ、右=ヒヨドリバナ

(↑上の写真)左=フタバハギ(ナンテンハギ)、中=ホトトギス、右=ヨモギ

 フタバハギ(二葉萩)はマメ科ソラマメ属。別名ナンテンハギ、タニワタシ。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「北海道から九州、およびサハリン、朝鮮半島、中国、東シベリアの山麓や野原に生える多年草。茎は束生し稜があり、葉は2小葉の複葉。初夏から秋に濃紅紫色の花を咲かせる」とあります。マメ科なので広披針形のマメ科の実をつけます。フタバハギとは、その葉が2小葉の複葉をつけるから。ナンテンハギ(南天萩)は2小葉の形や艶など見た目がナンテンの複葉の葉に似ているからといいます。しかし、ナンテンの複葉には沢山の小葉が付いていますがそのうちの2枚だけを捉えて同じように見えたのでしょうか?タニワタシ(谷渡し)は、弘法大師が谷を渡るときにこの草に援けられて渡ったということからタニワタシという名がついたという言い伝えがあります。これに対して牧野富太郎博士は「谷渡しは、時に茎が弱く、伏せることがあるので谷川べりに横たわるという意味であろうか?とにかく適切な名ではない」と斬り捨てています。

(↑上の写真)左=ヤイトバナ(ヘクソカズラ)の花、中=ヤイトバナの実、右=ヒヨドリジョウゴの実

(↑上の写真、どれも実)左=イボタノキ、中=ヒヨドリジョウゴ、右=アシタバ

(↑上の写真、どれも実)左=ムラサキシキブ、中=ノイバラ、右=アズマイバラ

(↑上の写真)左=オガルガヤ、中=ヨシ、右=ヌカキビ

 ヌカキビ(糠黍)はイネ科キビ属。APG牧野植物図鑑によると「日本各地、朝鮮半島、中国、インド、インドシナなどの温帯から熱帯の原野、路傍、林の縁などに生える一年草」という。山渓カラー名鑑「日本の野草」によると「やや湿った草地や林の縁などに多い。キビに姿が似て、小穂が小さく疎らにつくことから糠黍という。茎は下部で枝分かれし、直立して高さ30~120cmとなる」という。林縁などに生えており、すっと株立ちし、花穂は涼し気に風に揺れ悠々と周囲を睥睨している感じで目立ちますが、名前は何というのかは調べず見過ごしてしまうものです。イネ科植物もシダ植物同様、同定が難しく敬遠されますが、今日のヌカキビは記憶に残ると思います。

(↑上の写真)左=サネカズラ(ビナンカズラ)、中=スズメウリ、右=カラスウリ

(↑上の写真)左=ノガリヤス、中と右=フユノハナワラビ