野楽力研究所

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神奈川県立東高根森林公園・・・令和4年9月21日

 この公園は川崎市宮前区にあります。11、6haの広さと起伏があり、散策には丁度よい広さです。秋が近づいてきたことを萩(ここではヤマハギ)の花が知らせてくれています。果実ができ始めています。まだ色づいていないものが多く、目立ちませんが、葉陰などにひっそり実らせています。今日の様子です。

(↑上の写真)左=パークセンター、中=ツリフネソウ、右=キツリフネ

 ツリフネソウ(釣船草)・キツリフネ(黄釣船)ともにツリフネソウ科ツリフネソウ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「ツリフネソウ、キツリフネともに東アジア、ヨーロッパ、北アメリカ西部に広く分布、日本では各地の山地の湿地や水辺に生える1年草。和名は、花が帆掛け船を釣り下げたように見えるから」とあります。なお、庭に植えるには水が多量に必要なので、工夫が必要です。キツリフネは花が咲く前に閉鎖花ができ、種子が飛び散りますので芽生えはたくさんできますが、水分不足で、花は咲かずじまいで終わることが多いです。

(↑上の写真)左=ヤマハギ(赤花)、中=ヤマハギ(白花)、右=ヤマホトトギス

 ヤマホトトギス(山杜鵑草)はユリ科ホトトギス属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「中部地方以西の山地や丘陵の林内に生える多年草」とありますが、ウィキペディアによると「北海道南西部、本州(岩手県以南)、四国、九州に分布し、山地の林下に生育する。世界では、朝鮮半島に分布する」とあります。花弁(花びら)は6枚あり、3枚は幅広く、3枚は幅が狭く、強く反り返るのが特徴です。この反り返りが弱く水平になっているものはヤマジノホトトギス。雌しべの先端は3つに分かれて反り返り、その先端はさらに2つに分かれています。雄しべは6本ありますがそのうち3本は雌しべの裏に入り込んでいるので葯の見える雄しべは3本のように見えます。花びらが強く反り返っているものがヤマホトトギスと知っていると見分けられます。

(↑上の写真)左=カリガネソウ、中=ヒガンバナ、右=シュウカイドウ

(↑上の写真)左=ミゾソバ、中=タイアザミ、右=キツネノマゴ

 タイアザミ(別名トネアザミ)はキク科アザミ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「関東地方北部から中部地方中部にかけての太平洋側の山地帯や低地に林縁に生える多年草」という。関東地方に偏在しているので、全国で販売されている図鑑には載っていないことがあります。牧野新日本植物図鑑昭和50年発行には載っていません。和名タイアザミの由来は、花弁を包んでいる総苞片が魚の鯛の骨に似ているところから名づけられた、という説があります。葉の鋸歯や総苞片に触ると痛いですが、それが喉にひっかかった鯛の骨の痛さに似ているからでしょうか。「痛いアザミ」の先頭の「い」を除いて「タイアザミ」と覚えました。別名トネアザミは群馬県の利根に因むといわれます。トネアザミを標準和名とし、タイアザミを別名としている図鑑もあります。関東地方にはアズマヤマアザミという似た種類もあります。

(↑上の写真)左=カシワバハグマ、中=ヒヨドリバナ、右=オオハンゲ

 カシワバハグマ(柏葉白熊)はキク科コウヤボウキ属。ウィキペディアによると「日本固有種。本州(宮城県以南のおもに太平洋側)、四国、九州に分布し、山林のやや乾いた林縁や林下に生育する。花期は9~10月」という。この公園には、株数はたくさんありましたが、花の時期はこれからで花は写真のこの一輪だけでした。これからが楽しみです。名前の由来は、葉が柏の葉に似ているから、また、花の形がハグマ=白熊(ヤク)の尻尾の白い毛つくられた仏具の払子(ほっす)と似ているからといいます。ところでカシワの葉について「ウィキペディア」では「葉の縁にまばらに粗い歯牙がある」と表現していますが、山渓カラー名鑑「日本の樹木」で「ふちに波状の鋸歯がある」と表現しています。野楽力研究所としては「大きく波状に縁取られた葉(波状葉縁)」と表現したいです。どちらにせよ、上掲写真のような尖った鋸歯ではありませんね。しかし、こじつけのように思えますが1つはその柏の葉に似ていることから「カシワバ」と名づけられました。2つめは、僧侶が法要などに使う払子、それはヤク(ハグマ)の尻尾の白い毛を束ねたものだそうですが、その束ねたようすが、毛を短くして総苞が花の基を包んでいる(束ねている)感じが払子に似ているので「ハグマ」と名づけられ、この2つの理由で「カシワバハグマ」と言われるようになったということです。こんなこじつけのような名前の付け方だったんですね。皆さまはどう思われますか。

(↑上の写真)左=ミズヒキ、中=ギンミズヒキ、右=コウホネ

(↑上の写真)左=ナツメ、中=コブシ、右=サネカズラ

(↑上の写真)左=ムラサキシキブ、中=ジュズダマ、右=ムサシアブミ

(↑上の写真)左=ヤブラン、中=イヌホオズキ、右=クララ

 イヌホオズキ(犬酸漿)は、ナス科ナス属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「世界の熱帯から温帯に広く分布し、日本各地の山野の道端などに生える一年草。茎はやゝ角張り、高さ20~80cm、分枝して横に広がる。葉は長さ6~10cm。花は夏から秋、果実は液果で黒熟し、径6~7mm」ということです。ウィキペディアによると「日本では史前帰化植物と考えられている。全草にソラニンを含む有毒植物」ということです。和名のイヌはホオズキに比べて役立たないということですが、解熱剤や利尿剤になるそうです。

(↑上の写真)左=ヨウシュヤマゴボウ、中=ヤブミョウガ、右=池の休憩所

(↑上の写真)左=湿地の園路、中=ホシダ、右=ミドリヒメワラビ

(↑上の写真)左=リョウメンシダ、中=ゲジゲジシダ、右=ベニシダ