野楽力研究所

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東京多摩地区街中自然観察・・・令和4年7月25日

 第2の梅雨を思わせる天候も明けて、夏空が広がりました。日陰を選びながら街中自然観察をしました。園芸種や外来種が幅を利かせていました。今日の様子です。

(↑上の写真)左=夏空が広がる多摩地区、中=サルスベリ(白花)と右=(赤花)

 サルスベリ百日紅、猿滑)はミソハギサルスベリ属。「中国原産の落葉高木。葉は通常2対互生(コクサギ型葉序)、対生になることもある。花は紅の濃淡色または白色で、円錐花序になり、萼は筒状で6裂、花弁は6枚で縮れている(各種資料参照)」と、いうことです。佐伯泰英著「蛍火ノ宿」に百日紅の描写がでてきます。――「(磐音(いわね)は、今津屋のおこんに奥へと案内された。)庭には、水無月から葉月にかけて百日余りの長さにわたり花を咲かせるので百日紅と名づけられた赤い花を咲かせた百日紅(ひゃくじつこう)が強い陽射しを受けていた(一部翻案)」案内された部屋から庭に咲く百日紅の花に、磐音はどんな気持ちで目をやったのでしょうか。

(↑上の写真)どれもムクゲの花

(↑上の写真)左=ミソハギ、中=コガマ、右=イグサ

(↑上の写真)左=ヒマワリ、中と右=矮性ハイビスカス

(↑上の写真)左=ヤイトバナ(ヘクソカズラ)、中=コヒルガオ、右=オニドコロ

 ヤイトバナ(灸花)はアカネ科ヘクソカズラ属。普通この草はヘクソカズラと言われていますが、野楽力研究所としては、ヤイトバナという名称を推奨しています。「APG牧野植物図鑑スタンダード版」によると「日本各地及び朝鮮半島、中国、フィリピンなどの温帯から熱帯の荒地や山野の草地に生える多年草」ということです。 有川浩著(小説)「植物図鑑」に「ビルの隙間の駐車場のフェンスにつる草がびっしりと絡みついており、白い色彩はそのつる草が咲きほこらせている小花だった。百合にフリルのカッティングをつけたようなベル形と中心を飾るえんじ色が愛らしい。その花がまるでブーケのように茎のあちこちを飾っている。部長は、(さやか、から)これが雑草と聞いて驚いたように目を丸くした。――『雑草という草はない。すべての草には名前がある』と昭和天皇は仰った。「ヘクソカズラといいます。つるや葉をちぎると名前の通り悪臭がしますよ。花の可憐さや特徴を採ろうとしてサオトメカズラやヤイトバナなんて別名も考えられたようですけど、やっぱり一番インパクトのある名前が定着しちゃった一例ですね」そこまで何に気なしに喋って、さやかは呆気に取られている部長にやっと気づいた。「どうなさいましたか?」「いや・・・」部長は苦笑いしながら答えた」(部長はどんな気持ちだったでしょうか)

(↑上の写真)左=オニユリ、中=(参考)コオニユリ、右=キバナコスモス

 オニユリ(鬼百合)はユリ科ユリ属。「APG牧野植物図鑑」によると「もとは中国原産で古い時代に伝来したものが栽培中に逸出して野生化したと考えられる。しかし、対馬には、真の野性もある。鱗茎を食用として栽培もされる多年草。葉腋にムカゴ(栄養体)を出す。花は夏。和名は巨大な百合の意」という(一部翻案)。「オニユリは染色体の数が3倍体で種子を作ることができないので葉腋にできるムカゴのみで繁殖し、種子を全くつくらない。ムカゴは枝が短縮したもので、ムカゴを切ってみるとユリの球根のようになっている」という(Webや資料参照)。外見の大きい、小さいでは区別がつかないですが、ムカゴがついていればオニユリ、ついていなければコオニユリです。ムカゴという子ども(赤ちゃん)を抱えていれば大人のオニユリで、抱えていなければ(ムカゴがなければ)子どものオニユリ(=コオニユリ)と覚えておくといいですね。今回の観察ではコオニユリはありませんでしたので、比較のため参考にコオニユリを載せておきました。

(↑上の写真)左=イヌビエ、中=コニシキソウ、右=イヌタデ

(↑上の写真)左=夏空の街中公園、中=ヤブガラシ、右=タケニグサ

(↑上の写真)左=アメリオニアザミ、中=ヤブミョウガ、右=マンリョウ

(↑上の写真)左=アガパンサス、中=クラピア、右=タマサンゴ(フユサンゴ