野楽力研究所

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武蔵国分寺万葉植物園・お鷹の道・都立武蔵国分寺公園・・・令和4年7月5日

 台風接近ですが、曇り空で、気温も平年並みということで、出掛けました。この時期、自然の中では、山野草の花は少なく、期待するのは無理なことです。しかし、万葉植物園でタシロランが観察できたのは、とっておきの収穫でした。今日の様子です。

(1)武蔵国分寺万葉植物園にて

(↑上の写真)左=武蔵国分寺山門、奥が武蔵国分寺、中=万葉植物園の由来書き、右=万葉植物園入口

(↑上の写真)どれもタシロラン

 タシロラン(田代蘭)はラン科トラキチラン属。APG牧野植物図鑑によると、関東地方以西から琉球列島の暖地の林下や陽地に稀に見られる無緑葉の菌根植物という。Web「武田良平のブログ」によると「明治39年 田代善太郎氏により、長崎県諫早で発見され、タシロラン(ラン科)の名がつけられました。梅雨時に、葉緑素をもたない、モヤシのような花茎を地上にのばし、いきなり花を咲かせ、実を結び、姿を消してしまう無葉ランの一種です。そのため、人の目に触れることは少なく、また、花は小さく地味なため、ほとんど知られていません。暖地の環境を好み、三浦半島観音崎が、自生地として知られています(一部省略翻案)」ということです。武蔵国分寺境内のここ万葉植物園で見られたのは、この時期、ほとんど他の花がないので訪れる人もなく、奇遇でした。

(2)お鷹の道にて

(↑上の写真)左=ヤブミョウガ、中=ヤブカンゾウ、右=真姿の池弁天様

(↑上の写真)左=エナシヒゴクサ、中=ムサシアブミ、右=ハエドクソウ

(↑上の写真)左=イノデ、中=フモトシダ、右=リョウメンシダ

(3)武蔵国分寺公園にて

(↑上の写真)左=ヤマハギ、中=ヤブラン、右=野鳥の森入口

(↑上の写真)左と中=ヤブミョウガ、右=ミョウガ

 ヤブミョウガ(薮茗荷)はツユクサヤブミョウガ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によれば「宮城県以南から九州、および台湾、中国の暖帯の林や藪に生える多年草」とあります。花を食すミョウガはショウガ科で名前は似ていますが別物です。観察してみるとヤブミョウガの葉は艶がありますが、葉の先から茎の方にしごくととてもざらつきます。花径も同じくざらつきますが、茎は丈夫そうでもあり、滑らかでもあります。葉は互生し、一見十字対生のように輪状に広がってつきます。ミョウガは茎の両側に並列につき、ヤブミョウガほど立体感はありません(上掲写真)。花には両性花と雄花があり、前者は白い雌しべが目立ち、後者は黄色い葯の付いた雄しべが目立つといわれます。この時期、花をたくさん咲かせていますので判別に挑戦してみる適期です。

(↑上の写真)左=クサノオウ、中=マルバルコウソウ、右=ヤブカラシ

 マルバルコウソウ(丸葉縷紅草、丸葉留紅草)は、ヒルガオ科サツマイモ属。熱帯アメリカ原産、江戸末期に渡来したつる性の1年草という。Web「みんなの趣味の園芸」によると「熱帯の原産地では多年草ですが、日本では冬に枯れてしまうので1年草として扱われる」ということです。また、同書によると名称を「マルバルコウソウ」ではなく「マルバルコウ」としています。ルコウソウの葉が葉脈のみを写したレントゲン写真のような葉であるのに対してマルバルコウソウの葉は写真のようにサツマイモの葉のような大きな心臓形をしています。花は、これから夏から秋にかけ、葉腋に3~5個の写真のような上から見ると五角形の花を開きます。

(↑上の写真)左=ノウゼンカズラ、中=公園泉地区風景、右=サービスセンター

(↑上の写真)左=ハナゾノツクバネウツギ(アベリア)、中と右=ウラジロチチコグサ