野楽力研究所

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入笠湿原・・・令和4年6月23日

 梅雨明けが間もなくの今日、南アルプス北端の入笠山麓にある入笠湿原(標高1734m)を訪れました。(日本)スズラン群落地では、スズランが満開、レンゲツツジも満開、クリンソウは満開を過ぎたところでした。アヤメ、ウマノアシガタなどこの時期ならではの花たちが迎えてくれました。今日の様子です。

(↑上の写真)左=スズラン群落地(左右の草原)、中=スズランとベニバナイチヤクソウ、右=スズラン

 スズラン(鈴蘭)はキジカクシ科スズラン属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると、「北海道に多く、本州中北部、まれに関西、九州などの山地にも生える多年草。花は、葉の脇に花茎を1本出して咲き、芳香がある。観賞用として栽培されるものはヨーロッパ原産ドイツスズランで、葉の裏が日本のものと逆に濃緑色」という(一部翻案)。Webウィキペディアによると「有毒植物で、有毒物質は全草に持つが、特に花や根に多く含まれる。ギョウジャニンニクと葉が似ているため山菜として誤って摂取した場合、嘔吐、頭痛、心不全、心臓麻痺などの症状を起こす。ドイツスズランは、日本に野生するスズランと比べると大型で、花の香りが強く、またスズランの花茎が葉より短いのに比べ、ドイツスズランは花茎が葉と同じ長さかそれ以上に伸びる」という(一部翻案)。

(↑上の写真)左=山彦山荘から見下ろした湿原風景、中=湿原解説板、右=山彦山荘を望む

(↑上の写真)どれもレンゲツツジ

(↑上の写真)どれもクリンソウ

 クリンソウ九輪草)はサクラソウサクラソウ属。北海道、本州、四国の山地の谷川沿いの湿地に生える日本固有の多年草。『APG牧野植物図鑑』によると「和名九輪草は、花が何段も輪生するのに対し、最大の数を表す九を当て嵌めたもの」とあります。そうかな?と思います。花が何段も輪生している様子は仏教寺院の塔の先端を飾っている宝輪(九つあるので九輪ともいう)にそっくりです。しかし、その数は、最大の数の九を表しているのではなく、『やさしい仏教入門』によると五大如来と四大菩薩を表しているということです。数が多いことを表すのは、八ヶ岳に象徴されるように八のはずで、九ではありません。日本固有種であり、仏教信仰の深まりとともに如来と菩薩をあがめる信仰にあやかって命名されたものに思われます。クガイソウ(九蓋草・九階草)という草の九は輪生の葉がたくさん(九つも)重なっている、という意味のようで、その解釈でいいと思います。それが九輪となった時は、特別の意味を持つのではないでしょうか。勝手な説を立てましたが、一理ありそうに思いますが、どうでしょうか。

(↑上の写真)どれもアヤメ

(↑上の写真)どれもウマノアシガタ

(↑上の写真)左=オオアマドコロ、中=サンリンソウ、右=オククルマムグラ