野楽力研究所

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町田薬師池公園・・・令和4年6月13日

 花ショウブなどが見頃というので出かけました。各種園芸種が咲き揃い、同定は難しいですが、花のすばらしさを素直に観賞しました。花ショウブは180品種揃えてあるということです。同時にアジサイも花の盛りです。種類は、街中自然観察で見たものと同じようでした。「萬葉草花苑」では時期的にキリンソウ、クルマバナしか見られませんでした。今日の様子です。

(↑上の写真)左=薬師池、中=公園案内図、右=自由民権の像

(↑上の写真)左=菖蒲田の世話をする早乙女たち、中・右=菖蒲田の様子

(↑上の写真)左=アヤメ、中=カキツバタ、右=キショウブ

(↑上の写真)各種ハナショウブ、いずれも菖蒲田にて

(↑上の写真)各種ハナショウブ、いずれも菖蒲田にて

(↑上の写真)各種ハナショウブ、いずれも菖蒲田にて

 ハナショウブ(花菖蒲)はアヤメ科アヤメ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「野生のノハナショウブを原種として改良された園芸品種で、水辺など湿った地に栽培される多年草。葉に隆起した中脈を持つのが特徴。花は初夏に咲き、大きいもので径20cm位に達し、花形は品種によりさまざま。色も紫、白、絞など変化に富む。和名は、花の咲く菖蒲(ショウブ)という意味」(一部翻案)という。ノハナショウブ(野花菖蒲)はアヤメ科で、ショウブ(菖蒲)はショウブ科ですから、ハナショウブ(花菖蒲、アヤメ科)はショウブ(菖蒲、ショウブ科)を品種改良したものではなく、ノハナショウブ(野花菖蒲、アヤメ科)を品種改良したものということになります。ややこしいですが、ショウブといってもアヤメなんですね。古くはショウブのことをアヤメまたはアヤメ草といったそうです。5月5日に風呂に入れるショウブは「尚武(しょうぶ)=武勇を重んじること」にあやかって男児のいる家庭には喜ばれたわけです。ショウブ自体の花は地味な花(=肉穂花序)で見てもつまらないです。葉は柔らかくいい香りがするので風呂に入れるのは適してるわけです。

(↑上の写真)いずれもアジサイ

 アジサイ(紫陽花)はアジサイアジサイ属。APG牧野植物図鑑によると「観賞用として広く栽植する落葉低木。ガクアジサイを母種とした園芸種で、全部が装飾花の萼片で、花弁、雄しべ、雌しべは退化して結実しない。花の色は、青、紅紫、白などで、咲くにつれて色が変化する。和名のアジはアツで集まること、サは真、イは藍(アイ)の約されたもので青い花が群れて咲くからだという。漢字は漢名の紫陽花を慣用する」(一部翻案)という。また、山渓ハンディ図鑑4「樹に咲く花」によると「アジサイガクアジサイの花序全体が装飾花に変化したもので、古くから栽培されていた。アジサイを初めて世界に紹介したのは、オランダのシーボルトでドイツのツッカリーニと共同で、「ヒドランゲア・オタクサ」と命名し、シーボルトの日本での植物研究の集大成である「フロラ・ヤポニカ」に発表した。当時シーボルトはこの花に随分感動したようで、妻の榎本滝の愛称「おたきさん」をこの花の学名にあてた」(一部翻案)という。

(↑上の写真)いずれもガクアジサイ

 ガクアジサイ(額紫陽花)はアジサイ科(以前はユキノシタ科)アジサイ属。関東地方南部、伊豆半島、伊豆諸島の暖地の海岸に生える落葉低木。葉は対生し、花は夏に咲き、枝先に集まり、萼片4~5枚からなる装飾花を周囲につける。中心部の両性花は萼片と花弁が5枚、雄しべは10本。和名は装飾花を額縁に見立てた名という(APG牧野植物図鑑スタンダード版参照、一部翻案)。花の周囲の装飾花を額縁にたとえ「額縁に入れたアジサイの花」という意味で額紫陽花、従って「萼紫陽花」ではないということです。ところで、柳美里著『JR上野駅公園口』に「雀の群れが何かに驚き、節分の豆をばら撒いたように飛び立つ。額紫陽花が咲いている。周りの薄紫の花が中央の濃く小さい紫の花の塊を額のように縁取っている。生きている時はそういうものが孤独を感じさせた。……不意の雨が落ち、(ホームレスの)コヤの天井のビニールシートを濡らす。雨が、雨の重みで落ちる。雨が降る夜は、雨音から耳を逸らすことが出来ず、眠ることが出来なかった。……一人息子が死んだ日も、雨が降っていた」という描写があります。詩を読んでいるような感じのホームレスの自叙伝といった感じの小説でしたが、何か寂しさを伝える雨とガクアジサイの花でしたね。

(↑上の写真)左=キリンソウ、中=クルマバナ、右=サフランモドキ

(↑上の写真)左=ホタルブクロ、中=白花ホタルブクロ、右=薬師池の由来となった薬師如来を祀る薬師堂