野楽力研究所

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国営昭和記念公園・・・令和4年5月19日

 昭和記念公園では、みんなの原っぱや花の丘などで一面各種ヒナゲシ(ポピー)やネモフィラが鮮やかな彩りで花を咲かせています。一番奥(北)の花の丘はあまり人がおらず、ゆっくり楽しめます。トチノキが花盛りでアヤメ、テイカカズラ、ガクウツギが盛りを過ぎました。今日の様子です。

(↑上の写真)左=西立川口入口、中と右=各種ヒナゲシ(ポピー)の花壇

(↑上の写真)いろいろなヒナゲシ(ポピー)

(↑上の写真)いろいろなヒナゲシ(ポピー)

 ヒナゲシ(雛芥子、雛罌粟)はケシ科ケシ属。別名:虞美人草グビジンソウ)。ヨーロッパ原産で、江戸時代に日本に渡来し、観賞用として栽培される越年草という。明治45年5月19日与謝野晶子は、パリの北駅頭に立った。半年ぶりに夫、寛(これが本名。与謝野鉄幹のこと)と感激の対面をする。ホテルの窓掛の間からは野生の雛罌粟(コクリコ・仏語=ヒナゲシのこと)の燃える様な緋の色の花が見える。郊外にはその雛罌粟と矢車草とが、総ての畦路と路傍とを埋めて居る。晶子は謳う「ああ皐月 仏蘭西の野は火の色す 君も雛罌粟われも雛罌粟」(各種資料を翻案)。別名虞美人草は、中国の伝説に由来。項羽の愛人だった虞は、項羽劉邦に敗れて垓下(がいか=垓下の戦い)に追い詰められた時に、虞は、死を覚悟して項羽が詠った垓下の歌に合わせて舞い、この舞の後に彼女は自害した。彼女を葬った墓に翌夏赤くこの花が美しく咲いた。それは美しかった虞美人の姿を彷彿とさせるものだった、という伝説から墓に咲いたこの花を虞美人草と呼ぶようになったという(資料より翻案)。

(↑上の写真)左=ネモフィラ、中=アカショウマ、右=ムシトリナデシコ

 アカショウマ(赤升麻)はユキノシタ科チダケサシ属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「本州の太平洋側、四国、九州の暖帯の山地に生える多年草」という。白い花なのにアカショウマと言うので花や葉の形が似ているチダケサシと間違えてしまいます。同書には、アカショウマ(赤升麻)は地下茎の皮が赤色であるために言う、とあります。地下茎を見ないと赤いかどうか分かりません。花は、アカショウマは赤ショウマとは言いますが、初夏に白い花を咲かせ、チダケサシは夏に淡紅色または白色の花を咲かせるということです。アカショウマの白い花の方が少し早めに咲くようです。また、両者は葉の形も似ていますが、アカショウマは葉先が鋭尖頭(先が鋭く尖って伸びている)ですが、チダケサシはそれほど葉先が鋭く伸びているという感じではないようです。(写真をクリックし、拡大して葉をご覧ください。)

(↑上の写真)左=アヤメ、中=ホタルカズラ、右=フタリシズカ

(↑上の写真)左=トチノキ、中=ヤマボウシ、右=ガクウツギ

(↑上の写真)左=ガマズミ、中=ハコネウツギ、右=コアジサイ

 ハコネウツギ(箱根空木)はスイカズラタニウツギ属。分布については、関東から中部地方の低地に野生しているとするAPG牧野植物図鑑スタンダード版と北海道南部〜九州に分布するとするWeb「ウィキペディア」と、その同地域の沿海地の海岸林に生える、とするWeb「ハコネウツギ」があります。ハコネウツギは落葉低木または小高木で花期は5・6月頃、花は初め白いが日が経つと次第に赤色に変るという。ゲンペイウツギ(源平空木)といいたいところですが、はじめから赤・白の花があるのではなく、白い花がやがて赤色に変化するというのですから源平とは名づけられませんね。敵味方が判らなくなってしまいますから。日が経つと花の色が変化するのは、スイカズラ科の特徴ですね。なお、ウィキペディアによると「和名は箱根ウツギだが箱根の山中には無く、山麓にのみ見られる」ということです。

(↑上の写真)左=マテバシイ、中=クスノキ、右=イボタノキ

(↑上の写真)左=サワラの葉表、中=サワラの葉裏、右=こもれびの丘風景

(↑上の写真)左=ヒノキの葉表、中=ヒノキ「の葉裏、右=日本庭園の池風景

 ヒノキ(檜、桧、檜木)はヒノキ科ヒノキ属。(Web:ウィキペディア)によると「本州の福島県以南、四国、九州の屋久島まで分布する。多雪を好まないとされ日本海側にはあまり分布せず、主な分布地は太平洋側に偏る。乾燥した場所を好む。典型的な陰樹の特性を持ち、幼樹は日当たりを嫌う。雌雄同株。語源は、古代において木をこすって火を起こすのに用いられ、「ヒノキ」は「火の木」という意味だという説と、尊く最高のものを表す「日」をとって「日の木」が由来だという説がある」という。田中修著『植物はすごい』によると「ヒノキは葉だけではなく、幹や枝の材も香りが高く、そのお陰でこの材は細菌や虫に強いのです。細菌の繁殖を防がねばならない「俎板」や湿気が高く細菌が繁殖しやすい風呂桶や、椅子などに使われます。奈良の法隆寺の建築には檜が使われているのもこの理由です」と、あります。サワラとヒノキは似ていますが、その区別点は、サワラの葉先は両肩が怒ったように葉身の一部が小さな針のように飛び出ていますが、ヒノキの葉先は丸く、撫で肩の様になっています。サワラとヒノキの区別を裏面の斑紋H型、Y型で区別することもできますが、この斑紋は季節によってはっきり見えないことがあり、ここで述べた葉先の肩の形の違いで区別すると、どの季節でも区別が可能です。

(↑上の写真)左=オニノヤガラ、中=シャクヤク、右=カルミア