野楽力研究所

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多聞院(所沢市)境内・・・令和4年4月7日

 多聞院(たもんいん)は牡丹の寺としても知られたいますが、今日はクマガイソウが目宛てで、訪ねました。少し早すぎました。一週間後が見頃のようでした。牡丹は5月の連休中だそうです。今日の様子です。(西武線新所沢西口からコミュニティーバスで30分。このバスは一日に数回しかありません。)

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(↑上の写真)左=多聞院毘沙門堂、中=笠地蔵、右=鬼の悟り石像

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(↑上の写真)左=クマガイソウ、中=オオバナノエンレイソウ、右=外来種エンレイソウ

 オオバナノエンレイソウ(大花延齢草)はシュロソウ科エンレイソウ属。「APG牧野植物図鑑スタンダード版」等によると、「北海道、朝鮮半島、及び千島以北に分布している山地の林下に生える多年草」ということですから一般的には関東で見られない種類です。「ミヤマエンレイソウと似るが、花糸(雄しべの葯を支えているふつう糸状の支柱)よりはるかに長い葯(花粉袋)を持つ」ということですから、写真を拡大すると判るでしょうか。

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(↑上の写真)左=(外来種)キバナカタクリ、中=ヤマシャクヤク、右=ユキモチソウ

 ユキモチソウ(雪餅草)はサトイモ科テンナンショウ属。「APG牧野植物図鑑スタンダード版」によると紀伊半島および四国の林下に生える多年草、ということですから基本的には関東地方では見られないですね。雪餅草の命名がいいですね。「雪を持った」ではなく「雪のお餅」ということです。命名した植物学者は文学的センスがありますね。如何にもほっこりした雪餅という感じですね。難しく言うと花序付属体の上部が白く膨らんだものということだそうです。(写真背景の白いものは桜の花びらです。)

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(↑上の写真)左=スハマソウ、中=ヒトリシズカ、右=バイモ

 ヒトリシズカ(一人静)はセンリョウ科チャラン属(以前はセンリョウ属)。日本各地、および朝鮮半島などの山地の林内に生える多年草。花のつくりが変わっています。白い棒のようなものが3本1セットで雄しべを構成し、普通は葯は花糸の先端につくのですが,この花では逆さのなっていて基部についています。しかも、3本の白い棒のようなもの2本にしか葯が無く、1本には葯がありません。この葯に隣接して雌しべがあるので受粉しやすく、ヒトリシズカを植栽しておくとかなりの確率で種子が散り増えていきます。ところで、「〜しづやしづ 賤(しづ)のをだまき 繰り返し 昔を今に なすよしもがな〜」(昔を今に戻す術すべはありません。)と、静御前源頼朝の前で、堂々と義経を慕う想いを歌に託して舞ったということです。その姿にこの花を擬えて名づけられたということです。が、なぜ、静御前と名づけずに一人であることを強調して「一人静」と名づけたのでしょうか。「二人静」という謡曲があったからではないでしょうか。やがてフタリシズカが咲き始めます。その時にまた考えましょう。

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(↑上の写真)左=ウラシマソウ、中=アメリカスミレサイシン、右=アジュガ(西洋ジュウニヒトエ

 ウラシマソウ(浦島草)はサトイモ科テンナンショウ属。北海道南部から本州、四国北部の林下、林縁の日陰地に生える多年草という。雌雄異株。比較的小型の個体では雄性となり、仏炎苞内部の肉穂花序(棍棒のような花軸)に雄花群を形成し、大型の個体は雌性となり、肉穂花序には雌花群を形成する性質があるといい、テンナンショウ属の一般的性質(性転換)となっています。軸の先端は、紫黒色で長い糸状に伸び、釣り糸のように垂れ下がります。和名は、釣り糸のように垂れ下がる様子を浦島太郎の釣り糸に見立てたものといいます。しかし、多聞院の担当者が云うには「浦島太郎が釣竿を肩に担いでいる様子」と説明されました。この方が説得力あるかも知れません。

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(↑上の写真)左=ダイオウグミ、中=フッキソウ、右=ミヤマシキミ

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(↑上の写真)左=ヤブレガサ、中=タチツボスミレ、右=ムラサキハナナ(白花=変種と紫花)