野楽力研究所

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神奈川県立東高根森林公園・・・令和4年3月17日

 来週22日(祝日振替休園なので実質23日)から都立公園が再開されます。それまでは都立公園以外の自然を訪ね歩きました。今日は東京に隣接の東高根森林公園です。南武線武蔵溝の口駅からバスで南東方向へ15分ほどのところです。里山に囲まれた谷戸ですので、水もあり、豊かな里山風景が広がっています。ジロボウエンゴサク、シロヤブケマン、ヒメリュウキンカハクモクレンが満開の見頃です。今日の様子です。

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(↑上の写真)園内の風景

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(↑上の写真)左=ジロボウエンゴサク、中=シロヤブケマン、右=ニリンソウ(咲きはじめ)

 ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)はケシ科キケマン属。関東地方以西、四国、九州および台湾、中国の暖帯の原野や山麓に生える多年草。名前の由来は、伊勢地方でスミレのことを太郎坊、ジロボウエンゴサクのことを次郎坊と呼んでいたことが小野嵐山の著書(1802)に紹介されたのが始まりという。延胡索とは漢名でキケマン属の総称名のことですが、キケマン属の塊茎のことを漢方で延胡索といい、痛み止めなどに用いられるとのことです。(各種Web参照)

 シロヤブケマン(白藪華鬘)はケシ科キケマン属。道端や山麓の日陰の、やや湿ったところに生える越年草。ムラサキケマンを基本種とした変種と考えられているようです。変種は基本種の傍に生えているものをいい、亜種は独立して基本種のない所に生えているものをいうようです。シロヤブケマンはムラサキケマンとよく混在しているので、花先だけが紫になった変種と考えられるようです。

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(↑上の写真)左=ヤマアイ(咲きはじめ)、中=シャガ(咲きはじめ)、右=ヒメリュウキンカ

 ヤマアイ(山藍)はトウダイグサ科ヤマアイ属。本州から琉球列島、および中国、朝鮮半島、台湾、インドシナなどに分布し、山地の樹下に生える多年草。古代行われていたヤマアイによる青摺(あおずり)の染め方は、葉をすり潰して液状にして、布を浸して染めるものでしたが、水に濡れると色が落ちたり、変色したりしたため、よりきれいに藍色に染まるタデ科のアイが中国から渡来すると、ヤマアイは使われなくなったということです。(各種Web参照)

澤田ふじ子著『栗落ちて』一部翻案)「郡上八幡のどの紺屋にも、佳い色を出すための秘伝があった。飛騨屋の小紋染は、阿波藍にご領内白山神社の裏に群生する山藍が、小量加えられている。それに、染料の染付を助け斑やしみを防ぐため、豆汁を布に塗布していた。職人たちは、小紋染の作業を『けんぼうをかける』と呼んでいる。けんぼうとは、吉岡憲法のことである。小紋染の嚆矢は、吉岡憲法であると言われる。つまり、小紋染は吉岡憲法によって創出されたものである。吉岡憲法宮本武蔵に討たれた吉岡清十郎の父親である。」(佳い色を作出するために少量の山藍を加えることを工夫していたんですね。)

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(↑上の写真)左=フキノトウ、中=ナガバノスミレサイシン、右=ケマルバスミレ

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(↑上の写真)左=ハクモクレン、中=ミツマタ、右=トサミズキ

 トサミズキ(土佐水木)は、マンサク科トサミズキ属の落葉低木。土佐の山地に自生が多く、枝を切ると水気が多いことと落葉高木のミズキに葉が似ることから名付けられたという。新葉が出る前に花を咲かせる。花は穂状花序で、垂れ下がるように花をつける。ヒュウガミズキより花穂(かすい・はなほ)が長く、花が7~8個垂れ下がり、雄しべの葯(花粉袋)が赤色に目立つので見分けやすい。ヒュウガミズキは、トサミズキと同じマンサク科の植物だが、葉も花もトサミズキよりやや小ぶりで、花穂の花数は2~3個と数が少ない。葯が赤いこととトサはヒュウガより文字数が少ない=短いけれど花穂は長い、と覚える。

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(↑上の写真)左=モミジイチゴ(咲きはじめ)、中=アセビ、右=ヒイラギナンテン