野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

都立桜が丘公園・・・令和3年12月22日

 都立桜が丘公園にオオハナワラビとヤツデの花を確認に行きました。オオハナワラビと、できればフユノハナワラビを見たかったのですが、微妙でフユノハナワラビの同定はできませんでした。ヤツデの花の雌雄の仕組みは面白いので、今回、特に観察に出かけたのですが、時期的にはちょっと遅かったかもしれません。今日の観察の結果です。

f:id:noyama_ko:20211222190036j:plain
f:id:noyama_ko:20211222190205j:plain
f:id:noyama_ko:20211222190220j:plain

(↑上の写真)左=五賢堂、中=カンツバキ、右=カラスウリ

f:id:noyama_ko:20211222190846j:plain
f:id:noyama_ko:20211222190958j:plain
f:id:noyama_ko:20211222191035j:plain

(↑上の写真)ヤツデ

 ヤツデ(八手)はウコギ科ヤツデ属。関東南部以南の暖帯林内に生える常緑低木。学名、ハッシュ(八手)ジャポニカはFatsia japonica。(Web:ウィキリーによると)学名の Fatsia は日本語の「八」(古い発音で「ふぁち」、「ふぁつ」)または「八手(はっしゅ)」に由来するということです。花はウコギ科の特徴ある円錐花序をつくります。キヅタ(フユヅタ)や園芸種のセイヨウキヅタなどで見かけます。(Web:「ツムラ掲示板」によると)花は両性化(一つの花に雄シベと雌シベがある)ですが、普通の両性化(雄シベと雌シベが同時に熟し受粉)とは違うそうです。ヤツデの花は開いたとき、花弁と雄シベが成熟して花粉がでますが、このとき雌シベは未熟のため昆虫がきて花粉を集めても受紛しないそうです(雄性期:male stage)。それから中性期(無性期)の数日を経て、花弁と雄シベが落ちたのち、雌シベが成熟し(雌性期:female stage)他の花の花粉を付着した昆虫から花粉を受け取り受粉するそうです。実に巧妙に、雄シベと雌シベの成熟時期をずらして近親結婚を避けているというわけです。他の花が少ない時期に咲くため、気温が高い日はミツバチやハナアブ、ハエなどが多く訪れます。・・・小説では(志賀直哉著『城の崎にて』より)(山手線の電車に跳ねられ怪我をして、養生に、一人で城崎温泉へ来ていた。読み書きに疲れると縁の椅子に出た。近くの羽目の中に蜂の巣があり、蜂は羽根をしっかり広げて飛び立った。)「植え込みの八つ手の花がちょうど咲きかけで蜂はそれに群がっていた。自分は退屈すると、よく欄干から蜂の出入りを眺めていた。」(その後、動き回る活きた蜂の動に死んだ蜂の骸の静が対比されて描かれていましたね。)

f:id:noyama_ko:20211222191302j:plain
f:id:noyama_ko:20211222191339j:plain
f:id:noyama_ko:20211222191405j:plain

(↑上の写真)オオハナワラビ

 オオハナワラビ(大花蕨)、フユノハナワラビ(冬花蕨)ともハナヤスリ科。大花蕨、冬花蕨とも葉身は五角形で、3回羽状に深裂することは、同じですが、大花蕨の栄養葉の裂片葉縁には目立つ鋭鋸歯がついているのが区別点です。上の写真では鋭鋸歯のようですので、オオハナワラビと同定しました。富士美の丘の道からあじさいの道に続く辺りにたくさんありました。

f:id:noyama_ko:20211222191705j:plain
f:id:noyama_ko:20211222191813j:plain
f:id:noyama_ko:20211222191842j:plain

(↑上の写真:どれもシダ)左=トラノオシダ、中=ノキシノブ、左=ヤブソテツ

f:id:noyama_ko:20211222192105j:plain
f:id:noyama_ko:20211222192305j:plain
f:id:noyama_ko:20211222192347j:plain

(↑上の写真:どれもシダ)左=ミゾシダ、中=リョウメンシダ、右=イノデ

f:id:noyama_ko:20211222192619j:plain
f:id:noyama_ko:20211222192637j:plain
f:id:noyama_ko:20211222192659j:plain

(↑上の写真)左=ヤブラン、中=クマザサ、右=園路

 クマザサ(隈笹)はイネ科ササ属。普通、クマザサは如何にも熊が出そうなところに生えているので熊笹と書きたくなりますが、冬に葉の縁に白い隈取りができ、それが歌舞伎役者の隈取りに似ているので牧野富太郎氏がクマザサ(隈笹)と名づけたというのが名前の由来ですから、漢字としては隈笹ということになります。この隈取りは、若葉にはなく、葉が越冬するときに縁が枯れて隈取りになります。非常に変異、変種が多く、北日本日本海側を中心に分布するそうです。この隈取りは、日向より日陰に植えた方が、また、肥料を施した方が綺麗になるとのことです。原産地は、京都盆地周辺ですが、若葉が綺麗なので庭園などの根締めに植えられたりして全国に広がり、野生化しています。Web「くまざさbing」によれば、葉に含まれる安息香酸が殺菌・防腐作用をもっているので、笹餅や料理の化粧笹、添え物などに使われたりします。さらに乾燥した葉を健康茶として喫したりしますが、有効性は個人差があるようです。